宇宙誕生  -原初の光を探してー

2011-05-25 15:23:01 | 日記
マーカス・チャウン著  筑摩選書

本書は1933年に出版された同書名の増補改訂版である。
物理学や数学を含めた科学の世界では、時とすると同じテーマで研究している人がいて、タッチの差で発見や証明の栄誉が先を越されることがある。本書のテーマである宇宙物理学でもそうしたエピソードには事を欠かない。本書の前半はそうした話が満載で十分楽しめる。
2部は、増補された部分に当たる。その主役はCOBE(宇宙背景放射探査衛星)の後継機WMAPである。初版はCOBEが宇宙全体のマップを創り、数々のそれまでの宇宙誕生の謎を明らかにした時点で書かれた。
後継機はそれらの成果をより精査に検証するためと、新たに生じた疑問を明らかにするために2001年に打ち上げられた。詳しいことは省く。というか、私の手に余る。
これで幾つかのことが分かった。まず宇宙の組成。目に見えない謎の存在、ダークエネルギーが73%、通常の重力を示す謎の存在、ダークマターが23%、そして通常の物質が4%。分かったことはまだある。これまで宇宙の年齢は、90億歳から150億歳の間と言われていたのだが、137億歳プラスマイナス1パーセントと突き止めた。
どうやら、宇宙は謎だらけらしい。まっ、分からないことがあった方がいい。そうであることで、人間は謙虚になるだろうから。