ヤマト王権  シリーズ日本古代史②

2011-05-14 15:18:53 | 日記
吉村武彦著   岩波新書

このシリーズの意図するところが少し見えてきた。
シリーズ②では、ヤマト王権のスタートは崇神天皇から始まったとしている。従来は前方後円墳の成立をもってヤマト王権の成立としていたのだから、だいぶ違う。しかも、その勢力はようやく大和盆地をだいたい制覇するぐらいが勢力範囲ではなかつたかとしている。ただし、特定の地域に基盤を置いた地域政権を離脱した、歴代遷宮ができるほどには純化していた王権ではあった。
と、書いても良く分からないかもしれないが、これまでの学説とは一味違う内容だと思っておいた方がいい。
もうひとつ特長的なのは、シリーズ①と同じように邪馬台国は関西、特に奈良盆地を想定している点だろう。ヤマト王権と(ということは、天皇家と)邪馬台国との関係が良く分からないのだが、ともかく九州説はとっていない。
というわけで、このシリーズが終わるまで結論は先送りのようだ。