新恐竜 -進化し続けた恐竜たちの世界ー

2011-04-26 09:03:58 | 日記
ドゥーガル・ディクソン著  ダイヤモンド社刊

これは「大人の絵本」である(いや、子供でも十分楽しめると思うが、誤解を招きやすい)。
というのも、本書は、「白亜紀末期の大量絶滅はなかつた。つまり、中生代の1億5000万年のあいだ勢力を伸ばしていた動物達は、少なくてもあと6500万年、そのまま進化し続けた」という前提で書かれているのだ。となると、頭に浮かぶのはコナン・ドイルの『失われた世界』だと思うが、本書は妄想で書かれた荒唐無稽なものではない。
生物学でいう進化の法則や、動物地理学(こういうジャンルがあるのを初めて知った。著者の専門分野でもある)に基づいた「この前提であれば、こう進化したはずだ」という推測に基づいている。
それだけに、あまりにリアルなので、つい前提を忘れて「もしかしたら、本当に出会えるかもしれない」と、錯覚してしまう所がたのしい。地球の各動物区ごとに進化した恐竜が説明されているのだが、そのイラストが素晴らしい。迫力満点だ。
できれば、家族が出払って留守番をしている時か、書斎を持っている人にお勧めしたい。私だったら、テーブルにはブランデーなぞを用意するな。文句なく楽しめる大人の・男の絵本である。もっとも、身近に恐竜めいた者がいたりして(いますよね、恐ーなんていうの)、「読まなければよかった」と感想をもたれたとしても、責任は取りかねますが……。