上弦の月を喰べる獅子  上・下

2011-04-16 08:54:19 | 日記
夢枕 獏著   ハヤカワ文庫

夢枕獏である。螺旋である。ウロボロスの環である。色即是空である。須弥山(すみせん)である。兜率天(とそつてん)である。弥勒菩薩である。そして、南無妙法蓮華経である。お馴染みの夢枕獏ワールドである。
身構えせず、ただただ、物語の展開に酔うだけでいい。それにしても、よく勉強していると思う。仏教を。このジャンルを「仏教ミステリー」と言っていいのかよく分からないが、夢枕獏独特の世界というか、彼しか書けないジャンルではないか。

但し、彼の本を読む時にはコツがある。面白そうだと思ったならば、初刊は買わないこと。「完結」と広告されてから読み始めるといい。下手をすると、17年も待たされる。