曲り角の日本語

2011-04-24 15:40:52 | 日記
水谷静夫著  岩波新書

著者は余程「慎み深い」方らしい。私は疾うに「日本語は、後戻りできない曲がり角を曲がってしまった」と、思っている。
おそらく、著者が強調しているように「国語審議会」とやらが、よろしくない。詳細は本書に任せるが、この頃の日本語はひどい。私が子供の頃使っていた日本語とは別物という感じがする。親父やばあさんが生きていたら、殴られるか口をつねられていたに違いない。
というわけで、著者の言わんとすることすら、分からないのではないかと危惧してしまう。これが徒労に終わらないことを祈りたい。
本書と一緒に、水村美苗著『日本語が亡びるとき』(筑摩書房刊)を読んで欲しい。こちらは「曲り角」どころではなく、「亡びるとき」である。
もう、誰がこの危機を実感し、正しい日本語を復活させようとしているのか。国語審議会の連中が牛耳っている限り、希望はない。我々は座してそれを見ているか、古典を読んで「そう、そう、この言葉はこう使うんだよなぁ」とノスタルジー浸るか、そのどちらかだろう。
私が、現代小説(直木賞や芥川賞その他の受賞作品を含めて)を読まない理由も、ここにあるのだが……。