日本一の秘書 -サービスの達人たちー

2011-04-09 15:32:41 | 日記
野地秩嘉(つねよし)  新潮新書刊

本書に登場する秘書はひとり(CoCo壱番屋の社長秘書)だけである。あとはドアマン、似顔絵刑事、クリーニング屋、焼き鳥屋、富山の売薬屋さん、秋田県で活躍しているキャラクターといった人々である。メインタイトルで買うと期待外れかもしれない。これらの人たちは一芸に秀でた人、それも商売人(キャラクターと刑事を別にして)である。知っている人は知っているが、世間的には無名と言ってよい人たちだ。
著者は「サービス業」という括りで執筆しているが(前作に『サービスの達人たち』『サービスの達人たち』の著作がある)、広義ではそうかもしれないが、少々違和感を憶える。著者はインタービューし、本にするのもサービス業の一種だと言っているが、そうだろうか。
只、ここに紹介されている人々は素晴らしい。これらの人たちの共通点を挙げれば、まず明確な意識、つまり商売(生活)と言う視点を持っていることである。生きる為、食べる為に必死で働いて、ということである。そして、その為の努力を惜しまなかった人々だということ。
「生き甲斐」だとか「仕事をする嬉び」というものは、その結果であって、目的ではなかつた。
但し「親切にして貰った」「綺麗にしてもらった」「世の中の役に立った」「旨かった」といったことを含めて、それが「サービス」だと言うのならば、「サービス」という括りも納得できるのだが……。