脳神経学者の語る40の死後のものがたり

2011-03-10 14:49:01 | 日記
デイヴィット・イーグルマン著  筑摩書房刊
「死」というものは、大抵の人が生まれて初めて経験することだが、その経験を語った人はいない(臨死体験とかいうものを経験した人は別にして。そして、それが真実だと証明されたこともない)。
著者は様々な「死後」の物語を本書の中で披瀝している。宗教観、生物学、哲学、あるいは情緒的な死について、実にユーモラスに物語を展開している。難しい話は一切ない
たかだか160ぺージの本だ。しかも、単なる脳神経学者ではない。幅広い教養と知識がその背後にある。
さて、振り返って私自身はどう考えているかと自問してみた。おそらく、死とは何もかも失うこと以外の何ものでもない。生物学的にも、人格的にも。肉体も自意識も失う。まっ、骨は残るだろうが。それも、海かどこかに散骨してもらえば、それで終わりだ。
いや、待てよ。残った者に「迷惑、面倒」という残骸は残さざるを得ないか。合掌

若き日の友情 -辻邦生・北杜夫 往復書簡ー読み返した本 8

2011-03-10 08:21:10 | 日記
 新潮社刊
かつて、「友情」という言葉があった。しかし、これは声高に言うものではないし、お互いが分かっていれば良いものだった。ましてや、「僕に友情を持ってくれ」などと相手に強要するものでもない。
本書は、この二人の旧制高校時代(辻・22歳、北・20歳)から、辻邦生が74歳で亡くなるまでの、約半世紀に亘る交友記録である。つまり、「友情」とは、それほどの永きに亘って色褪せないものなのである。この本では、主として昭和23年から昭和36年までの、160通を超える手紙が取り上げられている。
こうしてブログで改めて取り上げるのは、どうにも照れくさいのだが、昨夜ふと読み返して書いた次第。