おとこの秘図 上・中・下  読み返した本 9

2011-03-22 16:50:22 | 日記
池波正太郎著  新潮文庫

「おとこ」が読む本である。決して、タイトルの「秘図」や、文庫本の表紙の「絵(実は、これがなんとも良いのだが)」を指して言っているのではない。
ひと言でいえば、これは「男の生理」を書き尽くした本である。ここで言う生理とは、性は勿論だが、出世欲や権力、冒険心、博打等々を含む広義の生理である。人は一様に生きるものではない。様々な出来事、人との出会いがあり、それらを切っ掛けに人は変わるのだけれども、どう変わるかはその人の感性によって違ってくる。
好きな「おんな」も年によって対称が変わる。他人であった「おとこ」と「おんな」が夫婦となる。そして、月日が経つにつれその関係は微妙に変わる。
幾つになって読み返しても教えられることの多い小説だが、「眼光紙背に徹す」読書力のない私には、まだまだ読み落としていることが多々あるに違いない。
できれば、老いて死が手近になった時に、もう一度読み返してみたい。