高峰秀子の捨てられない荷物

2011-03-08 10:06:43 | 日記
斎藤明美著  文春文庫
勢いに任せて、高峰秀子関連の本をもう一冊読んだ。今回は高峰秀子その人ではなく、著者の斎藤明美さんについての感想を。
一言で言えば、実に感性の鋭い人、そして聡明な人だと思う。ご本人は「甘ったれで、根性のない人間で、高峰秀子と松山善三のおふたりにただただ甘えさせていただいた」だけだと言っているが、それだけでこの本が執筆できたとは思えない。話は非常に機微にわたるもので、スムースにインタビューが進んだとは考えられない。実はインタビューは難しい。相手を理解すればするほど、視点が狂う。相手との距離感をどうとるかがポイントとなる。その塩梅がいい。
やはり人柄なのだろう。そして、相手に対する共感性が鋭いのだと思う。嫌味のない文章が心地いい。