1945日本占領 -フリーメイスン機密文書が明かす対日戦略ー

2011-03-24 08:34:33 | 日記
徳本栄一郎著  新潮社刊

タイトルに「フリーメイスン」とあると、思わず一歩引いてしまう経験が多かったので(たいていは憶測や他の文献の引用で、嘘か真か眉唾ものが多かった)、発売時から気にはしていたが買わずじまいだった。偶々、立花隆氏の書評を読んで買ってみる気になった。
その内容については、ここでは書かない。第二次大戦後の日本とアメリカ・欧州各国、それぞれの思惑の交錯、それに関わった人たち(特にフリーメイスンの関与)を知るには面白い本だった。最近ブームの感がある白洲次郎が登場するのは当然だが、妻の正子まで関与していたとは初めて知った。そして同時に、戦後65年経た今日でもまだ明らかになっていないことにも驚かされた。100年後には明らかになっているのだろうか。
むしろ感心したのは、アームチェア・ジャーナリストにはならないという著者の姿勢である。この言葉は彼がインタビューした元スパイが「アームチェア(安楽椅子に座っていて)スパイしていては、本当のインテリジェンスは分からない」と言ったことに由来する。そこで彼は徹底的に一次資料にあたり、当事者に直接インタビューするという姿勢を貫く。各国の資料館を訪れ、当人、家族、関係者を芋蔓式にインタビューいる(ちなみに著者は、元英国ロイター通信特派員)。そこが素晴らしい。フリーメイスンの組織・規模も分かったし、マッカーサーがフリーメイスンに入会した時期もわかった。なにしろ、スーツにメイスンの象徴である白いエプロンを絞めている写真は強烈だ。
それでも「どうして? 何故? 本当?」という疑問が残るのは、日本の敗戦とGHQに代表される戦後処理というスケールの大きさによるのだろう。意外にも、口外してはいけないことを墓場まで持っていける、意志強固な人々が結構いるんだということを実感したのも、本書からの収穫かも知れない。
なんせ、口の軽い人間が近頃多すぎるものなぁ。