おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

トランスポーター

2024-01-17 07:22:24 | 映画
「トランスポーター」 2002年 アメリカ / フランス


監督 ルイ・レテリエ / コリー・ユン
出演 ジェイソン・ステイサム スー・チー
   マット・シュルツ フランソワ・ベルレアン
   リック・ヤング ダグ・ランド
   ディディエ・サン・メラン ヴィンセント・ネメス

ストーリー
主人公のフランク・マーティンは、黒いBMW735i(E38)を愛車とする運び屋(トランスポーター)である。
高額な報酬と引き換えに、どんな品物も時間厳守で目的地に運ぶことを生業としている。
そして彼は自分の仕事に対して「契約厳守」「(依頼者の)名前は聞かない」「依頼品を開けない」の3つのルールを課し、同時に運び屋としての信用を売っている。
また、彼は特殊部隊に5年いた経歴を持ち、その天才的な運転技術と共に各種格闘術にも長けている。
フランクは、ある組織から仕事を請け負い、品物の大きなバッグを受け取る。
しかし、輸送中、依頼品に不審を抱き、自らに課したルールの1つ「依頼品は開けない」を破ってバッグの中身を開ける。
すると中には手足を縛られ口をテープで封じられた東洋人の女が入っていた。
そのことはすぐに組織に知れ、フランクは依頼品の女ライと共に組織に狙われることとなる。


寸評
映画の大半がカーアクションと格闘シーンで、印象として、その他はないという感じである。
それだけアクション映画に固執して徹底的に描いている。
冒頭からカーアクションが展開される。
主人公は何でも運ぶ運び屋で、人間でもOKらしく銀行強盗の犯人の逃亡を助けるのだが、契約人数より一人多いことで運転を開始しない。
プロフェッショナルとしての性格付けがそのやり取りで示される。
プロを描く作品としてはルール通りと言っても良いエピソードであるが、滑稽すぎてリアル感はない。
引き続き依頼されるところからメインストーリーが展開される。

ヒロインのライが登場するが、彼女がなぜカバンに入れられフランクによって運ばれたのかは推測するしかない。
最後の方で彼女の父親が登場することから、父親にとって邪魔になった娘を殺すわけにもいかず、仲間のアジトに監禁しようとしていたのではないかと思われる。
それならなぜ組織外の人間であるフランクに運ばせたのかよく分からない。
普通に考えるなら、ライを拉致して一味の誰かがアジト迄つれて行けば良さそうなものである。
フランクが相手の事務所で気絶させられるが、マフィアが駆け付けた警官隊にすんなりと身柄を渡してしまうのもおかしな展開に思える。
警察が来ているのに、フランクを別室に連れ出さずその場で仲間に始末させようとするなんて理解に苦しむ。
したがって警察がフランクの身柄を引き取ることに違和感が生じる。
おかしいんじゃないかとか、都合がよすぎるという描き方は随所にみられ、随分と雑な脚本だと思う。
僕はこの映画がシリーズ化された理由が理解できないでいる。

人物描写も非常に甘い。
一夜明けると人が変わったようにフランクに尽くしだすライの描き方はまだ許せるとしても、自分が人質になる偽装をしてまでフランクを逃すタルコニ警部の変節は可笑しな行動である。
冒頭では明らかにフランクを疑うようなそぶりを見せていたはずなのに、一体フランクとタルコニ警部の関係はどうなっているんだと言いたくなる。
人物描写が希薄なのでアクションだけの映画と感じてしまう。
アクションはブルース・リーかジャッキー・チェンのカンフー映画を見る思いのするシーンの連続である。
ジェイソン・ステイサムが平均的アクション映画の主人公になってしまっているが、唯一面白いのはオイルをまき散らしたところでの格闘場面だ。
上半身裸の体にオイルを塗っているので、相手が腕をつかもうとしても滑ってしまってつかむことができない。
相手側の者たちも滑りまくって格闘どころではない。
蹴とばすとオイルの上を滑っていくなど、この場面のアクションだけは楽しめる。
自転車のペダルを足につけて滑らなくするのも納得できる。
しかしアクションもカーアクションも新鮮味がなく、くどいように思えて、僕はあまり楽しめなかった。
再度思う。
シリーズ化されたことがわからん。