おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

時をかける少女 Anime

2024-01-12 08:42:13 | 映画
「時をかける少女 Anime」 2006年 日本


監督 細田守
声の出演 仲里依紗 石田卓也 板倉光隆 原沙知絵
     谷村美月 垣内彩未 関戸優希

ストーリー
高校2年生の紺野真琴(声:仲里依紗)は、故障した自転車で遭遇した踏切事故をきっかけに、時間を跳躍する能力を得る。
叔母の芳山和子(声:原沙知絵)にその能力のことを相談すると、それは『タイムリープ』といい、年頃の女の子にはよくあることだという。
半信半疑の真琴だが、その力の使い方を覚えると、それを日常の些細な不満や欲望の解消に費やす。
世界は私のもの! バラ色の日々と思われたが、クラスメイトの男子生徒、間宮千昭(声:石田卓也)や津田功介(声:板倉光隆)との関係に変化が。
千昭から思わぬ告白を受けた真琴は狼狽のあまり、その告白をタイムリープで無かったことにしてしまう。
やりなおされた「過去」。
告白が無かったことになった「現在」。
ところがその千昭に、同級生の友梨(声:垣内彩未)が告白。
まんざらでもなさそうな千昭。
さっきまで真琴に告白していたのに!
面白くない真琴。
その上、功介にあこがれる下級生、果穂(声:谷村美月)の相談まで受けてしまう。
いつまでも3人の友達関係が続けばいいと考えていた真琴の望みは、タイムリープでかえってややこしく、厄介な状況に。
真琴は果穂の恋を成就させるために、タイムリープで東奔西走するのだが……。


寸評
「時をかける少女」と言えば大林宣彦監督、原田知世主演の映画を思い出す。
僕は筒井康隆の原作を知らないので、どちらがより原作に近いのかは分からない。
そんなことを思うのも両作品は全く違った内容になっているからなのだが、アニメ作品をあまり見ない僕はやはり実写版の方が印象に残る。
とは言え、この作品は実写では表現しにくいファンタジーの世界をアニメならではの描き方で違ったテーマを感じさせている。
それは黒板に書かれた「Time waits for no one」の文字だ。
直訳すれば「時は誰も待ってくれない」となるが、「歳月人を待たず」ということだろう。
人に与えられた時間には限りがある、だから時間を大切の使えと言うことなのだろうし、特に青春時代の時間は無駄に使いしてはいけないと言うことだろう。
説教じみたことを想像させながら、反目的に「( ゚Д゚) ハァ?」という顔文字も添えられてはいるのだが、この英文を書いたのはたぶん千昭だったと思う。

時を戻したり進めたりするのはアニメの世界だけではない。
我々は思い出という形で過去の世界に行き、空想という手段で未来に行ったりしている。
青春時代を振り返れば、誰でもあの時こうしておけばという後悔は一つや二つを有しているのではないか。
真琴と千昭のように青春時代の恋に関しては大いにありそうだ。
時間が戻るならもっとうまい具合に想いを伝えられただろうにと懐かしむ。
僕などは想いを寄せた女性と一緒したわずかな時間を何度も思い出し、実現できなかったことを何度も想像した。
それも遠い昔の事となってしまった。
真琴は才色兼備の女の子ではない。
最初で「そんなに頭良くないけど、バカってほどじゃない」とか「後から思い出してやんなっちゃう失敗も、そんなにしない」などと言って自身をそこそこに評価しているが、実際は数学のテストを全然解けないし、調理実習で火事を起こしそうになったりと失敗ばかりしているドジな女子高生だ。
そして「今のは例外」とそれらの失敗について反省をしない、よく言えば超ポジティブな女の子である。
友梨という女友達がいるが、ほとんど千昭と功介の男友達と一緒にいる。
しかも部活を一緒にやっているというのではなく、いつも三人で野球をやっている。
投げて、打って、守ってという野球だが、1人でも欠けると野球ではなくなりキャッチボールしかできない。
その関係性が崩れるところから物語は大きく動く。
千昭がいなくなっても、新たに誘った後輩たちが仲間に加わって野球を続けているが、これは真琴が三人だけの世界から抜け出し、新たな未来に向かって歩き始めたことを象徴している。
未来で待っているのは千昭ではない、待っているのは真琴がこれから経験していく世界だ。
伯母の和子は「あなたは約束の時間に遅れた人を待っているのではなく、走って迎えに行く人でしょ」と真琴に言っている。
それが青春だと思うのだが、やはり僕はアニメだと素直にその世界に入っていけない。
各国の映画祭などで多くの賞を受賞するなど高い評価を受けたと言うことだが・・・。