おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

テロ,ライブ

2022-11-21 07:47:52 | 映画
「テロ,ライブ」 2013年 韓国              

                        
監督 キム・ビョンウ                                
出演 ハ・ジョンウ イ・ギョンヨン チョン・ヘジン
   イ・デヴィッド キム・ソジン キム・ホンパ

ストーリー                                      
かつて国民的な人気を誇っていたアナウンサーのユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)は、不祥事を起こしたためにテレビ局からラジオ局に左遷となっていた。
彼が受け持つラジオ番組の生放送中、漢江にかかる橋を爆破するという脅迫電話を受ける。
イタズラと思って電話を切るが、その瞬間に漢江に架かるマポ大橋が爆破される。
ヨンファは爆破テロだと確信し、事件の実況と犯人との通話の独占生中継と引き換えに自分をテレビ局へ復帰させるよう報道局長(イ・ギョンヨン)に持ちかける。
その後、大統領の謝罪と21億ウォンの現金を要求した犯人は、ヨンファの耳に付けられたイヤホンにも爆弾を仕込んだことを告げる……


寸評
何でもありの韓国映画らしい作品で、どうして?などとの疑問を吹き飛ばしてしまうストーリー展開を見せつける。
犯人はどうして放送局のイヤホンに爆弾を仕掛けることが出来たのか?
そしてそれはどのような爆弾なのか?
警察による被害者救出作業は?
ビルを倒してしまうような爆弾をどのようにして入手、設置したのか?
突っ込みどころは一杯あるのに、そんな事は関係ないとばかりに一切を省略し、作品を力ずくで推し進めていく。
ストーリー展開、画面展開を含めてその強引さが韓国映画を感じさせてくれて小気味いい。

ほとんどユン・ヨンファを演じたハ・ジョンウの一人芝居なのに、ちょこっと出てくる脇役達がそれなりの存在感を出していた。
大統領の謝罪と言えば、過日に起きた「セウォル号」事件を思い起こしてしまう。
あの時も国を挙げての腐敗が報じられたが、ここでも盛んにその実態が描かれている。
かの国においては、政治の腐敗は本当に常習化しているのだろうと感じてしまった。
さらには、ニュースキャスターまでもが不正を働いていたとあっては救いようがない。
その救いようのなさがラストに至ってもない。
普通は一点の光明を示して終わるものなのに、誰一人、何事においても救われるものも明日への希望もなくラストを迎える。
スリルとサスペンスに満ちた娯楽作ではあるが、もしかするとこの作品は韓国という国の慢性的な腐敗を告発する社会映画だったのかも知れないなと思ったりした。

国家の見栄と、国家及び権力の前に無力な国民の姿が描かれていて、最後には欺瞞に満ちた大統領の演説が流れる。
封切時に映画館を出る時には、時の大統領に対する嫌悪感もあって、あの大統領が男性ではなく女性だったらもっと面白かっただろうにと想像していた。
いやいや、そんな事を言っては日韓関係にヒビがはいり、某新聞の慰安婦報道がごとき罪を犯してしまう。
やはり映画は絵空事なのだから、そこは架空大統領で良かったのだとしておこう。