おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

まほろ駅前狂騒曲

2024-07-28 07:10:30 | 映画
「まほろ駅前多田便利軒」は 2020-04-17 で紹介しています。

「まほろ駅前狂騒曲」 2014年 日本


監督 大森立嗣
出演 瑛太 松田龍平 高良健吾 真木よう子 麿赤兒 本上まなみ 奈良岡朋子 新井浩文 三浦誠己 古川雄輝 伊佐山ひろ子 市川実和子 松尾スズキ 大森南朋 岸部一徳 永瀬正敏

ストーリー
多田啓介(瑛太)は、東京の郊外にある決して治安がいいとは言えないまほろ市の駅前で便利屋を営んでいるバツイチの男。
そんな多田のもとへ、中学時代の同級生でやはりバツイチの行天春彦(松田龍平)が転がり込んで来てから早くも3年目を迎えていた。
多田の営む多田便利軒には、いつもアクの強い客や奇妙な依頼が舞い込んで来る。
2人で行う便利屋仕事もすっかり板についてきたある日、多田はある難題を抱え込んでしまう。
ある日突然、行天の元妻である医者の三峯凪子(本上まなみ)から、これまで会ったことのなかった行天の娘・はる(岩崎未来)を無理矢理預けられてしまう。
多田は子ども嫌いの行天にちゃんと伝えられず四苦八苦。
多田たちは慣れないはるの子守りに四苦八苦しながらも面倒を見ているうちに、行天は次第に父親らしさが出てくるようになっていく。
そんな時、まほろ市の裏組織の人間である星(高良健吾)から、駅前で毎日ビラ配りをしている『家庭と健康食品協会』という怪しい団体の調査を依頼される。
極秘裏に調査を進める多田は、その協会の前身が新興宗教団体だったということをつきとめる。
さらに、代表の小林(永瀬正敏)は行天の過去を知る人物だということもわかった。
さらに調査を進める多田啓介たちだったが、思わぬ形でバスジャック事件に巻き込まれてしまう。
果たして2人の運命はどうなってしまうのか?


寸評
この作品は、まほろワールドのマニア向け映画になってしまっていた様な気がする。
それにしては、のんびり登場人物紹介を描くスローな展開にいら立つが、初見の人向けには必要だったのかもしれない。
それでも一作目に続いて同じ人物が登場するので、やはりこれは一作目を見ていないと興味半減だと思う。
男だけで子供を預かり面倒を見るストーリーは、多田と行天に本質を突いた会話をさせるが通り一辺倒である。
無農薬栽培農業とあやしげなカルト団体が絡んでいる設定も何か無理がある。
バスジャック事件も唐突で滑稽感だけがあり、そこで行われる人物たちの行動や取り巻く警察の動きなどにリアリティも説得力もない。
親子や家族関係、老人介護、人工授精、同性愛者、カルト宗教、商品偽装など、様々なテーマをてんこ盛りにし過ぎた感が否めない。

メインは子供嫌いな行天が、精子提供した自分の子供を預かるというものだが、実際に描かれているのは心の傷を持つ者たちの姿だ。
行天は子供の頃の出来事がトラウマとなって、それが子供嫌いの原因にもなっている。
多田は自分の子供を亡くした過去を背負っている。
行天の元妻である医者の三峯凪子は同性愛者で、預かった子供は母親をお母さん、パートナーをママと呼んでいるから、子供もその世界の中で生きていることが分かる。
多田が思いを寄せる柏木という女性も離婚経験があり、なにやら心に抱えるものがありそうだ。
かれらの心の傷がどのように癒されていくのかと思って見ていたが、あまり感じるものがなかったなあ。

よくわからないのが、カルト集団の小林(永瀬正敏)という男で、行天との関係が明かされるが、消化不良をきたす描き方で、この男がなぜ存在しているのか僕にはわからなかった。
親分にとって代わろうとしている暴力団員の飯島(新井浩文)は、その野望が親分にバレたはずだが、その後どうなったのか?
星は多田に見舞金をよこす間柄の様だが、その関係もよくわからない。
バスジャックされたバスに偶然乗り合わせたシンちゃん(松尾スズキ)、ほんの少し登場する刑事の早坂(岸部一徳)などを見ていると、やはりこれはマニア向けの映画なのだと思ってしまう。

ただ、この映画の雰囲気を支えているのが、多田、行天の凸凹コンビのキャラクターで、瑛太と松田龍平が本質を突く会話をはさみながら絶妙のコンビネーションを見せる。
凸凹コンビの作品は、それこそ数え上げればきりがないほど作られているが、このキャラクターは面白い。
特に行天の松田龍平が冒頓としたしゃべりでユニークな味を出している。
この雰囲気を持つ男は、他の作品にはないキャラクターとなっている。
まったくもって、この二人の映画である。
ふたりのやり取りを楽しむ映画なのかもしれない。
ちなみに、今回も大森監督の父の麿赤兒と弟の大森南朋が出演している。


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