おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

2024-07-31 07:35:23 | 映画
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」 2011年 イギリス


監督 フィリダ・ロイド                                
出演 メリル・ストリープ ジム・ブロードベント    オリヴィア・コールマン    ロジャー・アラム スーザン・ブラウン ニック・ダニング ニコラス・ファレル    イアン・グレン リチャード・E・グラント アンソニー・ヘッド 

ストーリー
孤独な晩年を送る86歳のマーガレット・サッチャー。
すでに他界した夫デニスの幻想を相手にしてしまうこともしばしば。
そんな彼女は、ふと自らの人生を振り返る。
雑貨商の家に生まれたマーガレットは市長も務めた父の影響で政治を志すが、初めての下院議員選挙に落選してしまう。
失望する彼女に心優しい事業家デニス・サッチャーがプロポーズする。
「食器を洗って一生を終えるつもりはない」と野心を隠さないマーガレットを、デニスは寛容に受け入れる。
双子にも恵まれ、幸せな家族を築く一方で、マーガレットは政治家としての階段も昇りはじめる。
失墜した英国を再建するという気の遠くなるような闘いだったが、彼女はその困難に立ち向かう。
愛する夫や子供たちとの時間を犠牲にし、マーガレットは深い孤独を抱えたままたった一人で闘い続けた…。
現在のロンドン。
どんなに苦しい時も支え続けてくれた夫・デニスは既に他界した。
だが、マーガレットは未だに夫の死を認識していないのか、時折不可解な行動が目立つ。
思い出の洪水の中で、デニスの遺品を手に取り彼女は「あなたは幸せだった?」とつぶやくのだった…。

寸評
晩年のサッチヤーの視点からドラマを組み立てているのは面白くて、亡き夫の幻影を見、会話を交わすなどかなり老いぼれた感じになった彼女を中心に描いて、その彼女の回想という形で一代記を描いていくスタイルはドラマに奥行きを生み出していた。
しかし、勝手にではあるが期待していたサッチャーの野望や野心に満ちた成りあがり物語としての描き方、あるいは「鉄の女」とよばれたその強靭ぶりは思いの他弱かった。
彼女の政治思想や政策、あるいは男性上位の政界の内幕、そして妻や母としての葛藤のドラマなどの様々な要素がバランスよく配置されているものの、切れ味鋭い演出は見られなかった。
作り手の意図が前面に出たテーマ性の強い作品と想像していたが、以外とオーソドックスな伝記映画だったと思う。
その分、手堅くまとめられていたとは思うけれど・・・。

フォークランド紛争時の毅然とした態度にリーダーシップの真髄を見せられ、我が国の首相とどうしても比較してしまった。
サッチャー首相とレーガン大統領がダンスしているニュース・シーンが挿入されていたが、お二方ともアルツハイマーになっておられたと聞き及んでいるので、計り知れないプレッシャーから解放された結果だろうかとも想像し、やりたいこともなくて成りたいだけでなったどこかの国の総理の能天気さが気になった。

全体的にはメリル・ストリープによるメリル・ストリープのための映画という感じ。
彼女がオスカーの主演女優賞を取るのなら、影は薄いけれど夫役のジム・ブロードベントが助演男優賞をもらっても良かったかもしれなく、実話と同様にマーガレット・サッチャーをサポートしていた。


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