能登半島の窮状ーー震災に遭った人々の窮状ーーが、連日、大きな関心を呼んでいる。これはなにも日本国内に限ったことではなく、世界各国からも、お見舞いの電報が続々と届いている。外務省のHPを見ると、その数は馬鹿にならない。10カ国とか、20カ国とか、簡単には数え切れないほどの数なのである。
これは私には驚きだったが、こんなことは、ことさらニュースにするほどの価値もない、ごくありふれたことなのだろう。
ただ、お見舞いの気持を表したこれらの国の中に、あの北朝鮮が入ることになった。これはさすがに意外だった。各種メディアも、この話題には飛びついた。
ブルネイや、パラオやエクアドルからお見舞いの電報が届いても、これを報じるメディアはない(たぶん)が、北朝鮮となると、これがニュースになる。たとえばNHKは次のように報じている。
「能登半島地震の被害を受けて、北朝鮮はキム・ジョンウン(金正恩)総書記が岸田総理大臣に宛てて見舞いの電報を送ったと6日、朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて発表しました。
5日付けの電報でキム総書記は『日本で不幸にも年初から地震によって、多くの人命被害と物的な損失を受けた知らせに接し、遺族と被害者に深い同情とお見舞いの意を表す』としています。
そのうえで、『被災地の人々が1日も早く地震の被害から復旧し、安定した生活を取り戻すことを願っている』と強調しています。
北朝鮮の報道を分析しているラヂオプレスによりますと、キム総書記が自然災害に関連して、日本の総理大臣に電報を送ったと伝えられたのは今回が初めてだということです。」
(NHK NEWS WEB 1月6日配信)
北朝鮮にとって、日本は敵対する「日米韓」軍事同盟のメンバーである。にもかかわらず、金正恩はなぜ日本に「お見舞い」の電報を送ったのか。
軍事的には敵対関係にあっても、天災による被害はこれとは別、というのが、国際的な外交儀礼なのだろう。
事実、あの中国もーーフクシマ処理水の海洋放出に対しては散々日本に罵声を浴びせたあの中国もーー今回の能登半島震災に対しては、日本に「お見舞い」の電報を送ってきている。
ただ、そうであっても、これがあの金正恩のふるまいとなると、話は違ってくる。この「お見舞い」電報には、なにか別の思惑があるのではないか、ーーそう勘ぐりたくなるのが、ほとんどの日本人だろう。
こうした「下種(げす)の勘ぐり」は腹にしまって、さりげなく受け流した日本政府の対応は立派というか、さもありなんだった。
「林官房長官は記者会見で、『能登半島地震による被害には各国からお見舞いのメッセージを受け取っており、キム・ジョンウン総書記からのメッセージにも感謝の意を表したい。2011年の東日本大震災を含め、北朝鮮の最高指導者からわが国の総理宛てに地震などに対するお見舞いのメッセージが発出された近年の例は承知していない』と述べました。
また、メッセージに返答する考えはあるか聞かれたのに対し、『被害にあわれた方への対応に全力で取り組んでおり、各国首脳などからのメッセージへの返信は現時点で行っていない。日朝間のやり取りについては、今回のメッセージに対する対応を含め、事柄の性質上、控えたい』と述べました。」
(同前)
ただ、最後にひとこと付け加えるなら、金正恩のメッセージへの返答に関する、官房長官のコメントはちょっと素っ気なさ過ぎたのではないか。たしか岸田首相はこう語っていた。
「拉致問題を解決するため、キム総書記とは機会をとらえ、一刻も早く話し合いたい。」
キム総書記からの今回のメッセージは、まさに(とっかかりへの)よい機会だったのではないか。官房長官のあまりにも素っ気ない対応は、好機を自ら放り投げたようなものだと思うのである。
これは私には驚きだったが、こんなことは、ことさらニュースにするほどの価値もない、ごくありふれたことなのだろう。
ただ、お見舞いの気持を表したこれらの国の中に、あの北朝鮮が入ることになった。これはさすがに意外だった。各種メディアも、この話題には飛びついた。
ブルネイや、パラオやエクアドルからお見舞いの電報が届いても、これを報じるメディアはない(たぶん)が、北朝鮮となると、これがニュースになる。たとえばNHKは次のように報じている。
「能登半島地震の被害を受けて、北朝鮮はキム・ジョンウン(金正恩)総書記が岸田総理大臣に宛てて見舞いの電報を送ったと6日、朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて発表しました。
5日付けの電報でキム総書記は『日本で不幸にも年初から地震によって、多くの人命被害と物的な損失を受けた知らせに接し、遺族と被害者に深い同情とお見舞いの意を表す』としています。
そのうえで、『被災地の人々が1日も早く地震の被害から復旧し、安定した生活を取り戻すことを願っている』と強調しています。
北朝鮮の報道を分析しているラヂオプレスによりますと、キム総書記が自然災害に関連して、日本の総理大臣に電報を送ったと伝えられたのは今回が初めてだということです。」
(NHK NEWS WEB 1月6日配信)
北朝鮮にとって、日本は敵対する「日米韓」軍事同盟のメンバーである。にもかかわらず、金正恩はなぜ日本に「お見舞い」の電報を送ったのか。
軍事的には敵対関係にあっても、天災による被害はこれとは別、というのが、国際的な外交儀礼なのだろう。
事実、あの中国もーーフクシマ処理水の海洋放出に対しては散々日本に罵声を浴びせたあの中国もーー今回の能登半島震災に対しては、日本に「お見舞い」の電報を送ってきている。
ただ、そうであっても、これがあの金正恩のふるまいとなると、話は違ってくる。この「お見舞い」電報には、なにか別の思惑があるのではないか、ーーそう勘ぐりたくなるのが、ほとんどの日本人だろう。
こうした「下種(げす)の勘ぐり」は腹にしまって、さりげなく受け流した日本政府の対応は立派というか、さもありなんだった。
「林官房長官は記者会見で、『能登半島地震による被害には各国からお見舞いのメッセージを受け取っており、キム・ジョンウン総書記からのメッセージにも感謝の意を表したい。2011年の東日本大震災を含め、北朝鮮の最高指導者からわが国の総理宛てに地震などに対するお見舞いのメッセージが発出された近年の例は承知していない』と述べました。
また、メッセージに返答する考えはあるか聞かれたのに対し、『被害にあわれた方への対応に全力で取り組んでおり、各国首脳などからのメッセージへの返信は現時点で行っていない。日朝間のやり取りについては、今回のメッセージに対する対応を含め、事柄の性質上、控えたい』と述べました。」
(同前)
ただ、最後にひとこと付け加えるなら、金正恩のメッセージへの返答に関する、官房長官のコメントはちょっと素っ気なさ過ぎたのではないか。たしか岸田首相はこう語っていた。
「拉致問題を解決するため、キム総書記とは機会をとらえ、一刻も早く話し合いたい。」
キム総書記からの今回のメッセージは、まさに(とっかかりへの)よい機会だったのではないか。官房長官のあまりにも素っ気ない対応は、好機を自ら放り投げたようなものだと思うのである。