国際問題は難しい。難しいから、あえて単純化して考えてみよう。最近とみに激化の度を加えている米中対立は、今までのボス犬と、近ごろ力をつけてきたライバル犬とのマウント合戦の結果だと言えるだろう。
「トゥキディデスの罠」という言葉がある。ナンバー2の国が勢力を伸ばすと、ナンバー1の国は不安に駆られる。その結果、偶発的な事柄から戦争に突入することを指す。アメリカの政治学者グレアム・アリソンは、古代国家スパルタとアテナイ間の緊張関係が 大きな戦争(ペロポネソス戦争)に発展した歴史的事例を念頭におきながら、米中戦争の可能性と必然性に言及した。
大国同士の戦争は、周辺諸国にも多大の厄災をまき散らす。周辺諸国の一角を占めるわが日本は、では、この戦争の可能性に対して、どう臨めば良いのか。朝日新聞は社説でこう論じている。
「ほとんどの国にとって、米国か中国かの陣営の選択は不可能な話だ。グローバル化した世界の安全保障と経済を考えれば、もはや力による対決は非現実的であり、協調による共存が望ましいのは自明のことだ。
日本は米国の密接な同盟国であるとともに、中国とは歴史的につながりの深い隣国である。アジア、そして世界の不安を和らげるためにも、米中の対立悪化を防ぐための固有の役割を、もっと意識すべきだろう。」
(7月28日《米の対中政策 力の対決では道開けぬ》)
問題は、どうやって米中の仲立ちをするかである。朝日のこの社説が念頭においているのは、おそらく二階自民党幹事長ら「媚中派」の役割である。この「媚中派」は、ではどういう働きをしたのか。
「自民党外交部会などの合同会議は6日、中国が香港統制を強める『香港国家安全維持法』の施行を受けた党の決議について議論した。外交部会役員会は習近平国家主席の国賓来日中止を求める案をまとめていたが、中国に深いパイプを持つ二階俊博幹事長が反発。同日の会議では、決議案に対し賛否両論が出された。今後の対応は中山泰秀外交部会長に一任されたが、決議案の修正も含め検討する見通しだ。
決議案をめぐっては、外交部会役員会が3日に『国賓来日中止』を求める案をまとめた。しかし、二階氏が周辺に『(日中関係に関わった)先人の努力を水泡に帰すものだ』と唱え、文言調整を求めていた。」
(JIJI.COM7月6日配信)
この二階幹事長の反応は、当然といえば当然である。米中対立の本質はマウント合戦にある。「どうだ、我が国は一番なんだぜ。我が国が一番強いんだぜ」と勢力を誇示したがる中国に対して、「あんたたちのやり方は間違っている」と〈正義〉の鉈を振えば、「なんだと!そう言うおまえはアメリカの手先なのか!」と、猛反発をくらうに決まっている。だから「(日中関係に関わった)先人の努力」を無駄にしないためには、この国が行った数々の悪逆無道に対して、目をつぶるしかないのである。
しかしなあ・・・。
「政府は『(習近平国家主席の)来日が実現すれば、日本が(香港の)国安法を容認していると国際社会に受け取られかねない』」(閣僚経験者)と懸念する。」
(東京新聞電子版7月8日配信)
そうなんだよなあ。日中関係に波風を立てまいと思えば、『日本は中国の悪逆無道を容認している』と受け取られかねないからなあ。二階の爺さん、一体どうするつもりかね。
「トゥキディデスの罠」という言葉がある。ナンバー2の国が勢力を伸ばすと、ナンバー1の国は不安に駆られる。その結果、偶発的な事柄から戦争に突入することを指す。アメリカの政治学者グレアム・アリソンは、古代国家スパルタとアテナイ間の緊張関係が 大きな戦争(ペロポネソス戦争)に発展した歴史的事例を念頭におきながら、米中戦争の可能性と必然性に言及した。
大国同士の戦争は、周辺諸国にも多大の厄災をまき散らす。周辺諸国の一角を占めるわが日本は、では、この戦争の可能性に対して、どう臨めば良いのか。朝日新聞は社説でこう論じている。
「ほとんどの国にとって、米国か中国かの陣営の選択は不可能な話だ。グローバル化した世界の安全保障と経済を考えれば、もはや力による対決は非現実的であり、協調による共存が望ましいのは自明のことだ。
日本は米国の密接な同盟国であるとともに、中国とは歴史的につながりの深い隣国である。アジア、そして世界の不安を和らげるためにも、米中の対立悪化を防ぐための固有の役割を、もっと意識すべきだろう。」
(7月28日《米の対中政策 力の対決では道開けぬ》)
問題は、どうやって米中の仲立ちをするかである。朝日のこの社説が念頭においているのは、おそらく二階自民党幹事長ら「媚中派」の役割である。この「媚中派」は、ではどういう働きをしたのか。
「自民党外交部会などの合同会議は6日、中国が香港統制を強める『香港国家安全維持法』の施行を受けた党の決議について議論した。外交部会役員会は習近平国家主席の国賓来日中止を求める案をまとめていたが、中国に深いパイプを持つ二階俊博幹事長が反発。同日の会議では、決議案に対し賛否両論が出された。今後の対応は中山泰秀外交部会長に一任されたが、決議案の修正も含め検討する見通しだ。
決議案をめぐっては、外交部会役員会が3日に『国賓来日中止』を求める案をまとめた。しかし、二階氏が周辺に『(日中関係に関わった)先人の努力を水泡に帰すものだ』と唱え、文言調整を求めていた。」
(JIJI.COM7月6日配信)
この二階幹事長の反応は、当然といえば当然である。米中対立の本質はマウント合戦にある。「どうだ、我が国は一番なんだぜ。我が国が一番強いんだぜ」と勢力を誇示したがる中国に対して、「あんたたちのやり方は間違っている」と〈正義〉の鉈を振えば、「なんだと!そう言うおまえはアメリカの手先なのか!」と、猛反発をくらうに決まっている。だから「(日中関係に関わった)先人の努力」を無駄にしないためには、この国が行った数々の悪逆無道に対して、目をつぶるしかないのである。
しかしなあ・・・。
「政府は『(習近平国家主席の)来日が実現すれば、日本が(香港の)国安法を容認していると国際社会に受け取られかねない』」(閣僚経験者)と懸念する。」
(東京新聞電子版7月8日配信)
そうなんだよなあ。日中関係に波風を立てまいと思えば、『日本は中国の悪逆無道を容認している』と受け取られかねないからなあ。二階の爺さん、一体どうするつもりかね。