ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

米朝交渉におけるスウェーデン

2018-02-28 11:40:46 | 日記
このバイプレイヤーの存在は知らなかった。これまで聞いたこともなかった。
活躍の舞台は、米朝間の交渉。このバイプレイヤーの名は、スウェーデンで
ある。
私がこの情報を手に入れたのは、HUFFPOSTの記事《北朝鮮「平昌平和攻勢」の
舞台裏(5)鍵は「スウェーデン」と「韓成烈」という男》(2月27日配信)
によってである。筆者は平井久志氏(共同通信客員論説委員)。米朝交渉にお
けるスウェーデンの役回りについては、私と同様、ほとんど知らない読者が多
いだろうから、まずはこの記事を簡単に紹介することから始めよう。

【スウェーデンのこれまでの動きと役割】

▲昨年12月19日から21日まで、スウェーデン政府特使であるハールステット
国会議員一行が訪朝した。一行は北朝鮮滞在中、政権幹部と意見交換をした。
※『朝鮮中央通信』は12月21日、「(両国は)席上、両国関係を様々な分野で
拡大、発展させて行く問題を討論し、最近の朝鮮半島情勢と関連して意見を交換
した」と報じた。

▲ハールステット特使は訪朝に先立ち、中国を訪問。昨年12月18日に6カ国協
議で中国の首席代表を務める朝鮮半島問題特別代表と会い、朝鮮半島問題で意見
を交換した。
▲ハールステット特使は昨年6月20日から23日にも訪朝し、北朝鮮の政権幹部
と会っている。
▲米国とカナダが共催する北朝鮮の核・ミサイル問題に関する外相会合が、カナ
ダで1月16日に開催され、スウェーデンもこれに参加した。『聯合ニュース』
によると、韓国の外相はこの外相会合でスウェーデンの外務次官と非公開の会談
を行った。
※聯合ニュースは、韓国と北欧国家が対北朝鮮政策で協力体制をつくる方法な
どで意見交換をした、と報じた。

▲北朝鮮の韓成烈外務次官が1月27日に平壌を出発し、同29、30日の両日、ス
ウェーデンを訪問し、2月6日に北京経由で平壌へ帰国した。


【米朝交渉における北朝鮮のキーマン「韓成烈」】

▲北朝鮮の韓成烈次官は、北朝鮮外務省切っての米国通だ。1954年生まれで、
金日成総合大学政治経済学科を卒業して外務省入り。2016年に外務次官に就
任した。
▲3度の米国勤務に表れているように、米国務省と北朝鮮とをつなぐニュー
ヨーク・チャンネルを担うキーマンである。米国務省側も、本当の意思疎通
をするためには韓成烈次官を対話相手に求める傾向がある。
▲韓成烈次官はそのキャリアからもわかるように、米国担当で欧州担当ではな
いと見られている。その韓次官がスウェーデンを訪問したのは、スウェーデン
との主な協議課題が2国間関係ではなく、米朝関係にあること示している。


【朝鮮半島とスウェーデンの関係】

▲朝鮮戦争(1950~53年)が休戦状態になって以来、スウェーデンは西側で
はスイスとともに休戦協定の中立国監視委員会のメンバーを担ってきた。さら
に1973年、西欧の国としては最初に北朝鮮と国交を結び、1975年には平壌に
大使館を設置した。
▲こうした経緯から、スウェーデンは北朝鮮における米国、カナダ、オースト
ラリアの利益代表部の役割を果たしている。北朝鮮では、観光目的で入国した
米国人が拘束されたりするが、拘束された米国人の面会などの領事業務をス
ウェーデンが代行している。
▲日本は拉致問題の再調査などのために北朝鮮と非公式協議を続けたが、この
最後の詰めはスウェーデンの首都ストックホルムで行われた。そのため、この
時の合意文書は「ストックホルム合意」と呼ばれている。
▲スウェーデンは朝鮮半島問題だけでなく、国際的な紛争において中立的な立
場を維持しながら、仲介や外交舞台を提供するなどしてきた実績がある。
▲オバマ政権下での米朝間の非公式協議は2015年末から始まったが、それも
スウェーデンのストックホルムだった。しかも、これに出向いたのは韓成烈氏
であった。

【謎の空白】

▲『朝鮮中央通信』などによると、韓成烈次官はスウェーデンで政府高官と会
談した。この一連の会談では、北朝鮮とスウェーデンの2国間関係よりも、拘
束米国人問題や核・ミサイル問題を含む朝鮮半島情勢について議論されたと見
られる。
▲気になるのは、韓成烈次官が1月29、30日にスウェーデン側との会談を行っ
たが、北朝鮮に帰国したのは2月6日だということだ。この5~6日間の空白の
日程に何をしていたのかは、明らかではない。
▲スウェーデン側の動きも気になる。平昌五輪で朝鮮半島が緊張緩和の方向に
動いている中で、ヴァルストローム外相が韓国を訪問、2月19日に康京和外相
と会談した。
▲韓国外務省によると、「両外相は平昌五輪でつくられた南北対話の勢いを維
持し、北朝鮮の核問題の平和的な解決に向けた対話につながるような外交的努
力を続けていく」ことで一致したという。
▲ヴァルストローム外相は、記者から米朝対話の仲介の計画はあるのかとの質
問を受け、「会うことが可能になるように寄与することがあれば何でもやる。
さらに多くの対話が生まれるように助けることがあればやる」と積極的な姿勢
を示した。さらに「国連安保理の制裁を引き続き履行しながら、それとともに
対話にも門を開けておかねばならない」とし、「もちろん、北朝鮮の非核化と
いう長期的な目標はあるが、北朝鮮の平昌五輪参加は、信頼を積み重ねる上で
小さな一歩だと考える。だから、私の考えではこれは望ましいことだ」と述べ
た。(つづく)


以上に紹介した記事はまだ完結しておらず、続編があるようだ。上記の紹介で
は簡潔さを第一に心がけ、相当の部分を割愛したが、それでもスウェーデン、
北朝鮮両国のバイプレイヤーズがかなり複雑な動きをしていることがお分かり
いただけただろう。この記事の続編が配信され次第、本ブログでもそれを紹介
するつもりである。乞うご期待。
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定額働かせ放題なのか

2018-02-27 11:34:47 | 日記
働き方改革法案。その根拠となるデータがデタラメであることがわかったの
に、政府はこの法案を撤回するつもりはなく、予定通り、今国会で成立させる
つもりだという。そこまでして強行する、政府与党のその意図は何か。「裁量
労働制」の確立がそこにあることは、国民のだれの目にも明らかである。

この裁量労働制は、「定額働かせ放題」の制度と揶揄される通り、働く側では
なく、働かせる側、つまり雇用者側の便宜を重視した制度である。働き方改革
法案は「社会の要請」にもとづくものだと経団連の榊原会長は述べたらしいが、
有り体に言えば、この法案は「財界の要請」にもとづくものである。

労働の主役たる国民の、その大半が反対しているのに、金づるのご機嫌をうか
がい、あくまで財界の下僕であることを止めようとしない、そんな政権政党の
行く末がどうなるのか、それは火を見るよりも明らかである。後悔先に立た
ず、だよね。

まあ、労働力にならない老いぼれジジイには、関係ない話だけど。
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3D・VR化だって?

2018-02-26 18:07:08 | 日記
きょうの新聞におもしろい記事がのっていた。「3D・VR映像」とでもいうの
だろうか。360度カメラで写した画像を、VR化のシステムに組み込むと、それ
によって処理された画像が、なんとも素晴らしいものになる。専用のゴーグル
を掛けてこの画像を見ると、目を向けた方向に画像が移動し、あたかもその場
にいるかのような、仮想の臨場体験が得られるというのである。

この技術がテレビ映像に応用されれば、視聴者はたとえばパリに行かなくて
も、スイッチを入れれば、パリに行ったのと同じ海外ツアーの気分を味わえ
るようになるだろう。高齢者にとっては、これは朗報である。私のように脳出
血の後遺症で歩行困難にならなくても、人は高齢になれば肉体の衰えにより、
出歩くことが億劫になるものだ。むかしは旅行が好きだったのに、足腰が衰え
て出歩くのが不安になり、出不精になった老人には、この話はまたとないカン
フル剤になるのではないか。

だが、よく考えてみれば、良いこと尽くめでもない。旅行業者はこの話に衝撃を
受け、危機感をいだくだろう。介護役の添乗員を増やし、「車イスで行けるフラ
ンス!」と銘打ったプランをせっかく作り上げたのに、知恵を絞り、苦労してやっ
と商品を作りあげた努力も、これでは水の泡になるではないか。

実を言うと、私も、諸手をあげて「これは素晴らしい!」と思ったわけではない。
というのも、この技術(3D・VR映像化技術)によって旅行の臨場体験がホント
に得られるのか、仮に得られたとして、旅行の喜びがそれによって得られるのか、
はなはだ疑問に思うからである。

話を分かりやすくするために、ひとつ「エベレストの山頂に立つ」という体験
のことを考えてみよう。四方を見渡せば、それなりの風景がぐるりと映し出さ
れたとしよう。だが、それだけでは「エベレストの山頂に立った!」という臨
場感や達成感は得られない。山頂には風がビュービュー吹き荒れている。その
風は、身体を吹き飛ばすパワーを宿し、おそらく肌を刺すような冷たさだろう。
顔面を突き刺すような冷たい風の感覚。これはたぶんそれなりの装置で補うこ
とができるだろうが、しかし、それでもまだ充分ではない。

身体全体を襲うどうしようもない疲労や空腹や苦痛、そして滑落の恐怖、ーー
そういうものを克服してやっと得られる達成感や生の歓びは、そういう負の感
覚を実際に味わうことでしか得られない。しかし、「我々はあなたに、エベレ
スト登頂の歓びを提供します。そのために、疲労や空腹や苦痛や恐怖をしばし
味わっていただきますので、どうぞご辛抱ください」と言われたら、あなたは
大枚をはたいて、この「3D・VRエベレスト登頂」という商品を購入する気
になるだろうか。その気になれる人なら、おそらく彼/彼女は、実際に自分の
脚で富士山の登頂にいどむ道を選ぶだろう。

歓びは険しい茨の道の、そのはるか先にある。安直に歓びを手に入れようなどと
考えるのは、残念だが愚の骨頂でしかない。
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半島情勢の今後を読む

2018-02-25 14:11:52 | 日記
イヴァンカさんへの期待は、泡のように儚(はかな)く消え去った。米朝直
接対話の可能性は限りなくゼロに近くなり、その先に見えたはずの南北朝鮮
統一の計画も、早くも芽を摘まれた格好である。こんな結末は「アホだ!」
と私はきのう本ブログで書いたが、もう少し長いスパンで情勢を見渡せば、
トランプ=イヴァンカの米国側がとった対北強硬姿勢は、セオリー通りの定
石だと言えなくもない。北に強硬姿勢をとり、統一計画を潰せば、韓国は出
口を塞がれ、我が陣営に戻らざるを得なくなる、ーー米側はそう踏んだに違
いない。

北朝鮮はどうか。金正恩は平昌五輪閉会式に、朝鮮労働党の金英哲(キム・
ヨンチョル)中央委員会副委員長・兼・統一戦線部長を代表とする使節団を
派遣する予定だと発表した。「テロ国家」がこれまでに犯した数々の犯罪行
為の、その総元締めのような人物を北が送り込むことに対して、韓国内には
激しい反発の声が上がったが、北側からすればこれは想定内のこと、「この
毒が飲めるか?」という意味を持つ、いわば試金石である。「この毒を飲む
覚悟がなければ、『核保有国・北朝鮮』という毒は飲めないだろう。どうな
のだ?」言い方を変えれば、「こっちに来るつもりなら、このハードルを飛
び越えろ!」と高いハードルをかかげてみせた格好だが、過去にこだわる性
格の、執念深い国民を統治する文大統領にとっては、このハードルは高すぎ
たのではないか。

金与正だけであれば、ペンス副大統領のように、「相手は地球上で最も非道
で抑圧的な政権の大黒柱なんだぞ、騙されるな!」と警告する必要もあった
だろう。だが、相手が金英哲なるテロの総元締めをカードに切ってきた今回
は、その必要すらない。

もっとも、南北統一が民族の悲願を意味するとなれば、また話は違ってくる。
「俺と付き合いたいのなら、俺のすべてを受け入れる覚悟があるかどうか、
よく考えるんだな。俺がワルだったことを忘れるなよ!」
元ヤンに恋をしてしまった少女には、彼のむかしの素行なんて問題にならな
いだろう。

いずれにせよ、米朝がそれぞれカードを切りおえた今、これからの成り行き
の鍵を握るのは、韓国内の政治動向である。韓国の世論は、北朝鮮と手を切
り、米韓同盟に復帰する道を選ぶのだろうか。それとも、民族の悲願を実現
するため、むかしの経緯(いきさつ)には目をつぶろうとするのだろうか。
粘液質の世論と対峙しなければならない、文大統領。彼のお手並みを早く見
たいものだ。
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米朝直接対話のゆくえ

2018-02-24 14:12:42 | 日記
訪韓したイヴァンカさん。そのイヴァンカさんを窓口にした、米朝の直接対
話。ーーこれは「ない!」と見るしかないようだ。つまらないけど。

なぜか。米国内にも、韓国内にも、北朝鮮内にも、今のところ、直接対話を
妨げる要素が充ちみちている。アメリカでも、韓国でも、どこか一国でいい。
直接対話を歓迎するムードで国内世論が一体になり、盛り上がれば、事態は
直接対話へと一挙に動き出すのかも知れない。しかし、アメリカ国内にも、
韓国内にも、強固な反対勢力が厳として存在し、大統領1人だけが孤立して
いる現状では、事態は膠着したまま、一歩も前へ進まない。

きのう書いたように、アメリカでは、ペンス副大統領が、北朝鮮の金与正を
やり玉にあげ、「地球上で最も非道で抑圧的な政権の大黒柱だ」と非難して
いる。

一方、韓国はどうかといえば、五輪の閉会式に北朝鮮から朝鮮労働党の金英
哲(キム・ヨンチョル)中央委員会副委員長・兼・統一戦線部長が出席する
ことに対して、最大野党である自由韓国党の国会議員約70人が、23日、ソ
ウルの大統領府(青瓦台)前で抗議活動を行ったという。
                      (AFP 2月23日配信)

記事によれば、議員らは声明で、金英哲なる男は韓国軍哨戒艦沈没事件の
「極悪非道の戦犯」で、「死刑に値する」と訴えた。この男は、2010年に
韓国海軍の哨戒艦「天安」が魚雷によって沈没し、46人が死亡した事件な
ど、韓国に対する一連の攻撃に関与したとして、各方面から非難されている
人物なのである。「切り刻んで殺されるべき凶悪犯罪者が、五輪閉会式に招
かれることを我々は許すわけにはいかない」というのが議員たちの言い分で
ある。

日本の戦争責任に対する追及のことを考えてみよう。うんざりするほどの、そ
の激しさ・しつこさには、韓国人特有の執念深い性格が表れている。韓国人の
こういうねちねちした性格を考えれば、今回の野党議員団の抗議運動は軽視で
きず、そうとう厄介だと見なければならない。

それだけではない。米朝間にはにわかに暗雲が垂れこめ、あの忌まわしいチ
キンレースが今にも再開される気配なのだ。こんなニュースが飛び込んでき
た。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は23日、論説で「(我が国は)核弾
頭と弾道ミサイルを実戦配備する事業に拍車を掛けている」とした上で、米
国に対し、「任意の時刻、任意の空間から最も致命的な核攻撃を加えられる
準備を全て整えた」と威嚇した。
いかなる制裁や挑発も「われわれの核保有国の地位を絶対崩せない」とし、
「わが国に核放棄を望むのは、海水が干上がるのを待つより愚かな行為だ」
と強調。米国などに、核を持つ北朝鮮との共存が「賢明な選択だ」と迫っ
た。
平昌五輪の閉会式に合わせ、金正恩党委員長の側近の金英哲党副委員長らが
25日から訪韓予定だが、韓国との非核化協議は取り合わないと予告した形
だ。
                  (産経ニュース 2月23日配信)

北朝鮮が威嚇すれば、アメリカ側だって黙ってはいない。トランプ大統領は
北への制裁を「最大化する」と発言しはじめた。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は23日、北朝鮮と関連のあ
る船舶などを対象に含む、同国政権への「史上最も重い制裁」を科すと表明
した。
                     (AFP 2月24日配信)

こんな情勢からすれば、わざわざ韓国まで出かけたイヴァンカさんは置いて
きぼりを食らった格好だが、昨晩行われた文大統領との会談では、彼女はで
はどんな発言をしたのか。こんな情報がある。

韓国側の発表によると、会談で文氏は「北朝鮮の核を認められないという意
思が最も強いのは韓国だが、過去25年間の韓米両政府の努力は成功しなかっ
た」と述べ、五輪を機に新たに醸成された南北対話を非核化のための米朝対
話につなげたいとの考えを表明。イバンカ氏は「北朝鮮に対する最大限の圧
迫のため、両政府が共に努力している効果が出ている」と圧力の重要性を強
調した。
空港到着後、イバンカ氏は記者団に対し「米チームを応援し、我々の強力で
持続的な(韓国に対する防衛の)コミットメント(責務)を韓国国民ととも
に確認することが大変楽しみだ」と述べ、米韓同盟の強固さを改めてアピー
ルする考えを示した。
                   (毎日新聞 2月24日配信)

あらら。なんのことはない。イヴァンカさんは(トランプ大統領も?)米朝
直接対話への意欲など、端(はな)から持ってはいなかったのだ。訪韓の目
的は「米韓同盟の強固さ」を念押しするためだけであって、対北圧力を最大
化し続けるという強硬姿勢にブレはない。北朝鮮に対しては、せいぜい「軍
門に降るなら、テーブルについてあげてもいいわよ」といったところだろう。

北朝鮮がこの情報を得れば、怒りにかられて、核攻撃をちらつかせたくもな
るだろう。売り言葉に買い言葉、みたいなものだ。かくて相も変わらずの、
アホ同士のチキンレース。こんなアホな展開は、だれも予想しなかっただろ
う。
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