文科省の組織的な「天下り」が明るみに出て、世間を騒がせている。この
報道に接して、「忖度」という言葉がすぐに私の頭をかすめた。「忖度」
という言葉を聞くと、あの森友学園問題を思い浮かべる人が多いだろう。
このほど公になった文科省天下り問題は、しかし森友学園問題とあまり変
わらない。問題の構図がきわめて似通っているのだ。
「忖度」とは、他人の心中をおしはかることである。森友学園問題の場合、
この意味で「忖度」をおこなったのは(財務省の)お役人だが、文科省天
下り問題では、(文科省の)お役人が「忖度」を受ける側に立っている。
森友学園問題のケースとは主客が逆になっているが、「権限を持つ側が
『忖度』の客体になり、その恩恵を受けようとする側が『忖度』の主体
になる」という点では一致している。
文科省のお役人は、大学への補助金の配分額を決定する権限を持ってい
る。大学側はより多くの配分額を期待して、文科省のお役人に取り入ろう
とするから、「今年度で我が省の**課長が定年退官するのですよ。なに
ぶんよろしく」と言われれば、無下に断るわけにはいかない。**課長の
経歴を調べて、教授なり、理事なり、事務局長なり、その経歴にふさわし
いポストを用意して迎え入れることになる。**課長は、予算配分の時期
が来れば、多額の補助金を獲得すべく、古巣の後輩たちに掛け合ってくれ
るだろう。**課長に支払う給料など、彼が調達してくれる補助金に比べ
れば、安いものである。
この構図に問題があるとしたら、本来公平であるべき補助金の算定に、私
的な「貸し借り」の損得勘定が入り込む点だろう。森友学園のケースで
も、「忖度」の有無が問題になるのは、(公務員として、公務に当たるべ
き)お役人と(公益のために、フェアな政権運営が期待される)政権サイ
ドとの間に、私的・個人的な「貸し借り」の損得勘定が入り込んでいな
かったかどうかが問われるからである。
世の中の出来事は、ほとんどが私的・個人的な人間関係(いわゆる人脈)
によって決定される。世間知らずのお坊っちゃんか青瓢箪でもなけれ
ば、そんなことはだれでも知っている。お役人や政治家とのコネを求め
て、右往左往する人も多い。それなのに、そこにお役人や政治家がから
み、そのことが明るみに出ると、とたんに事が炎上して、メディアで激し
い糾弾の対象になるのは、なぜなのか。そこには、人脈の恩恵にあずかれ
なかった庶民の、その怨念(ルサンチマン)もまた激しく渦巻いていると
いうことだろう。
そうじゃないのかな。
報道に接して、「忖度」という言葉がすぐに私の頭をかすめた。「忖度」
という言葉を聞くと、あの森友学園問題を思い浮かべる人が多いだろう。
このほど公になった文科省天下り問題は、しかし森友学園問題とあまり変
わらない。問題の構図がきわめて似通っているのだ。
「忖度」とは、他人の心中をおしはかることである。森友学園問題の場合、
この意味で「忖度」をおこなったのは(財務省の)お役人だが、文科省天
下り問題では、(文科省の)お役人が「忖度」を受ける側に立っている。
森友学園問題のケースとは主客が逆になっているが、「権限を持つ側が
『忖度』の客体になり、その恩恵を受けようとする側が『忖度』の主体
になる」という点では一致している。
文科省のお役人は、大学への補助金の配分額を決定する権限を持ってい
る。大学側はより多くの配分額を期待して、文科省のお役人に取り入ろう
とするから、「今年度で我が省の**課長が定年退官するのですよ。なに
ぶんよろしく」と言われれば、無下に断るわけにはいかない。**課長の
経歴を調べて、教授なり、理事なり、事務局長なり、その経歴にふさわし
いポストを用意して迎え入れることになる。**課長は、予算配分の時期
が来れば、多額の補助金を獲得すべく、古巣の後輩たちに掛け合ってくれ
るだろう。**課長に支払う給料など、彼が調達してくれる補助金に比べ
れば、安いものである。
この構図に問題があるとしたら、本来公平であるべき補助金の算定に、私
的な「貸し借り」の損得勘定が入り込む点だろう。森友学園のケースで
も、「忖度」の有無が問題になるのは、(公務員として、公務に当たるべ
き)お役人と(公益のために、フェアな政権運営が期待される)政権サイ
ドとの間に、私的・個人的な「貸し借り」の損得勘定が入り込んでいな
かったかどうかが問われるからである。
世の中の出来事は、ほとんどが私的・個人的な人間関係(いわゆる人脈)
によって決定される。世間知らずのお坊っちゃんか青瓢箪でもなけれ
ば、そんなことはだれでも知っている。お役人や政治家とのコネを求め
て、右往左往する人も多い。それなのに、そこにお役人や政治家がから
み、そのことが明るみに出ると、とたんに事が炎上して、メディアで激し
い糾弾の対象になるのは、なぜなのか。そこには、人脈の恩恵にあずかれ
なかった庶民の、その怨念(ルサンチマン)もまた激しく渦巻いていると
いうことだろう。
そうじゃないのかな。