ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

”Wの悲劇”より

2024-01-19 15:36:26 | 日記
唄はいい。実にいい。
昨夜10時からNHKで「The Covers SP#4」なる音楽番組が放映された。私がこれを録画したのは、”80年代ラブソング〜宮本浩次・Cocco”というサブタイトルに惹かれたからである。何を隠そう、私は宮本浩次の大ファンなのである。


だいぶ前のことになるが、宮本浩次が岩崎宏美の「ロマンス」をカバーするのをテレビではじめて見た(聴いた)とき、私はそのあまりの凄さに、鳥肌が立ったのを憶えている。


あれから時が経ち、彼がカバーする唄の曲数もだいぶ増えたはずだ。今度は何が聴けるのかな、ーー私はわくわくして、けさ起きるとすぐに昨夜の録画を再生したのだった。


最初に映されたのは、宮本浩次が薬師丸ひろ子の「Woman ”Wの悲劇”より」をカバーする姿だった。


唄はいい。実にいい。唄は私をセンチメンタルにする。


もう愛せないと言うのなら、友だちでもかまわないわ


松本隆が作詞したこの唄は、私をすぐにセンチメンタルな世界に引きずり込んだ。テレビの画面には「松本隆が描く究極のラブソング」のキャプションが流れた。
この唄のセリフは、たぶん若い女性が不倫相手の男に対して投げかける言葉なのだろう。
男は「俺には家庭がある。子供もいる。もう君を愛せない」と言ったのだろう。
それに対して、女性は「それなら、友だちでもかまわないわ」と訴えるのだ。


それなら、と私は思ったのである。それなら、この言葉を絞りだすのは、べつに若い女性である必要はないのではないか。
若い男が年上の人妻にこう言うことだって充分あり得る。
「もう愛せないと言うのなら、友だちでもかまわないんだ。だから、なあ、いいだろ・・・」


いやいや、それだけではない。白髪のジジイが年下の人妻にこう言うことだって充分あり得るのではないか。
「もう愛せないと言うのなら、友だちでもかまわないんだ。だから、なあ、いいだろ・・・。ボクはもう老い先が短いんだ。もう少し夢を見させてくれたっていいじゃないか」


NHKの「The Covers」の録画を見ながら、私はすっかり自分の世界に入り込んでいた。そして思った。「友だちでもかまわないから、もう少し夢を見させてくれないか」なんて、私がそんな言葉を吐くことは、後にも先にもないに違いない。ただ、「お友だちになりたい」と思う女性が私の前に現れればいいなあ・・・、という気持ちが私の中に全くないと言ったら、それは嘘になる。「ない」と断言できる自信は、・・・残念ながら、ない。

コメント
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