ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

私とシェイクスピア

2024-01-17 10:41:10 | 日記
シェイクスピアをご存知だろうか?そう尋ねれば、「うん、もちろん」と答える人がほとんどだろう。「では、ハムレットは?」と訊けば、「もちろん。ほら、あれだろ? to be or not to be 」そう答える人が大半だろう。


では訊くが、シェイクスピアの本を、翻訳でもいいから、あなたは実際に読んだことがあるだろうか?


この問いに対して、「どうだったかなあ・・・。ずっと昔に、読んだ気がするけど」そう答える人はいても、「うん、読んだよ」と即座に断言できる人はごく少数だろう。


私はといえば、「いえ、恥ずかしながら、読んだことがありません」と答えるしかない多数派の一人である。


こんなことを書くのはなぜかというと、私はきのう、生まれて初めてシェイクスピア「ハムレット」の文庫本を手にとったからである。きのうはデイサへの出勤日、冷たい風が吹き、雪でも降り出しそうなとても寒い日だった。私はリハビリの待ち時間のためにと、この文庫本(ちくま文庫)をポケットに入れたのである。


どういう風の吹き回しかって? ほかでもない。以前、本ブログに書いたことだが、恩師のヘーゲル研究の泰斗が、年賀状にこんなことを書いていたからである。


ヘーゲルはプラトンをシェクスピアで解釈した。


私もヘーゲル研究者(私の場合はその端くれ)であるから、ヘーゲルが書いたものはあらかた読んでいる。プラトンの対話篇も若い頃に随分読み込んだ。
しかし、シェイクスピアだけはまだ読んでいなかったのである。


これも以前に書いたことだが、私は若い頃に文学畑から哲学畑へと迷い込んだエトランジェである。その私がシェイクスピアを読んでいないなんてアンビリーバボーだが、文学青年を気どる若造なんて、だいたいそんなものなのである。「ボクはね、ブランショのファンなんですよ」などとぬかす奴(←若い頃の私)に限って、シェイクスピアも志賀直哉も読んでいないのである。


それはともかく、私はきのう騒々しいデイサでシェイクスピア「ハムレット」の文庫本を読みはじめた。はじめは登場人物がやたらと多く、それを飲み込むのに苦労したが、読み進むうち、物語全体の構図がインプットされたためか、読むのがだんだん面白くなり、次のデイサのプログラム(利用者全体で行う「脳トレクイズ」)の時間が来ても、この文庫本から離れ難く、後ろ髪を引かれる思いだった。


シェイクスピアが面白くなると、ヘーゲルのようなめんどくさいものには目を向けたくなくなる。まあ、「ヘーゲルのシェイクスピア的解釈」は恩師にお任せして、ご著書が出版された暁に拝読させていただくことにしよう。楽しみである。


コメント
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