最近、世の耳目を集めている話題は大きく3つある。能登半島の震災と、羽田空港の航空機事故、それに自民党のパー券・裏金問題である。このうち航空機事故の話題はだいぶ下火になったが、自民党のパー券・裏金問題はふたたび炎上しはじめた感がある。きょうの朝日新聞の第1面は、この話題だった。
「自民党の最大派閥『清和政策研究会』(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされる事件で、東京地検特捜部は7日、同派所属の衆院議員・池田佳隆容疑者(57)=比例東海、当選4回=と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)を、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕し、発表した。一連の事件で逮捕者は初めてで、自民党は同日、池田議員を除名処分にした。」
う〜む、よくわからない。このところ私の頭もだいぶボケ気味で、池田議員がなぜ逮捕されなければならなかったのか、池田某の逮捕がそんなに騒ぎ立てるほどの重大事件なのか、私にはさっぱり解らないのである。
朝日の記事には次のように書かれている。
「池田議員は資金管理団体『池田黎明会』の代表、柿沼秘書は会計責任者を務める。発表などによると、2人は2018~22年の5年分の同会の政治資金収支報告書に、安倍派から裏金としてキックバック(還流)を受けたパーティーの売上金計4826万円を、寄付収入として記載しなかった疑いがある。」
判然としないのは、「安倍派から裏金としてキックバック(還流)を受けたパーティーの売上金計4826万円」を受け取ったことが罪に当たるのか、受け取ったことを「政治資金収支報告書」に記載しなかったことが罪に当たるのか、という点である。
池田議員は「政治資金規正法違反(虚偽記載)」の容疑で逮捕されたとあるから、「(裏金を)受け取ったことを『政治資金収支報告書』に記載しなかったこと」が罪に当たるということなのだろう。
考えてみれば、「政治資金規正法」とは何ともけったいな法律である。これでは「裏金をポッケに入れたことは問題ではない。問題は、裏金をポッケに入れたことを届け出なかったことだ」と言っているに等しい。
仮に「万引をしたことは問題ではない。問題は、万引したことを届け出なかったことだ」とする法律があったとしよう。この法律に万引を抑止する効果はない。万引をしても、それを届けなければ罪には問われないのだから。
「裏金」という言い方も問題である。「裏金を受け取った」というと、何かいけないことをしでかしたように聞こえるが、そもそも「裏金」とは、表の帳簿には出てこないカネ、つまり「政治資金収支報告書」に記載されなかったカネのことにほかならない。
たしかに「政治資金規正法」では、この種のカネは「政治資金収支報告書」に記載しなければならないことになっているが、なぜ記載しなければならないかを、「政治資金規正法」は明らかにしていない。
「政治資金規正法」の総則を読むと、冒頭に「政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」と謳われているが、どんな政治活動にも「マル秘」は付きものである。総理大臣や国務大臣の政治活動を洗いざらい国民の目に晒そうとするのは、愚の骨頂ではないか。「マル秘」を国民の目に晒せば、国民にかえって不利益をもたらしかねないからである。
早い話が、北朝鮮による拉致被害者の奪還問題である。総理大臣の一挙一動が「国民の監視の下に」おかれていたら、小泉純一郎総理大臣(当時)は、北朝鮮に乗り込み「北のドン」と実のある交渉などできなかったに違いない。
話が逸れたが、池田某が「政治資金規正法違反(虚偽記載)」容疑で逮捕されたのは、自民党(安倍派)が生き延びるために、トカゲのしっぽ切りを行った結果だろう。池田某のごとき小物政治家なら、その政治活動の一切合財が「国民の監視の下に」おかれることになったとしても、大して差し障りはあるまい、という判断があったかどうかは、判らない。
「なに〜ィ!自民党の議員たちは5000万円もちょろまかしているのか。俺たちは爪に火を灯すようにちまちま暮らしているというのに、濡れ手で粟で5000万円とは、けしからん!」
こうした国民の怒りと不満の声を受けて、めらめらと「正義感」の炎を燃やす東京地検特捜部。
池田某は、そうした特捜部の「やる気」を宥(なだ)めるための人身御供だった可能性がある。そんなふうに思う天邪鬼爺のこの頃である。
「自民党の最大派閥『清和政策研究会』(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされる事件で、東京地検特捜部は7日、同派所属の衆院議員・池田佳隆容疑者(57)=比例東海、当選4回=と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)を、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕し、発表した。一連の事件で逮捕者は初めてで、自民党は同日、池田議員を除名処分にした。」
う〜む、よくわからない。このところ私の頭もだいぶボケ気味で、池田議員がなぜ逮捕されなければならなかったのか、池田某の逮捕がそんなに騒ぎ立てるほどの重大事件なのか、私にはさっぱり解らないのである。
朝日の記事には次のように書かれている。
「池田議員は資金管理団体『池田黎明会』の代表、柿沼秘書は会計責任者を務める。発表などによると、2人は2018~22年の5年分の同会の政治資金収支報告書に、安倍派から裏金としてキックバック(還流)を受けたパーティーの売上金計4826万円を、寄付収入として記載しなかった疑いがある。」
判然としないのは、「安倍派から裏金としてキックバック(還流)を受けたパーティーの売上金計4826万円」を受け取ったことが罪に当たるのか、受け取ったことを「政治資金収支報告書」に記載しなかったことが罪に当たるのか、という点である。
池田議員は「政治資金規正法違反(虚偽記載)」の容疑で逮捕されたとあるから、「(裏金を)受け取ったことを『政治資金収支報告書』に記載しなかったこと」が罪に当たるということなのだろう。
考えてみれば、「政治資金規正法」とは何ともけったいな法律である。これでは「裏金をポッケに入れたことは問題ではない。問題は、裏金をポッケに入れたことを届け出なかったことだ」と言っているに等しい。
仮に「万引をしたことは問題ではない。問題は、万引したことを届け出なかったことだ」とする法律があったとしよう。この法律に万引を抑止する効果はない。万引をしても、それを届けなければ罪には問われないのだから。
「裏金」という言い方も問題である。「裏金を受け取った」というと、何かいけないことをしでかしたように聞こえるが、そもそも「裏金」とは、表の帳簿には出てこないカネ、つまり「政治資金収支報告書」に記載されなかったカネのことにほかならない。
たしかに「政治資金規正法」では、この種のカネは「政治資金収支報告書」に記載しなければならないことになっているが、なぜ記載しなければならないかを、「政治資金規正法」は明らかにしていない。
「政治資金規正法」の総則を読むと、冒頭に「政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」と謳われているが、どんな政治活動にも「マル秘」は付きものである。総理大臣や国務大臣の政治活動を洗いざらい国民の目に晒そうとするのは、愚の骨頂ではないか。「マル秘」を国民の目に晒せば、国民にかえって不利益をもたらしかねないからである。
早い話が、北朝鮮による拉致被害者の奪還問題である。総理大臣の一挙一動が「国民の監視の下に」おかれていたら、小泉純一郎総理大臣(当時)は、北朝鮮に乗り込み「北のドン」と実のある交渉などできなかったに違いない。
話が逸れたが、池田某が「政治資金規正法違反(虚偽記載)」容疑で逮捕されたのは、自民党(安倍派)が生き延びるために、トカゲのしっぽ切りを行った結果だろう。池田某のごとき小物政治家なら、その政治活動の一切合財が「国民の監視の下に」おかれることになったとしても、大して差し障りはあるまい、という判断があったかどうかは、判らない。
「なに〜ィ!自民党の議員たちは5000万円もちょろまかしているのか。俺たちは爪に火を灯すようにちまちま暮らしているというのに、濡れ手で粟で5000万円とは、けしからん!」
こうした国民の怒りと不満の声を受けて、めらめらと「正義感」の炎を燃やす東京地検特捜部。
池田某は、そうした特捜部の「やる気」を宥(なだ)めるための人身御供だった可能性がある。そんなふうに思う天邪鬼爺のこの頃である。