趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

子ども力がいっぱい 河合隼雄が聞く「あなたが子どもだったころ」

2009年07月13日 | 河合隼雄
元文化庁長官で心理学者の河合隼雄さんは、
脳梗塞に倒れられ、2007年7月16日にお亡くなりになりました。
翌年、河合さんゆかりの本が何冊か出版されたうちの一冊です。

児童文学をテーマにした光村図書の季刊誌『飛ぶ教室』での
「あなたがこどもだったころ」と題した対談をまとめた本ですが
河合さんの著書の中には、『あなたがこどもだったころ』と
題した本がが何冊か既にあります。

河合さんの本は一年の中で
未読既読限らず必ず読みたくなる時があって面白いです。
す~っと吸い寄せられる様にそのコーナーを眺めてしまうのです。
今回、未読の、また新しい本を手に取ることができ
とてもうれしく思いました。

今回の対談相手は全部で7人。
山本容子=人の考えないことを考えてみせる力
鶴見俊輔=創造性を身につける力
筒井康隆=人を驚かせる力
佐渡裕=強い思いを蓄え成長する力
毛利衛=環境をうまく受け入れる力
安藤忠雄=遊びからイマジネーションを生み出す力
三林京子=体当たりの挑戦を積み重ねる力

そうそうたるメンバーで、
またそれぞれの‘こどもだったころ’がステキです。
不良だったり、お転婆だったり、末っ子の甘ったれだったり、
ホントにエピソードに事欠かない感じです。

でも、皆さん、河合さんと楽しくおしゃべりしていくうちに
ふと思い出したりして、ご本人も驚いていたり。
こんなことあったな~という気持ち、
こんな風に思っていたんだよ、という感じ。
実にテレながら、また瞳を輝かせている様子が
写真に上手くとらえられています。

でも、何といっても
対談後の感想をまとめられた河合さんの文が
とてもとてもいいです。
読みながら、あぁ、私は河合さんの文章がとても好きなのだと気づきました。

どの対談でも、現代のこどもを取り巻く状況を憂いていた河合さん。
どうにかしなくちゃいけないんだけれど、と。
そうして心配を胸に逝ってしまわれた・・・。
もうその駄洒落も、楽しい文章も、フルートの演奏も
あの笑顔にも、逢えない事がとてもとても寂しいです。。