
35.3度!!梅雨明け後の散発的土砂降りの後に、茹だるような暑熱がやってきた。高齢の両親の、2回目のコロナワクチン接種の副反応を心配して駆けつけてくれていた娘を、昨日空港に送り、またジジババ二人の日常が戻ってきた。上の孫娘まで助っ人に駆けつけてくれて、久し振りに三世代の家族の温もりに、ほっこりと癒された。その孫娘も、一日前に帰っていった。
7月9日、昨年より5日早く庭で羽化し始めたセミは、すでに10匹を超え、今朝も庭の木立から「ワ~シ、ワシ、ワシ、ワシ!!」と、けたたましく鳴きたてて炎熱を呼び込んでいる。
昨日と同じ朝の気温なのに、湿度が下がって今朝は爽やかだった。洗濯物を干していても、汗をかかないのは久し振りだった。
「まん延防止等重点措置」が解除されたのをきっかけに、三世代の温泉ドライブを楽しんだ。選んだのは、我が家一押しの隠れ宿・南阿蘇俵山温泉「竹楽亭」。3年ぶり、3度目の訪問だった。5000坪の緩やかな山腹に、竹あかり(竹燈)で飾られた回廊が、全室露店風呂付離れを連ねる宿である。熊本大地震で一部傷んで休業していたが、2017年初夏にリニューアルを終えて再開した。翌年訪れた時には、まだ途中の道路やトンネルが崩壊し、大きく迂回して辿り着く状態だった。
豪雨の予報が残る中を、娘にハンドルを託して早めの出発とした。筑紫野ICから九州道に乗り、広川SAで早めのランチを摂った。しかし、雨の気配はない。時間に余裕があり過ぎるから、益城熊本空港ICで降りる予定を変更し、熊本ICで降りて、帰りに寄る予定だったカミさん希望の阿蘇神社を先に訪れることにした。
57号線を東に走る途中、この春開通した新阿蘇大橋を右に見た。その先に、地震で崩落した旧阿蘇大橋の残骸を見下ろす崖の上に、慰霊碑が建てられている。残された「負の遺産」が痛ましく、車を停めずに走り抜けた。
火振り神事で有名な阿蘇神社が震災で倒壊してから5年3ヶ月、拝殿がこの12日に復活したばかりである。日本三大楼門の一つとされる楼門など、国指定重要文化財6棟が損壊した。楼門は今も組み立て工事が進められており、23年12月の完成を目指している。その工事建屋の壁面に、在りし日の楼門がリアルに描かれていた。本物と見紛うほど、圧倒される迫力だった。
新阿蘇大橋を超えて宿に向かう途中、激しい豪雨が来た。しかし、瞬間的走り雨で、3時半に宿に着いた頃には雨も上がり、回廊を下って和洋室離れ「さつき」に入った。
部屋付きの露天岩風呂は食後の楽しみに残し、ほかの客が到着する前に大浴場と露天風呂を楽しんだ。女湯からは賑やかな声が聞こえるが、男湯は今日も独り占めだった。
身体を洗い、大浴場で身体を温めて庭園露店風呂に出る。岩を敷き詰めた足元の危うさに、この3年間の足腰の衰えを実感させられた。カミさんも「露天岩風呂は怖い」と言っていた。
立てられた何枚もの巨岩の間から、幾筋もの湯が流れ落ちる。一角に突き出た岩には碁盤が刻まれ、碁石も配してある。腰湯で碁を楽しむ設えだが、のぼせないだろうかと気になる。いつまでも浸っていたい、癒しの湯音だった。
霜降り馬刺しと赤牛ステーキ、ヤマメなどの会席料理を、ワインと共に満喫した夕飯だった。夕闇を呼び込むヒグラシの声が、山の澄んだ空気のせいか、鋭いほどに冴えわたる。
酔い覚ましのうたた寝に、激しい雷雨がやってきた。雷鳴轟き稲妻が奔る空から、大粒の雨が降り注ぐ中を、部屋付き露天風呂に浸かった。半露天だから、頭は濡れない。湯の面に弾ける雨粒も、得難い夜の露天風呂風情だった。
まだ7月半ばでこの猛暑!昨日は、また県下一の最高気温だった。ジジババにとって、長く厳しい大宰府の夏が始まった。
(2021年7月:写真:庭園露天風呂)
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