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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

柿の実を食べるアカゲラ

2012年12月13日 | 野鳥

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アカゲラ(キツツキ科)

「ドドドドドー」とドラミングの音、「コッコッコッ・・」木をつつく音、「キヨッ、キヨッ、キヨッ」と鳴きながら谷を渡る音に毎年アカゲラの存在を確認していましたが、今冬は里地で柿の実を食べているアカゲラに初めて会いました。

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頭はまげを結ったように真っ黒で、嘴も黒くアカゲラの成鳥です。

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身体を平行にして、夢中で熟した柿の実をついばんでいます。


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時々頭をあげて左右を見渡し、警戒しながらの食餌行動です。

顎線がはっきりと見え、下腹部から尾にかけては柿色と同じくらい赤く染まっています。

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止まり木からは離れないものの、上半身を絶え間なく動かし警戒しながら、熟し柿を美味しそうについばんでいました。

キツツキ類は、野にいる昆虫や枯れ木の中の虫を好んで食べると思っていましたが、木の実を採食するとは意外でした。柿の実を食べに来たアカゲラとの初めての出会いです。


モズのはやにえ  その2

2012年12月11日 | 野鳥

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北風が吹き荒れ、寒さが身に浸みる本格的な冬の到来を感じさせる季節がやってきました。庭の広葉樹の葉はほとんど落葉し、木々達はそれぞれの樹形や枝ぶりで個性を主張しています。

ユスラウメの木の枝先に、強風にもめげず姿を保って伸びきっているカエルのミイラが・・・モズのはやにえです。


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モズの習性とはいえ、カエルをどのようにして枝にさすのか、何のための行為なのか、ほんとに不思議です。これだけ干からびているカエルは枝に刺されてからどれくらいたっているのでしょう。


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12月初めに見つけたモズのはやにえは、どうなったか?冬場の食糧の保存食としてならもうなくなっているのではと見に行きました。

ところがカエルはそのままで、何とイモムシが新たに木の枝股に挟まれているではありませんか。モズの本能とはいえ奇妙です。その上このイモムシはどこから捕まえてきたのでしょう。カエルを見つけた時にはイモムシはなかったのに、この師走の厳しい寒さの中、イモムシはどこにいたのでしょう。

生き物たちのどんな営みが繰り広げられたのでしょうか?自然の中は不思議がいっぱいです。


綾里川にサケ遡上-その2 震災の爪痕と綾里川-

2012年12月09日 | 震災と復興

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かつては汽水域であった綾里川の河口は、地震による地盤沈下で、常時この橋のあたりまで海水が流れ込んでいます。

水面を遊泳していたカモの集団が、人の気配に一斉に羽ばたき西の空に飛びたっていきました。この水辺には、冬の渡り鳥以外にもカモメやウミネコなどもたくさん居り、さながら鳥の楽園になっています。

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オオバンのつがいは、さざ波に身をまかせゆったりと泳いでいます。

河口近くのこの辺りは、かつては綾里川の清流で水底まで見渡せ、藻や小魚・貝などの姿が見えていましたが、今は海水が入り込み、濁って川底は見えなくなっています。

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でも、少し遡っていくと、川はすぐに浅くなり、サケの姿があちこちに見られます。

産卵のために川を上ってきたサケは、このすぐ上流の「やな」を越えられずとも、ペアになろうと水しぶきをあげて活発に活動しています。この川の中をよく見ると砂利に混じって、レンガや陶器のかけらなど津波の痕跡があちこちに残されています。

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河口から500mの付近です。川を挟んで右手が綾里小学校です。

川の土手の道路は、通学路と言うこともあり左岸のガードレールは新しくしたものの右岸のガードレールは津波で壊れたままです。


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綾里川に架かる橋の欄干も応急橋です。通学時は毎日、スクールガードのボランティアの方々が児童の安全を見守っています。

この橋の袂に眼を移すと、いたるところでサケが産卵の場所を目指して遡上している姿や、一生を終えたサケの姿が見られます。

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あの険しい「やな」を乗り越えて、真水を求めて産卵に向かうサケや、越えたものの産卵場所に行きつく前に一生を終えもの、産卵して務めを終えたサケの死骸などがいたるところにありました。川中の死骸(腐食が進みさけの形も崩れてきています)はまだいいのですが、川岸に打ち上げられた屍は腐食臭が漂いカラスが群がっていました。


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たまたま、「やな」の点検に来られた方にお話を聞くことができました。

「綾里川に横たわるたくさのサケの死骸は、悪臭がして衛生上もよくないし何とかならないんでしょうかね?」と尋ねると、「サケの死骸を小さなプランクトンが食べ、そのプランクトンをサケの稚魚が食べて成長するというように、死骸はごみではなく循環をしているんです」と、子ども(稚魚)の顔を見ることなく産卵後に命を閉じるサケは、屍を卵からかえった稚魚の餌として残していく命の循環のための大切な役割を果たしているということでした。

今年は簡素な「やな」で、サケの採卵をして細々と養殖に取り組むが、川の水量も少なく、養殖施設の復旧もままならず、あと数年で養殖業はやめる予定ということでした。自然の川に戻される喜びと震災被害による養殖業の廃止、なんとも複雑な心境でした。


綾里川にサケ遡上 その1

2012年12月08日 | 震災と復興

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正面の大股山を源流とする綾里川に、震災後2年目の今年もサケが遡上しました。

遡上するサケの姿は、10月頃から見られ始めていましたが、川の水が不足していたため、河口に留まって、水かさが増すのを待って、11月初め頃から上流を目指して上ってきています。

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今、綾里川の下流域には採卵のための簡素な「やな」が仕掛けられていますが、サケは産卵のためにこのやなを乗り越えて、真水を求めて上流へと上っていきます。

(震災前には、河口にふ化場と採卵のための生簀がありましたが、昨年の津波ですべて流されてしまいましたので、仮のふ化施設で養殖に取り組んでいるようです)

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やなを乗り越え、水しぶきをあげながら上流へと泳ぐサケ。

綾里川は、水源から河口まで5kmほどの小さな川ですが、アユが生息し、サケやマスが遡上してきます。

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身体のほとんどが水面から浮いていますが、浅瀬でも必死に上流へ向かっています。

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やなを乗り越えて集まったサケの群れ。

ここで、真水に順応しているのでしょうか?

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やな場から100m上流では、浅瀬の中をオスがメスに近づき、ペアになろうとしているのでしょうか?

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その傍らでは、二匹が寄り添っています。求愛行動?

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こちらでは、メスの取り合いなのでしょうか?水しぶきをあげながら激しくぶつかり合っています。

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産卵の様子は見られませんでしたが、随所でオスとメスが寄り添って仲良くしている姿が見られました。

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一方こちらでは、産卵を終えたサケでしょうか、まだ生きていましたが、静かに横たわっていました。

大震災の津波で大きく変わった綾里川ですが、太平洋を回遊して成長したサケが、産卵場所を求めて母なる川に戻ってきました。途中に障害物があっても全力を尽くして川をのぼり、命を懸けて産卵し、子どもの顔を見ることもなく一生を終える姿はなんとも感動的ですね。


ツル植物 サルナシ

2012年12月06日 | 樹木

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サルナシ(マタタビ科) 落葉つる性植物

裏山のスギの植林地と雑木林の境界地に、サルナシの大木を見つけました。直径約15㎝、樹高8mほどの、かつて目にしたことのない大きさです。根元は苔むし、樹形は歴史をしのばせる趣きです。


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サルナシは、太陽の光を求めて木を伝い、幹を太くし、葉を上へ上へと広げ、樹冠を覆っては絡まった木を倒し、何年の歳月を生きてきたのでしょうか?木肌は樹齢を重ねた老木の美しさをかもしだしていました。


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ツル植物は、木に絡まって立ち上がり光合成をしながら大きくなっていきますが、不思議なことに、このサルナシは独立した一本の木のように空に向かって立っています。これほどになるまでどれだけの立ち木が犠牲になったでしょうか?


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サルナシは、木のてっぺんの方で、枝を張った他の木々に、ツルを伸ばして四方を抱き込んだ形で支えられていました。


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サルナシの花(6月)

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サルナシの実(10月)

サルナシの語源は、あまりにもおいしくて猿がすぐに食べて無くなってしまうからとか、木で完熟したサルナシの味は香りもよく、ほど良い酸味と甘みがあり最高の味わいです。

手入れが行き届かない大小迫山には、サルナシの木がいたるところで見られますが、このような大木は初めてです。林業関係者にとってツル植物は、害木であり見つかり次第駆除される運命にありますが、このサルナシの古木は命が尽きるまで見守っていきたいと思います。