大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

スプリング・エフェメラル(春の妖精)

2012年04月30日 | 里山風景

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今、つむぎの家の土手は、ニリンソウが花盛り、白い可憐な花が一面に咲き誇る光景はとてもさわやかです。

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ニリンソウ(キンポウゲ科)

ニリンソウの和名は、一本の茎から2輪ずつ花が咲くことに由来。花弁はなく白い花びらは萼片が変化したもの、キンポウゲ科は毒草が多い中で食べられる野草です。

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先日、カタクリの花を見に来られた方々です。

カタクリの花は最盛期を過ぎ、少し色あせてしまいましたが、純白のニリンソウの花が、皆さんを迎えてくれました。

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他の土手には、青紫色のヤマエンゴサクの花がユニークな表情で春を謳歌しています。

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ヤマエンゴサク(ケシ科)

ヤマエンゴサクやニリンソウは、夏になると姿を消し、翌年の春まで長い休眠に入ります。他の植物が活動する前の短い期間に命を燃やす、スプリング・エフェメラル(春の妖精)と言われています。春のはかない命だけに、いとおしさを感じる草花ですね。

ここ数日三陸は暖かい日が続き、里地は緑濃くなり、草取りや畑や田んぼの農作業も忙しくなってきました。


家庭訪問の放課後つむぎの家で~

2012年04月28日 | 綾里っ子

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つむぎの家の玄関に「名簿に名前を書き、ケガのないように自由に遊んでください。」とメモを残し、一週間ほど家を空けました。

今週25日~27日まで、学校は家庭訪問とのこと。そのために子どもたちは半日授業。午後の時間がゆったりとれた綾里っ子たちは、つむぎの家に来て遊んでくれたようです。

半日授業最終日の昨日の午後は、途中から雨が降り出し、つむぎの家に入るように声をかけましたが、低学年の男の子たちは、雨の中も駆け巡って遊んでいました。

六年生の女の子たちに貝を使った絵皿の作り方を教えると、つむぎの家の中でおしゃべりしながらホタテやホッキ貝の殻に絵をかいて楽しんでいました。

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しばらくして覗いてみると、思い思いの絵皿が出来上がっていました。未来に向かっての夢を作品に託したのでしょうか?

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バレーボールクラブに入っているNさんは、クラブの優勝を願って”必勝№1”とスピード感のある絵を描いていました。

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一方こちらでは5年生組が寝そべってお絵かきです。絵をのぞき込みながら楽しそうにおしゃべりしている仲間もいます。

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ここでは、4年生組が着せ替え人形のようなことをして遊んでいます。その傍らで、静かに読書している子も・・・

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そのうち、番傘に興味を持ったユカちやんは、「一度この傘、さしてみたかったの」と番傘をかざして雨の中をお散歩・・・・。

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思い思いに遊んだ子供たちは、5時のチャイムが鳴る前に「ありがとうございました」と雨の中を帰っていきました。

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降りしきる雨の中、車で迎えに来た親御さんに、何人か便乗して送ってもらったようです。最近は自転車で遊びに来る子供たちも多くなり、この日は自転車3台がつむぎの家でお泊りです。

三陸地方ではようやく桜の花が咲きだし、木々も一気に芽吹きはじめました。鶯も鳴きはじめ、ツバメが飛び交い、カエルの大合唱が響き渡る、生き物たちの賑わいと共に、綾里っ子たちもますます輝き出してくれることでしょう。


ありがとう!敬子婆ちゃん ~兜小色紙~

2012年04月27日 | 震災と復興

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昨年のお雛様に続き、名古屋の敬子婆(自称)様より手作りの兜色紙100個が支援物資として贈られて来ました。

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数に限りがあるので、綾里小学校の子どもたち一家庭に一つの兜色紙を届けることにしました。

学年を代表して、二年生の教室にて、敬子婆さんからの兜色紙を見せながら子どもたちに手作りの兜色紙について簡単に説明しました。教室の入り口の壁には、昨年の支援物資「和の行事えほんカレンダー」が飾ってありました。

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一人一人の手元に渡った兜色紙に、「ワーすごい!」の歓声があちこちから聞こえました。「写真を撮ってもいいですか?」というと、全員がVサインでポーズをとり、満足顔。

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数日後、2年生のクラス全員(24人)から、敬子婆ちゃんへのお礼の手紙が届きました。

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ブログへの紹介は一部ですが、24人全員が心のこもったお礼のお手紙を書いてくれました。

「心のこもった兜色紙」、敬子婆ちゃんはどんな思いで一つ一つの作品を仕上げられたのでしょうか。「子どもたちが健やかに育ってほしい!」との願いが、手作りの作品から伝わって参りました。その思いが、子どもたち一人ひとりの心にも、しっかりと刻まれたことでしょう。

被災した綾里小学校の施設は、プールと菜園以外はすべて復旧し、震災前の小学校に戻りました。つむぎの家に遊びに来る子供たちも元気に、はつらつと里山を駆け巡っています。地域を超えたたくさんの方々の心温まるご支援に心より感謝申し上げます。


両親の笑顔に見守られて遊ぶ綾里っ子

2012年04月19日 | 綾里っ子

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昨日の午後は、綾里小学校の授業参観日、普段スクールバスで通学している子どもたちも、この日はお父さんやお母さんと一緒に自家用車でお帰りです。平日は家が遠くてつむぎの家に遊びに来れないナオちゃん(2年生)と弟のトモキ君(4歳)が、両親に連れられ、つむぎの家に遊びにきました。

最初は野の花を摘んだり、あちこち駆け巡って遊んでいましたが,「お父さんが、田んぼに入ってもいいと言った!」と二人は喜び勇んで田んぼに入っていきました。牛の世話に来た植木さんは子どもたちを見て「オー 元気だね~」とエールを送っています。

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ナオちゃんとトモキ君が泥に足をとられながらも、卵から孵ったばかりのオタマジャクシを、夢中になってすくっている姿を、両親が土手の上から笑顔で見守っています。

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肌の色が赤らんできて冷たそうでしたので「寒くない?」と聞くと「さむくない!」とカエルの卵やオタマジャクシを捕まえたり、田んぼを走り回ったりと懸命に遊ぶ二人。

この日の気温は12度前後と冷たかったのですが、雲の間から時折覗いていたお日様に暖められた田んぼの水と泥は、子どもたちの素足に心地よい温もりと感触を与えていたようです。

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田んぼから上がった後は、お父さんに足を洗ってもらい満足顔のナオちゃんとトモキ君。

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その後、二人は両親が見守る中で、木の枝に吊るした紐にぶら下がり、冒険遊びを楽しんでいました。

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冒険遊び場の周辺には、つくしがツンツンと顔を出していました。二人は無心につくしを摘み始め、おばあちゃんに料理してもらおうと、持ち帰りました。

短い時間でしたが、両親の温かいまなざしの中で自然に触れ合って遊んだナオちゃんとトモキ君。水にぬれたり泥がついたりすると、つい叱ってしまったりする親もいますが、ご両親は子どもの感性をあたたかく見守ってくれました。

二人は、両親の優しさと共に、自然の温もりや春の恵みを感じ取ってくれたことでしょう。


カタクリの花が見ごろを迎えました

2012年04月18日 | 草花

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カタクリ(ユリ科)

カタクリの名前の由来は、食用にする根の鱗片が栗の片割れに似ていることからとか、生長してしばらくは片葉(一枚葉)で葉に鹿子模様の斑点があることから等、諸説があるようです。

カタクリは、種子が地中に入ってから平均8年で2枚の葉をだし花をつけ、陽が当たると開花します。

今つむぎの家の山では、カタクリがうつむき加減に淡い紅紫色の花をつけ、花被片がそっくり返って花の見ごろを迎えています。

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山の 東斜面に咲き誇るカタクリ。

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冬に間伐をして、明るいくなった山の頂きに咲くカタクリの花。

ースプリング・エフエメラル(春のはかない命)ー

カタクリは花のあと、5月中頃には葉も花も枯れ、来年の3月半ばごろまで地中で球根のまま休眠します。1年のうちの10か月は地中で暮らし、周りの木々や草が緑になる前の早春、他の花に先駆けて咲き、短い命を謳歌します。

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北斜面に咲くカタクリ。

カタクリは、明るい土地を好みますが、夏の暑さには弱く、北斜面が生育環境に適しているようです。あいにくここは土砂が崩れ不安定な土壌ですが、好環境なのか針のような一年葉がたくさん出ています。

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森の整備を初めて2年目、まだ片葉の多いカタクリ山です。

カタクリの葉が2枚葉になり花が咲くまでには7~8年かかりますので、5年後位にはカタクリの群生が見られることでしょう。

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南側から見たカタクリ山。

2年前、土色に見える山肌は、アズマネザサで埋め尽くされていました。山の手入れをすればするだけ植生も豊かになってきつつあります。

カタクリ山の緑の茂みは、松やヤブツバキで他は秋に葉を落とした広葉樹です。広葉樹が葉を茂らす6月頃になると樹冠は緑の葉に覆われ、林床の日差しは遮られてしまいます。カタクリは落葉樹が葉を落としている早春、花を咲かせ林床に差し込む日光を取り込み、1年分のエネルギーを蓄え休眠に入ります。自分より優位にある高木の生態を知り尽くした、カタクリの知恵には驚きです。