先日、シカ防止ネットを飛び越えて田んぼに入り、稲を食べていたシカを追うために大声を張り上げた隣家の人の叫び声に外に出てみると、シカが悠々と人家の前を歩いているではありませんか。
踏み跡や糞、農作物の食害等で、ニホンジカが里に下りてきていることに気づいてはいたが、白昼堂々と里地に下りてきて採餌する姿を目撃したのは初めてです。これまでもニホンシカには何度か出会っていますが、人に気づくと「フィー」と言う警戒声を発し、急いで逃げ出す光景しか目にしていませんでした。
写真は、人目を気にしながら、悠然と山際に移動してきたシカです。
つむぎの家の山に入ってきたシカ。
氏神様に向かって歩きだし、その後姿を追っていた私を振り返えり、可愛い表情を見せてくれました。
お尻の白毛や夏毛の鹿の子模様、生えたばかりの角の形から2歳ぐらいの好奇心旺盛なオスジカと思われます。
鹿柵を飛び越え、杉の植林地に入ったシカ。
相変わらず振り返りながら、人の動きを確認し、悠然と山頂へと向かって歩いていきました。
姿が見えなくなるまで後を追いましたが、柵を飛び越えるためのジャンプはしたものの、走り出すことはなく、しっかりと大地を踏みながら森の中に消えていきました。
シカの食害で折られたサクラ。
シカの後追いをやめ、帰り際に、2週間前に植樹したサクラの苗木が活着したかどうかの確認をして回ると、防護ネットからはみ出した部分の葉のほとんどが、シカに食べられていました。
もともとは森の中で生活し、薄明薄暮に活動すると言われているニホンジカが人を恐れず、白昼堂々と人家の近くまでやってきて、田んぼに入り稲を食べるとは、驚きです。
シカの生息域が広がり、あらゆる植物がシカの食害にあい、人間の生活圏まで脅かされつつある昨今、里山の自然は今後どうなっていくのでしょうか?