大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

白昼の訪問者 ニホンジカ

2013年06月28日 | 動物

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先日、シカ防止ネットを飛び越えて田んぼに入り、稲を食べていたシカを追うために大声を張り上げた隣家の人の叫び声に外に出てみると、シカが悠々と人家の前を歩いているではありませんか。

踏み跡や糞、農作物の食害等で、ニホンジカが里に下りてきていることに気づいてはいたが、白昼堂々と里地に下りてきて採餌する姿を目撃したのは初めてです。これまでもニホンシカには何度か出会っていますが、人に気づくと「フィー」と言う警戒声を発し、急いで逃げ出す光景しか目にしていませんでした。

写真は、人目を気にしながら、悠然と山際に移動してきたシカです。

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つむぎの家の山に入ってきたシカ。

氏神様に向かって歩きだし、その後姿を追っていた私を振り返えり、可愛い表情を見せてくれました。

お尻の白毛や夏毛の鹿の子模様、生えたばかりの角の形から2歳ぐらいの好奇心旺盛なオスジカと思われます。


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鹿柵を飛び越え、杉の植林地に入ったシカ。

相変わらず振り返りながら、人の動きを確認し、悠然と山頂へと向かって歩いていきました。


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姿が見えなくなるまで後を追いましたが、柵を飛び越えるためのジャンプはしたものの、走り出すことはなく、しっかりと大地を踏みながら森の中に消えていきました。


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シカの食害で折られたサクラ。

シカの後追いをやめ、帰り際に、2週間前に植樹したサクラの苗木が活着したかどうかの確認をして回ると、防護ネットからはみ出した部分の葉のほとんどが、シカに食べられていました。

もともとは森の中で生活し、薄明薄暮に活動すると言われているニホンジカが人を恐れず、白昼堂々と人家の近くまでやってきて、田んぼに入り稲を食べるとは、驚きです。

シカの生息域が広がり、あらゆる植物がシカの食害にあい、人間の生活圏まで脅かされつつある昨今、里山の自然は今後どうなっていくのでしょうか?


寄生植物 ヤセウツボ

2013年06月26日 | 草花

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ヤセウツボ(ハマウツボ科)

昨日、犬のヤマトと綾里川沿いを散歩していると、緑の雑草の中にニョキニョキと棒立ちしている淡褐色のものが目に入りました。寄生植物のヤセウツボ(帰化植物)です。


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周りを見渡すと5m四方に、5株ほど群生していました。

ヤセウツボは寄生植物であるために葉は退化し、葉緑素はなく褐色の腺毛が密生し、茎は肉質で直立しています。


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ヤセウツボの花

花は地味な淡黄褐色で、花冠に紫色の筋や斑点があり、全体に短い腺毛が生えています。


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一株掘り起こし、川で泥を流してみました。マメ科のツメクサの根に寄生していました。

帰化植物で、牧草に紛れ込んで日本に入ってきたと言われています。


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初めてヤセウツボを目にしたとき、根が上向きで逆さまに張っていたので「サカネラン」と間違えてしまいました。下に根を張るツメクサの白っぽい根に巻きついて赤茶けたヤセウツボの根が絡んでいます。ツメクサに寄生して花を咲かせていました。

セリ科やキク科にも寄生し、寄生根で養分を吸収するので農作物に寄生した場合、生長を阻害させてしまうため要注意外来生物に指定されています。

同じく外来生物法で要注意外来生物に指定されているナンバンギセルは、別名「おもい草」と言われ万葉集に詠われているほど慕われていますが、ヤセ(ハマウツボに比べ痩せている)ウツボ(花穂が矢を入れる筒に似る)は、どちらかと言うと嫌われもののようです。

葉緑素をもたずに、根を宿主の根に食い込ませてちゃっかり生活するヤセウツボは、不思議な植物ですね。


ヤマカガシの脱皮に出会った綾里っ子

2013年06月23日 | 綾里っ子

<休日は子どもたちの遊び場>

昨日、土曜日は法事があり、午前10時以降、家を留守にするので、木小屋で遊んでいた4年生のショウゴ君とユウト君に、「留守にするので怪我しないように遊んでね」と声をかけ、家族で遊びに来ていた2年生のミアト君たちにもその旨を伝え、朝からため池で遊んでいた3年生の仲良し4人組にも一言と思い池に向かいました。

私の姿を見つけ、「千田さ~ん、ヘビがいるよ~」と叫ぶ声に誘われ急ぎ足で池につくと、子どもたちが遊んでいた池のヘリにヤマカガシの姿がありました。よく見ると、色鮮やかな模様と透明なフィルムで覆ったようなヤマカガシの体の色合いが違うのに気づきました。何と脱皮中のヤマカガシでした(カメラに収めたのですが、そのデータを消してしまい、今回は写真をお見せすることができません)。

<ヤマカガシの脱皮>

私も初めて目にする光景です!。身体を縮めたり延ばしたりの動作を繰り返しながら、少しづつ皮を剥いでいく様子を4人の子どもたちと見入りました。脱皮を終えたヤマカガシが、さわやかに池の中を泳いで立ち去った姿を確認し、残していった抜け殻を手にすると、ほんのりヘビのぬくもりが感じれれるようなしっとりした感触でした。残念ながら全身ではなく20㎝ほどの一部の抜け殻でしたが、ヤマカガシの脱皮に立ち会えた綾里っ子たちは、身じろぎもせず目を丸くしてみんなで観察していました。

「ヤマカガシは毒を持っているヘビだが、いたずらさえしなければおとなしいヘビなので、そっとしておけば大丈夫だからね」「危ないことはしないで遊んでね」と言葉を残して出かけました。

<ヘビの抜け殻は、お金がたまる"お守り">

法事を終えて、自宅に戻り、里山で遊ぶ子供たちの様子を見に行くと3年生の4人組はクルミの木の下にゴザを敷き、その上でみんなでおやつを食べているところでした。「楽しく遊べた?」と声をかけると「あっ 千田さん!ヘビの抜け殻がまたあったよ!」と2つ目の抜け殻を見せてくれました。「最初の抜け殻とつなぎ合わせてもまだ足りないね」、実は「これを財布に入れておくと”お金がたまる”と言う言い伝えがあるのよ!」と言うと「え~ほんと!」とナオちゃんが日の当たるところに広げ始めました。

その後は、法事の会食に入り、午前中は外に出ることはなく、綾里っ子たちもお昼には帰ったようです。

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夕方、山から下りてくると、午前中に来たナオちゃんが、弟のトモキ君と両親と一緒に池で遊んでいました。ナオちゃんは私の姿を見るなり、「千田さ~ん、ヘビの抜け殻があったよ!」と抜け殻を手に駆け寄ってきました。

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午前中に見つけた抜け殻と合わせると、脱皮して水の中をスイスイ泳いで去ったヤマカガシの長さになりました。ナオちゃんはとても満足した表情で、乾いた抜け殻のヘリを指で撫でていました。

ヤマカガシの脱皮に立ち会い、抜け殻を手にしたナオちゃん。ヘビの脱皮の神秘さを目にして、ヘビを怖がることなく、むしろ親しみを感じてくれたようです。これからもいろいろなことを発見し、自然の不思議を感じ取ってくれることを願っています。


「気仙茶の会」で手もみ茶(北限の茶)に挑戦

2013年06月19日 | 地域交流

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「気仙茶の会」は、北限の茶である気仙地域の茶を守り、育て、次世代に伝えて行くことを目的に、昨年の7月に設立し、つむぎの家も会員になっています。

気仙茶は、江戸時代から気仙地域で育まれてきたお茶で、これまで陸前高田市内で約80戸の生産農家が細々と茶づくりを続けてきましたが、近年、担い手の高齢化等により、茶摘みをする家も減り、生産量は減少の一途をたどっていました。そこで、気仙茶に興味・関心を持つ多様な方が集い、情報交換をしながら、気仙茶の振興をしていこうと活動をスタートしました(会員は気仙地域に留まらず岩手県内や静岡県、京都府や兵庫県など多岐にわたってます)。

今回の例会は、昔ながらの製茶道具が残っている、ここ「つむぎの家」に集い、手もみ茶作りに挑戦することになりました。

そこで、長年手もみ茶作りをしてきたという大船渡市日頃市町に住む、平山ご夫妻(伊志雄さん85歳・道子さん82歳)をお招きして、その指導の下に、手もみ茶作りに取り組みました。

昨日は、あいにくの雨模様でしたが、会員である龍谷大学(京都)の伊達先生と学生4人(気仙茶の復興支援と製茶を通じた支援による経済研究)がまず来家し、雨の中、一番茶の茶摘みをしてくれました。

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さて、これからが気仙地方で行われてきた「手もみ茶」の作り方です。

まず、平山道子さんの指導のもと、摘んできた茶葉を新聞紙の上に広げ、雨水を吸いとったあと、蒸す作業に入ります。


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十分に蒸気の上がったセイロに茶葉を入れ、約30~40秒蒸し、青臭さが消え、茶の香りが出てきたところで下ろします。

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次に、蒸しあがった茶葉を、揉み板(縄を板に巻きこんだもの)でもみ込みます。ここは、平山伊志雄さんの出番です。

熱い茶葉を、揉み板の上で「なでるように」丁寧に揉んでいます。

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次に助炭(ブリキ板で作ったものに紙を敷いたもの)に移し、加熱・乾燥しながら、さらに揉み板の上でもんでいきます。

平山氏の指導を受けながら気仙茶の会員が、手もみ茶に挑戦しています。

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龍谷大学の学生たちも、おしゃべりを楽しみながら笑顔で頑張っています。

小一時間ほど揉むと、水分が蒸発し、茶葉が細く丸まってきてお茶の香りがただよってきます。

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今度は、土風炉(どぶろ)の助炭(床が和紙の物)に移し、ある程度粘りが出て、縮れてきた茶葉を手のひらの中で転がしながら乾燥させます。

手もみ茶づくりの作業を始めて2時間弱、まだ完成品ではありませんが、早速試飲してみることにしました。

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事務局長の前田さんが、心をこめて、お茶を入れています。

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平山ご夫妻はじめ、菊池会長ご夫妻が囲炉裏を囲んで味見です。県内のテレビ局、新聞社の方々のカメラのライトに照らされて、やや緊張しながらの試飲でしたが、そんな気配りも忘れるほどの美味しさでした。

25年ぶりで茶の手作りを再現した平山夫妻は、「うん!80点ぐらいかな」との弁。

その後、会員も含め参加者全員が試飲しました。味、香り共に、いい具合の仕上がりでした。

これまで、地域の方々に聞きながら挑戦してきたつむぎの家での手もみ茶の中では、最も良い出来栄え、渋みも旨味もとてもいい味でした。

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作業を始めて約3時間弱の手もみ茶。

最終仕上げは、余熱を利用して乾燥させるために、この後一晩、助炭の上に置き、翌朝に完成と言うことです。

気仙茶の会の参加者、約20人がつむぎの家に集い、昔ながらの道具を使って、気仙地方の茶葉の手もみ作業を学ぶことが出来た例会でした。

これを機に、かつては各家庭で作られ親しまれてきた北限の気仙茶の良さを見直し、次世代へと伝え、つないでいきたいと思いました。


休日(父の日)にやって来た子どもたち

2013年06月17日 | 綾里っ子

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昨日の父の日は、家が遠くて、平日には遊びに来れない3年生のナオちゃん家族と、隣町に住む従妹のミサキちゃん家族におじいさんの総勢7人がつむぎの家にやってきました。

ナオちゃんの弟のトモキ君(6歳)は、初めて来た5歳のミサキちゃんに生き物をすくう網を渡して、川でオタマジャクシやカエルを捕まえて仲良く遊んでいました。街内に住んでいるミサキちゃんは、初めてオタマジャクシやカエルに触れて目をパチクリしていました。


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その後、ナオちゃんが遊んでいたため池に移動し、イモリ捕りを始めました。

暖かくなりイモリもたくさん出てきて面白いほど網に入り、飼育ケースが黒くなるほどのイモリを捕まえ、みんなで夢中になって遊んでいました。


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作業を続けながら時々子どもたちの様子をのぞきに行くと、トモキ君が長い棒にヘビをぶら下げ、畦道を歩いてきました。死んだシマヘビを見つけたようです。4歳の時からつむぎの家に来ているトモキ君は、生き物大好きで、ヘビも怖がりません。

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次は、「千田さ~ん!今度は生きているヘビがいる!」と大きな声で呼んでいるトモキ君。近づいてみると、大きなヤマカガシが土手で日向ぼっこをしていました。人の気配を感じたのか、ヘビはゆっくりと草むらの中に入っていきました。


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何か新しい発見すると、その度に報告に来るトモキ君。

「どこ探しても何もいないんだけど、土の中でククククーっていう声が聞こえるんだけど・・・?」と不思議そうな顔。

「それはシレーゲルアオガエルが穴の中で鳴いているのよ!」と教え、ふと足元を見ると、田んぼの中でカエルが包接していました。それを指さして「このカエルがシュレーゲル!」と言うと、驚きの表情を見せてくれました。

「目の周りが金色だよ」と教えると、ナオちゃんと一緒に注意深く観察していました。


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お昼は、ナオちゃんのお母さんが作ってきたお弁当をひろげ、みんなで楽しそうに食べていました。

孫たちの遊ぶ様子をカメラに収めていたおじいさん。そして、子どもの遊びを見守っていたミサキちゃんのお父さんも一緒になり、川べりでくつろいでいる姿は、普段は見られないアットホームな雰囲気のつむぎの家での休日風景です。


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ナオちゃん家族が帰った午後2時過ぎ、こんどは3年生の、同名の二人のミウちゃんがやってきました。

二人は、まず「大豆が芽を出しているかどうか見てくる!」と自分たちが植えた学校菜園に走っていきました。

その後、ヤマトと遊ぶためのクルミ探しをしていましたが、「もう割れたクルミしかない!」と残念がっていました。川べりのクルミの木には、今小さな実をつけ始めていたので、「これからクルミができるのよ。見てごらん、今、赤ちゃんクルミの実がなっているよ!」と言うと「ほんとだ!可愛い!」と小さな実を見つめる二人のミウちゃん。

その後、木小屋に、乾燥させるためにネットに入れてぶら下げておいたクルミを見つけて、「このクルミは、どうするの?」と聞くので、「これは千田さんが食べるの、クルミ大好きなのよ!」と答えると「えー、くるみって食べられるの?」と声をそろえる二人。


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「食べたことないなら食べさせてあげる!」と木小屋のクルミを割ってその場で食べさせました。

「ウワー!美味しい!」と初めての味に笑顔がこぼれていました。幼い時に「おやつ代わり」に食べた思い出がよみがえってきたひと時でした。

大人にとっては当たり前と思われることも、子どもたちにとっては新たな発見につながり、感動する姿に、心躍る休日でした。