大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

「春が来た」

2014年04月02日 | 里山風景

3月の「春あらし」が過ぎ、穏やかに迎えた4月、里山は春を告げる早春の草花が咲き始め、いのち輝く季節を迎えました。

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キバナノアマナ(ユリ科)

枯れ草の積もった栗の木の下、早春の野を彩る黄色のアマナが爽やかに咲いていました。


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アズマイチゲ(キンポウゲ科)

アサツキが群生する緑の絨毯の中に、春一番に咲く、白くて清楚なアズマイチゲが春の日差しをいっぱいに浴びていました。

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カタクリ(ユリ科)

裏山では、可憐な花を付ける「春の妖精」が、葉を広げ、蕾が膨らみ始めていました。


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農作業も忙しくなり、山際の落葉を片付けていると、ヤマアカガエルがひょっこり顔を出しました。


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もしやと思い、田んぼの中を見渡すとヤマアカガエルの卵塊が光っていました。ざっと数えてみると67個、いのち輝く春が到来したようです。

一つの卵塊を手ですくってみると、卵を包んでいる透明なゼリー状のものが指の間からするりと抜け落ちました。一回の産卵で約千個ほどの卵を生むそうですが、成体になって生き残れるのはどのくらいいるのでしょう?春風に乗ってまもなくさまざまな天敵が現れてくることでしょう。


もうすぐ春

2014年03月18日 | 里山風景

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裏庭のフクジュソウが、黄金色に輝き、季節は早春から春へと移りつつあります。

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地中で春を待っていたフキノトウも、枯れ葉を押し上げ黄緑色の顔を出しました。


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土手のアサツキも、早春の陽光に誘われ”ツンツン”と頭をもたげてきました。


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一足早い里の芽吹き求めて、山から降りてきたニホンジカと大地の恵みを分け合い、ふきのとうの苦味、アサツキの辛味と野生の旨みに舌づつみ。

厳しい寒さにひたすら耐えてきた山野草の味わいは、底知れぬのエネルギーを秘め、畑の野菜が少々物足りなく感じる時期でもあります。

アサツキの季節が巡ってくるたびに呼び起こされる大震災、3年前の今頃は家を失い、つむぎの家に避難してきた80歳代と90歳代のおばあさんが「タダ飯は食えない。何か仕事が欲しい。」と炉縁に座ってアサツキの根を取る作業をしてくれ、大地の恵みを存分に味わったあの日のことが思い出されます。(3年前はシカの食害は少なかった)

自然と共にある暮らしに、食の豊かさを感じる季節が巡ってきました。


雪の里山風景

2014年02月11日 | 里山風景

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関東地方が大雪に見舞われた9日、三陸でも今年最大の積雪、約35cmを観測しました。

雪が止んですっかり晴れ上がった昨日、長靴姿で里山を散策してみました。

雪のキャンバスに光と影のグラデーションが・・・、まるで生き物のように時間の流れとともに、さまざまな表情を見せてくれました。


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氏神下の展望椅子の周りには、動物の足跡がいっぱい残されていました。久しぶりの大雪に、動物たちも驚いて高台から街の様子を覗きに来たのでしょうか?。

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風の通り道になっている土手の、雪の浅い場所を掘り返し、採餌したツグミの足跡。

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森の中を流れる小川は、両岸雪に覆われ、流れを見失ってしまいそうです。


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杉木立の木漏れ日が、林道に樹間を映し出しています。


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旧棚田の栗の木には、うっすらと雪が積もり、ひときわ鮮明な樹形を浮き立たせています。


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上の写真は、先月、約5cmの積雪を観測した日の里山の風景です。この時の雪質は牡丹雪で、木々は雪の華で飾られました。

一昨日は、35cmの積雪を観測したものの、風が強かったこともありますが、サラサラした粉雪で木々の枝に落ち着くことなく地上に降り積もっていました。

今回の雪は、春の兆しを思わせてくれるような、雪質でした。大地を潤し、春を待つ植物たちへの、天からの恵みですね。


京大生が里山体験

2013年11月17日 | 里山風景

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この夏、「震災と里山」について調査にこられた京都大学4年生の大崎さんが、卒業論文を制作するうえで重要となる「里山の生活体験」にやってきました。

そこで、私たちの日常の作業を手伝ってもらうことにしました。今日は干し柿作りとともに、キウイフルーツも収穫しようと思っていたので、早速取り掛かりました。脚立に上り、キウイフルーツをもぎ取っています。


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キウイフルーツは、おかげで短時間で収穫することができ、その後、急激にやってきた寒さで一気に葉が枯れてしまったお多福豆の収穫にも取り掛かることができました。

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この日は、ちょうど干し柿作りの日と重なっており、地域の方々の作業の様子も見学できました。

手作業で、一個一個素早く剥き取る手際良さに、感心して見ていたようです。この剥いた柿を軒下に吊るし、一ヶ月ほど干すと美味しい干し柿ができます。

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そこで、自らも柿のつるし方の体験をしました。

この地方の柿吊るしは、器具は使わず、結び目もつくらず、綿糸一本で一度に20~30個吊す方法です。大崎さんは、一度でマスターし、重力を利用した吊るし方に感心していました。

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今年は、柿の大不作で、一日で作業は終了しましたが、おかげで柿むきに来てくれた地域の方々と、作業終了後に囲炉裏を囲んでの交流(お茶っこ飲み)ができ、お年寄りの方々の話を聞くことができました。

短い一日の里山生活体験でしたが、どうでしたか? 気仙の田舎言葉は理解されたでしょうか? 京都や広島の里山と比べて、厳しい北国の寒さでしたが、囲炉裏を囲む暖かさと、地域の人たちの心の暖かさを感じてくれたようでした。


里山風景 ー脱穀作業と綾里っ子ー

2013年11月03日 | 里山風景

秋晴れの連休初日、9月に刈り取りハセ掛けしてあった稲の脱穀作業をしました。

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今年は、台風や秋の長雨により、脱穀のタイミングを失い、1ヶ月半近くハセ掛けしたことになり、これまでの最長記録で、籾が芽をだしはしないかとハラハラしました。

約半分ほど脱穀を終えた午後には、4年生のショウゴくんとトウマ君が遊びに来て、脱穀機の近くでは遊ばないことを約束し、私どもは作業を続けていました。


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作業の手を休めて、子供たちの姿を追うと栗の木の砦で仲良く遊んでいました。


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その後、6年生のユウカちゃんとミノリちゃんに3年生のアイリちゃんもやってきて、稲を外したハセに上ったり、トンボを追いかけたりして遊んでいました。


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稲を外したハセは、子どもたちの格好の遊び道具のようで、ショウゴ君は、ハセに両足をかけ逆さになって体を揺らし、宙吊りブランコを楽しんでいました。

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脱穀作業の合間に、畑のゴミを燃やした灰が残っていたので「焼き芋食べる?」と声をかけると、女の子たちは「食べたい!」と目を輝かせました。

そこで、お芋とホイルを持ってきて、焼き芋を作る準備を始めました。女の子たちは、前にも焼き芋を作ったことがあるので、手際よく芋を洗ったり、ホイルに包んでいます。男の子たちは、あまり興味がなさそうです。


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私どもが引き続き脱穀作業を始めると、ショウゴ君は機械に興味があるようで覗きに来ましたが、作業中は近づかないことを約束すると、みんなのところに戻っていきました。

ハセを挟んだ下の田んぼでは、綾里っ子たちが協力して、灰の中に芋をいれ、脱穀で出た稲わらクズを燃やしながら、焼き芋作りをしています。


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脱穀が終わった頃、焼き芋が出来上がり、熱々の焼き芋を頬ばる綾里っ子たちです。

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焼き芋がもっと残っていないかと、灰の中をかき混ぜているミノリちゃん。アイリちゃんは、灰の温もりに手をかざして「アッタカーイ!」と気持ちよさそう。

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晩秋の夕暮れは早く、瞬く間に陽が沈み、肌寒くなります。子どもたちは残り火で暖をとり、焼き芋をほおばりながら、何を見つめ考えてているのでしょうか?

焚き火の炎は、風に揺れて明るく燃え上がっています。残り火の後始末をして、子どもたちはそれぞれの家に帰って行きました。