サルナシ(マタタビ科) 落葉つる性植物
裏山のスギの植林地と雑木林の境界地に、サルナシの大木を見つけました。直径約15㎝、樹高8mほどの、かつて目にしたことのない大きさです。根元は苔むし、樹形は歴史をしのばせる趣きです。
サルナシは、太陽の光を求めて木を伝い、幹を太くし、葉を上へ上へと広げ、樹冠を覆っては絡まった木を倒し、何年の歳月を生きてきたのでしょうか?木肌は樹齢を重ねた老木の美しさをかもしだしていました。
ツル植物は、木に絡まって立ち上がり光合成をしながら大きくなっていきますが、不思議なことに、このサルナシは独立した一本の木のように空に向かって立っています。これほどになるまでどれだけの立ち木が犠牲になったでしょうか?
サルナシは、木のてっぺんの方で、枝を張った他の木々に、ツルを伸ばして四方を抱き込んだ形で支えられていました。
サルナシの実(10月)
サルナシの語源は、あまりにもおいしくて猿がすぐに食べて無くなってしまうからとか、木で完熟したサルナシの味は香りもよく、ほど良い酸味と甘みがあり最高の味わいです。
手入れが行き届かない大小迫山には、サルナシの木がいたるところで見られますが、このような大木は初めてです。林業関係者にとってツル植物は、害木であり見つかり次第駆除される運命にありますが、このサルナシの古木は命が尽きるまで見守っていきたいと思います。