大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

4月のお茶っこ会 ー春を食べるー

2014年04月24日 | 地域交流

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気仙地方もようやく桜が満開となり、4月のお茶っ子会は、「春を食べよう!」ということで、里山を散策しながら山野草を摘み、天ぷらにして食するということにしました。

風はまだ冷たかったですが、春の日差しを浴び、カタクリやキスミレ、ニリンソウなどの花々を鑑賞しながら、野山で食べられる野草を採取しました。カタクリの花の傍らに、シロバナエンレイソウが咲いており、思わず見とれてしまいました。

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山の林縁には、もうトリカブトが茂っていましたが、その近くにはユキザサが芽を出しています。はじめてユキザサを知ったヒロちゃん、生えているユキザサを手に取り、野草収穫第一号の喜びをかみしめていました。

このあと、カタクリ山に登り、カタクリやシュンラン、エイザンスミレ、オオバキスミレなどの花を満喫してきました。

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足の不自由なタカコさんたちは、平地でニリンソウの群落を見ながら、ミツバやノビル、ヤブカンゾウなどを摘んでいます。

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山野草の採取も終わり、タカコさんとおしゃべりしながら、摘んだノビルの外葉を取り除くミエコさん。


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春の山野草を愛でたあとは、つむぎの家に戻り、摘んできた野草の食材を新聞紙に広げ、仕分けしてみました。

15種ほど集まりました。ユキザサ、ヤブツバキ、ノビル、シドケ、タラノメ、ヤブカンゾウ、ミツバ、カタクリ、アシタバ、ウド、ヨブスマソウ、ニワトコ、葉ワサビ、フキノトウ、それに椎茸です。

ムツコさんは、「これが今日摘んでも、明日にはまた生えてくるという”アシタバ”か」と手に取って見つめています。

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早速、役割分担をして、天ぷら作りの作業に取り掛かりました。

ミロクさんは、収穫が少なかったタラの芽を人数分に切り分けています。

台所では、天ぷらを揚げ始めました。


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お昼には、15種の天ぷらがお皿に盛られ、山野草のそれぞれが持つ独特の味を楽しみました。

まだ、芽を出したばかりの山菜が多く、フキノトウ以外のすべてが初物です。皆さんも、はじめて賞味するものが多かったようでしたが、今回の最年長のタカコさんが「カンゾウを食べると、75日も長生きすると言われたもんだなあ」とつぶやき、それを受けてミロクさんが「今日、これだけ食べたら、なんぼ長生きになるがなー」との言葉に、みんな大いにうなづきながら、自然の恵みに感謝したひと時でした。


卒業する6年生が、シカ防護柵の設置や花炭づくりを体験

2014年03月22日 | 地域交流

昨日は、発達した低気圧の影響で、北国は悪天候で綾里にも10cmほどの雪が積もりました。

明け方まで北風も強く、予定した卒業生を対象にしたイベントを中止せざるの得ないのではと心配しましたが、午前9時頃には、雪もすっかり止み、時々日差しが指すほどまでに回復しました。

思いがけない雪に、遠くから通学していた児童の欠席が目立ちましたが、それでもクラスの半数が参加してくれました。

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まず、朝の挨拶やスケジュールの説明後、「炭と人々の暮らし」の歴史や「炭の効用」などについて学び合い、その後、用意してあった松ぼっくりやどんぐりなどの木の実をアルミホイルに包み、スチール缶に入れて花炭づくりの準備や、焼き芋の下準備をしました。(本来はシカ防護柵設置作業を終えたあとに、山から自分たちで拾ってきた材料で花炭を作る予定でした)

どんな花炭ができるのか?子どもたちは、材料となる木の実やイガグリや竹の根などを、丁寧にアルミホイルで包んでいます。

そして、田んぼで、あらかじめ火を燃やし、花炭づくりができる状態にしたなかに、スチール缶をいれ、山に向かいました。


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山は、一面の雪でしたが、足場の悪い中、植樹地に向かってみんなで、シカよけチューブの材料を運んでいます。


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一昨年植樹したコブシ苗がシカに食べらたところは、みんなで協力して新たにサクラ苗木を植えました。


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「僕の木、私の木」を”ヘキサチューブ”で囲う作業にそれぞれが取り組みました。

さすが卒業生、一度の説明でやり方をすぐにマスターし、参加できなかったお友達の分までヘキサチューブを取り付けてくれました。


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女の子達もペアーを組んで、支柱を打ち込んでいます。


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取り付けの終わったヘキサチューブのケースには、それぞれの名前とメッセージを書き、山を降りました。


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お昼には、地域の方々がおにぎりや豚汁を用意してくれていました。

作業をしたあとの豚汁はことのほか美味しく、みんなで和やかにおしやべりしながらいただきました。


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昼食後は、お待ちかねの花炭を缶から取り出してみました。

慎重にアルミホイルを剥がし、「あっ崩れた!」「ワーきれいな色!」「すごい!そのまんま炭になっている!」など悲喜こもごもの歓声が聞こえていました。


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出来上がったツバサくんの花炭。

みなさん、まあまあの出来栄えでしたが、とても満足した顔を見せてくれました。


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そうこうしているうちに焼き芋も出来上がり、つむぎの家の中で、熱々の芋をほおばりながら、感想を述べ合いました。

「楽しかった!」「美味しかった!」「花炭作りは、もう一度やってみたい!」等々、小学生最後の思い出ができたようです。


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最後は、校長先生のご挨拶。

校長先生は、休日返上で朝早くから来てくれました。子ども達と一緒になって花炭づくりやヘキサチューブの設置など、積極的にイベントに取り組んでくださいました。綾里小を巣立っていく皆さんは、幸せいっぱいです。

当初の予定では、里山を散策しながら花炭の材料集めや、焚き火を囲みながらの花炭づくりや焼き芋作りをと、子どもたちの体験を重視したイベントにしたいと願っていましたが、雪で里山が覆われてしまい、お天道様には勝てませんでした。

それでも、悪条件にもかかわらず、事故もなく無事に小学校最後の里山体験に取り組むことができ嬉しく思っています。中学生になると、部活や勉強と忙しくなり、つむぎの家とも疎遠になりがりですが、植樹した木の生長を見に、これからもつむぎの家に来てくれることを願っています。6年生の皆さん、卒業おめでとう!!


お茶っこ会  「ゆべし作り」

2013年11月21日 | 地域交流

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昨日は、お茶っこ会の「ゆべし作り」です。「ゆべし」は、気仙地方では”お正月”や”結婚式”などの”おめでたい”ときに作られたお菓子でした。

昔は、それぞれの家で作り方があり、貴重な”お振る舞い菓子”でしたが、最近は家庭で作ることは少なくなっています。作業に入る前に、市販されている郷土の”ゆべし”を試食し、今回は、どんなゆべしを作るかのイメージをふくらませています。

甘味は極力抑え、くるみをたっぷり入れて、白砂糖を使ったものと玉砂糖を使ったものの2種を作ることにしました。

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材料となる米粉は、自家製のうるち米ともち米を、7対3の割合で製粉機で挽いたものです。

まず、材料の粉に熱湯を注ぎ、よくこねて団子状になったものを蒸し器で15分蒸し上げます。


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蒸しあがったものを、再度良くこねます。

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そこに、玉砂糖とくるみ、醤油を入れ、まとまるまで練り上げます。玉砂糖と醤油が混じり合い、しっとりとした色合いに仕上がってきました。

白ゆべしの場合は、白砂糖で練り上げます。この練り上げが、力と技術を必要としますが、熟達した老人力を発揮して、見る間に練り上がっていきます。


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練上がったゆべしを、程よい大きさに小分けにし、巻き簀で形を整えて、出来上がりです。


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粉1.8kg、砂糖800g、くるみ250g、醤油、塩等の材料で、11本のゆべしが出来上がりました。くるみが入っているためツヤツヤとして上出来です。


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出来上がった”ゆべし”を試食する前のひと時。囲炉裏を囲んで、昔の作業の思い出や苦労話に花を咲かせています。

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そんな話の中で、米作りのため肥料を作る話がでてきました。

人糞や牛馬糞とともに、「コクサギ」の枝葉を裁断機で刻んで、田んぼの泥に埋めたそうです。その時に「おおあし」という”大きな下駄”を履いて沈めた話を、92歳のトクエおばあさんから聞き、我が家に有った物を見せたところ、「これが、おおあしだよ!」ということで、ようやく謎であった下駄状の使い道がわかりました。

*コクサギ・・・樹液はアルカロイド系の毒を含み殺虫効果があり、また、枝、葉は窒素を構成成分としているために肥料木にもなるということです。

(化学肥料や農薬がなかった時代、先人たちは身近にある自然のものを有効活用していたようです。コクサギの旺盛な繁殖力に嫌気をさしていましたが、”ボットン便所”の殺虫剤などとして、里山暮らしにおおいに役立ちそうです。)

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さて、いよいよ、出来上がったゆべしを試食しながらの「お茶っこ会」です。

出来たてのゆべしの美味しさは格別でした。話が弾んだあと、次回は何にしようか?何時頃が良いだろうか?と話し合っています。来月12月は、みなさんもお正月を迎える準備で忙しいので、来年1月の中旬に、新年お茶っこ会をすることにしました。地域のお年寄りの方々から教えられる”生活の知恵”は、本当に貴重なものです。これからもこの会を大切にしていきたいと思います。


京大生の里山体験-その2-

2013年11月19日 | 地域交流

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昨日は、京都大学4年生の山本さんが里山体験に来てくれました。

つむぎの家の代表が、柿の木を見ながら、今年の作柄状況を説明しているところです。

山本さんは、この夏に環境調査活動のためにつむぎの家の里山を(同学年の大崎さんと)見学していきましたが、今回は、仙台で行われた地球環境国際学会に出席し、発表を終えてからの来訪で、2度目です。

干し柿作り体験を希望されていましたが、残念ながら今年は不作で、体験活動ができませんでした。

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そこで、里山生活で冬を迎える準備作業としての、里芋掘りの手伝いをして頂きました。

里芋(小芋)を傷つけずに掘り起こし、親芋(根幹)と茎を切り離す掘り方を教えると、手際よく掘り起こし葉を取り除いてくれました。

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その後、沢の水で、収穫した里芋の泥落とし作業をしてくれました。

農業体験は、祖母の家や農学部実習で経験していますが、里芋掘りは始めての体験だったようです。


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農作業が終わると、果樹園に移動し、昨年植樹したばかりのサクランボやリンゴ、モモなどの木に、コモを巻く作業を手伝ってくれました。

コモ巻きは寒さよけと、鹿による食害防止のためです。


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作業が一段落したあとはカタクリ山に登り、紅葉した山頂から、綾里の駅や小学校を望み、綾里の町並みを展望しました。

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この時期は日暮れが早く、午後4時を過ぎると薄暗くなり、ぐっと冷え込んできました。

里山体験を終えた山本さんは、囲炉裏の炭火で暖をとりながら、里山での自給自足の生活体験の一端を振り返っていたようです。

普段は無口な性格で、必要以上のことは喋らないと言っていました(夏に来た時も殆んど喋らなかった)が、国際学会の発表を終えた安堵感と、つむぎの家の雰囲気が良かったのでしょうか、進んで話す笑顔が素敵でした。

このあと、綾里駅から南リアス線に乗って大船渡町の民宿に帰って行きました。


「お茶っこ会」と”かまもち”作り

2013年10月21日 | 地域交流

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今月の「お茶っこ会」は、予定では大荒れの26号の台風日と重なり、延期して先日行いました。

今回は、郷土のおやつの「かまもち作り」と、気軽に「お抹茶を楽しむ」という内容です。

「かまもち」は黒砂糖に味噌とくるみを入れた餡を、小麦粉の皮で”鎌型”に包んで蒸したもので、上手に食べないと中身の餡が飛び出すこともあり、工夫が必要です。そこで今回は固くなりがちな小麦粉だけではなく上新粉を半々に混ぜたものと上新粉だけのかまもちの2種類に挑戦しました。

上の写真は、92歳のとくえさんの指導のもと、上新粉に熱湯を注ぎ、かまもち作りに取り組んでいるところです。


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一方こちらでは、手すきの方々がくるみの中身を出しています。

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さて、かまもちに餡を詰め,鎌型に出来上がったものを蒸している間、お抹茶をいただくことにしました。

作法にとらわれない飲み方で各自お茶をたて、みんなで嗜みました。


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「お薄を回して・・こうしていただくのかな?」、「いいのいいの、作法にこだわらなくて・・」、「お茶は心でたてればいいんだから・・・」と各自が飲みやすい飲み方で頂戴し、和やかなお茶会になりました。


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お薄をいただいたあとは、出来上がったかまもちを食べながら団欒しました。

かまもちは、小麦粉の方がやや色が茶色っぽく、上新粉の方が白く出来上がっていました。お茶は碾茶(抹茶にする前のパリパリした茶葉)を入れて飲みながら、話題は26号の台風のものすごさと、伊豆大島の惨状についてなど、かつて山津波の恐ろしさを経験したとくえさんの話に、この前の大震災を思い出し、常日頃の備えの大切さを実感しながら話が弾んでいました。


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お茶っこ会を終えたあと、囲炉裏を囲んで、次回は何にしようかと話し合っています。

つむぎの家の囲炉裏は、皆さんにとっても懐かしく、心が和むようで、「次は”ゆべし”を作ろう!」ということになりました。前回の”がんづき”、今回の”かまもち”、そして次回の”ゆべし”と地域の伝統的”お菓子”の作り方を先達たちから学べることの楽しさと嬉しさを、”次世代にも伝承していければいいなー”と感じました。