昨夜深夜から未明にかけて、犬のヤマトの激しく吠える声に起こされ、0時30分ごろ外に出てみると、デッキの所でヤマトがタヌキとにらみ合っていました。
ここは、ヤマトの食餌の場所で、昨夜はドックフードを少し食べ残していました。写真左下のスチール容器に残っていたヤマトの餌の食べ残しを狙ってタヌキがやってきたようです。容器をのぞくと餌はきれいになくなっていました。
ヤマトの鳴き声に驚いたのか、タヌキはデッキの狭い板の間に身をひそめたままになり、身動きできなくなっていました。私たちが起きてきたのでヤマトは安心したのか、「ウーッ、ウォーッ」とうなり声になり、タヌキの方は「グワーッ、グワー」とうなり声で応戦していますが、2匹とも1mの距離を挟んで全く動こうとしません。まさに不動の姿勢のままの対峙が続きました。
しかし、私の姿を見ると安心したせいか、ヤマトはデッキの下に入り、積極的にタヌキを追いかけはじめました。
タヌキの方は、土台とデッキの板の間に身を隠し、デッキの板を盾にして、狭い通路を右往左往していました。
そのうちに柱の所でおとなしくなり、何と!目をつむって身動きしなくなりました。
タヌキの大胆な行動に、ヤマトも私たちも一瞬キョトンとしてしまいました。どうやら「狸寝入り」を始めたようです。話では知っていましたが、実際に見るのは初めてでした。ヤマトの手綱を引き寄せ、しばしこの「狸寝入り」を観察することにしました。ライトを当てても、目を閉じたままじっとしています。そのうち、今度は頭を柱の間に入れ、じっとして動きません。まさに「頭隠して尻隠さず」の態勢です。
手綱を離すと、ヤマトは執拗に狸に向かっていくのですが、タヌキは固まってしまって逃げようとしません。
ヤマトも吠えるだけで、咬みつく攻撃はしません。
かわいそうになり、何とか逃がそうと、仕方なくヤマトを押え、デッキの間からタヌキの頭を竹の棒でつついて、「出ていきなさい!」と刺激を与えると、逆に唸り声をあげ、竹にかみつき動こうとしません。今度はお尻の方から竹で追い払うと、ようやく狭いデッキの下をゆっくり歩き始めました。
数分後、「お騒がせしました!」とでも挨拶しているような表情を最後に、軒下から出たタヌキは、足早に去っていきました。
体長50~60㎝、体重は5~6Kはあるでしょうか、ふさふさした冬毛で肩の毛が抜け、古だぬきと思われます。山の獲物も少なくなり、里に下りてきて、ヤマトの残飯にありついたけれど、ヤマトに威嚇され、身動きできなくなっていたようです。
タヌキが去った後、「ヤマトお利口だったね、よしよし!」とほめてやると、ヤマトは得意顔で、お駄賃のビスケットを食べ、水をごくごく飲んでいました。冬の里山には、いろいろな生き物たちがやってきています。夜半になると鹿のように野菜などを食い荒らすもの、テンやタヌキのように干し草堆肥や牛堆肥の中にいるミミズなどをあさるもの、キツネなどのようにネズミやモグラなどの小動物を獲るものなど、私たちが寝ている間にも、いろいろなドラマがあるようです。
時計を見ると12時50分、真夜中の来訪者に眠気の覚めた夜でした。