大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

悪魔ん祓い行事 ”権現さま”

2014年01月06日 | 伝統行事

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新年恒例の「悪魔ん祓いの行事」。綾里岩崎地区の権現さまが今年も行われました。

権現さまとは、人のあらがいようがない天災を魔ものととらえ,神の権化である権現さまに「払い」をたくする行事。津波で流された公民館も、ようやく昨年完成し、権現さまの装束も一通り揃い、晴れやかな年明けを迎えられました。

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権現さまは、3人ひと組になって踊る勇壮な舞で、無病息災や豊年大漁などを叶えるために、各家々を訪ね、それぞれの家の前で、「ササラ」に導かれながら”悪魔を払い”、家内安全を祈願して踊ります。


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権現さまによる「払い」を終えると、ササラ役の小学生の先頭が権現さまにお神酒を飲ませて労います。

お神酒をいただいた権現さまは、もう一度勇壮な悪魔ん払いの舞を披露し、道中囃子に導かれながら次の家に向かっていきます。

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今年は、裏方で権現舞を支える笛や太鼓・お囃子などを、地域の大人の方々とともに、中・高校生たちが担い、盛大に執り行うことができました。

つむぎの家では、まず、氏神様に向かって勇壮な舞を踊り、そして、母屋の神様の前で「お払い」をしてもらい、一年の無事を祈願することができました。

震災後3度目の新春を迎え、震災前の賑やかさを取り戻したような「権現さま」でした。


初日の出

2014年01月02日 | 伝統行事

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今年の元日は曇りの予報で、初日の出は期待できず半ば諦めながら犬を連れて海岸(約30分)へと向かいました。途中から小雨が降りだしてきましたが、東の空に手を合わせるだけでもと歩き続けると、目的地に着く前に木々の間から太陽が顔を出し、急いで見通しのよい場所へと移動。

するとススキの間から、水平線に沿って帯び状に明るい光が果てしなく広がっているではありませんか。それは、これまでに目にしたことのない美しい日の出の光景でした。


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天気の良い日の日の朝日は、水平線間際には雲がかかり空と海の境がはっきりしないことが多いのですが、悪天候の今年は水平線に沿って真っ直ぐに明るい光が走り、思いがけず素晴らしい初日の出を拝むことができました。

自然はいっときたりとも留まらずに変化し、折々の美しさを見せてくれることや何事も諦めのない歩みの中には光が見えるということを教えられた元日の朝でした。

今年も、里山再生を目指し、たくさんの動植物との出会いを楽しみに自然と共に過ごしていきたいと思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。


小正月行事「ミズキ団子の花」

2013年01月13日 | 伝統行事

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今年初めて、小正月のミズキ団子をつくり、年神様が鎮座する隣にに飾りました。

昔はミズキの木に、色とりどりの団子を飾り、それに七福神や小判などの縁起菓子なども華やかに飾ったのですが、今回はシンプルに白い団子だけにしました。ただ団子の粉にはこだわり自家製米(餅米とうるち米を混ぜたもの)を製粉機で粉に引いたもので作り、豊作や家内安全を祈願しました。

ミズキの木に団子を刺しただけですが、古民家に似合う清楚な花が咲いたようです。


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こちらは、神棚の隣に飾った小さなミズキ団子です。

漁業が盛んな綾里では、神棚にはコブの木(ニワトコの木)に笹を巻いたものを供えるそうですが、つむぎの家では簡素にミズキ団子だけで小正月を祝います。

昨年は、震災後のこともあり、小正月のお祝い行事は、それぞれの家庭で自粛していたのですが、久しぶりに団子作りに精をだしミズキの枝に一つ一つさして、満開になった団子の花に浮かれながら、子どもに返ったような気分に浸りました。


復活した”権現舞”-復興と安全への祈りを込めて-

2013年01月02日 | 伝統行事

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昨年は震災の影響で行われなかった正月の伝統行事、権現舞が2年ぶりに復活しました。

権現舞は、元日の朝行われる地区ごとの行事で、小学生はささら踊り(権現様を誘導する舞子)を中学生と高校生は笛や太鼓をならし、成人は権現様の頭としっぽ振りと、地域の老若男女が集まって行う悪魔祓いの伝統行事です。一年の無事や安全を祈願して全戸を回ります。

津波で流された地区公民館(プレハブの仮設)が12月の末に完成し、五日ほどの急ごしらえの練習期間でしたが、身についた伝統行事は、みんな身体が覚えていて、すぐに権現舞になじんだようです。

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元日の朝にふさわしい快晴になった朝8:30、つむぎの家にやってきて、ささら舞に導かれ、まず氏神様に向かって舞を披露します。

ピンク色の法被は中学生、烏帽子をかぶっているのは小学生たちです。本来は”ささら舞”は小学校で終了するのですが、震災で2年間途絶えていたので、先輩になった中学生がお手本を示して舞っています。


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その後、つむぎの家の庭で勇壮な権現舞を披露。権現様は頭、胴体、尻尾と三人が一体となって幕の中で行動するため、呼吸を合わせる必要があります。

氏神様に向かって進んでいく間は、”道中舞”といって睨みを利かしながらも静かに舞いますが、途中で囃子が切り替わると、”悪魔ん払い”といって権現頭を大きく振りかぶり、家々の悪霊を追い払う勇壮で激しい動きになります。。


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悪魔ん払いの舞が終わると、権現様に扮した大人たちは、ささら舞の子どもたちからお神酒を頂き、一家の安全と繁栄を祈願して悪魔払いを終えます。


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つむぎの家での権現舞を終えて次の家に移動するところです。笛や太鼓などの裏方は、中・高校生が主体となっています。こうして、地域の伝統が受け継がれていきますが、高校を卒業すると地域に残る人は極端に少なくなります。

かつてつむぎの家に遊びに来ていた子どもたちが中学生になって、笛や太鼓を上手に演奏している姿に接し、久しぶりに会い、懐かしく声をかわして別れました。

町内会館は津波で流されましたが、ケースに保管されていた獅子頭や衣装は奇跡的に見つかり、つむぎの家の沢の水で、砂や泥を洗い流したことが、昨日のように思い起こされました。

こうして、権現舞が復活し、地域の復興に向けて、2013年のスタートをきることができました。

皆様にとっても良い年でありますよう祈願いたします。


小正月 ~和の行事えほんカレンダー~

2012年01月15日 | 伝統行事

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昨年の暮れに「絵本の家」からの支援物資、「和の行事えほんカレンダー」を旧三陸町の小中学校等に配布し、年末に数校から礼状をいただきました。

年が明けた一昨日、大船渡市立の吉浜小学校の校長先生より、上記の礼状がつむぎの家に届き、「昔ながらの行事、伝統、風習が記載されている素晴らしいカレンダー」とすてきな贈り物への感謝の言葉が綴られていました。

この礼状を読んだ直後に、近くに住む叔母から、「小正月用のミズキの木がほしい」との電話があり、幼い頃の小正月の思い出がよみがえってきました。

私の実家、会津地方では、ミズキの枝に赤、緑、白と色とりどりの団子と小判や七福神などの縁起物のせんべいをつるしたものを飾り、煤で黒光りした木造の家が一気に華やぎ、ワクワクしたことや、「さいの神」と言う火祭り行事で焼いた団子を食べると1年中病気をしないと、こげた団子を頬張ったことなどを思い出しました。

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ミズキの木を叔母に届けると、つむぎの家の分までミズキ団子を作ってくれたので神棚に飾りました。

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ミズキの枝にさした白だけのミズキ団子ですが、家の中に花が咲いたように、明るくなりました。

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ミズキ(ミズキ科)

ミズキ=水木に通じることから、火事にならないようにとか、田畑の水が枯れないようにという願いが込められているようです。

故郷を離れてからは、ミズキ団子で祝うことのなかった小正月ですが、古来からの五穀豊穣に加えて、今年は、一日も早い震災復興への願いをこめて、合掌しました。

忘れかけていた小正月は、冬の厳しい寒さの中で、やがて来る春に思いを寄せ、自然と深く結びついた大切な行事であること、和の行事えほんカレンダーと叔母が教えてくれました。