ツノハシバミ(カバノキ科)
ハシバミの仲間で、果実に角のような突起があることから命名。
雌雄同株で葉が出る前に花が咲きます。
一足先に咲き、長く垂れ下がったウロコ状の雄花と赤い雌花が春を知らせてくれました。
雌花を拡大してみると、イソギンチャクの触手のように、枝先に赤い花柱が顔を出しています。
1cm足らずの小さな花ですが、風媒花ですので、花粉を捕らえやすいつくりのようです。
このツノハシバミの木は、直径6cm程の株立ちした低木です。樹皮は、灰褐色で皮目が目立ちます。
ツノハシバミの雌花は、秋にはヘーゼルナッツのような美味しい実を結び、それを取って食べた小学生の頃の思い出と重なります。
学校から、自宅までの時間は普通に歩けば10分足らず、塾も稽古事も宿題もない当時は、日課のように友達と裏山に入り、道草をして自然と戯れ、時間をつぶして帰宅したものでした。道中、グミや木苺、ツノハシバミやカヤの実など、四季折々の木の実を取っては頬張りました。その時「自然の中にはなんと美味しいものがあるのだろう」と思ったのがツノハシバミでした。果実にはチクチクする毛が密生し、中の堅果を出すのに苦労しながらも夢中で食べた日のことが思い出されます。
ツノハシバミの赤い雌花は、春の知らせとともに、実りの秋への期待をふくらませてくれました。