大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

雑木林の春 ーツノハシバミの雌花ー

2014年04月06日 | 樹木

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ツノハシバミ(カバノキ科)

ハシバミの仲間で、果実に角のような突起があることから命名。

雌雄同株で葉が出る前に花が咲きます。

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一足先に咲き、長く垂れ下がったウロコ状の雄花と赤い雌花が春を知らせてくれました。


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雌花を拡大してみると、イソギンチャクの触手のように、枝先に赤い花柱が顔を出しています。

1cm足らずの小さな花ですが、風媒花ですので、花粉を捕らえやすいつくりのようです。


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このツノハシバミの木は、直径6cm程の株立ちした低木です。樹皮は、灰褐色で皮目が目立ちます。

ツノハシバミの雌花は、秋にはヘーゼルナッツのような美味しい実を結び、それを取って食べた小学生の頃の思い出と重なります。

学校から、自宅までの時間は普通に歩けば10分足らず、塾も稽古事も宿題もない当時は、日課のように友達と裏山に入り、道草をして自然と戯れ、時間をつぶして帰宅したものでした。道中、グミや木苺、ツノハシバミやカヤの実など、四季折々の木の実を取っては頬張りました。その時「自然の中にはなんと美味しいものがあるのだろう」と思ったのがツノハシバミでした。果実にはチクチクする毛が密生し、中の堅果を出すのに苦労しながらも夢中で食べた日のことが思い出されます。

ツノハシバミの赤い雌花は、春の知らせとともに、実りの秋への期待をふくらませてくれました。


カツラの観察

2014年02月02日 | 樹木

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昨秋、大小迫のシンボルツリーであるカツラの木の枝が、大風で折れてしまいました。

折れた枝がかかり木になり、処理に困っていましたが、ようやく、森の整備にこられた方に切り落としてもらいました。

カツラの木は、この地方では「おこーのき」と呼び、かつては大小迫でも葉を乾燥させて”お香”を作っていました。秋の黄葉はじめ四季折々の美しい装いを見せてくれるカツラですが、高木のために、なかなか手にすることができませんでしたが、これを機に、折れた木をじっくり観察してみました。

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カツラのハート型の葉は、落葉せずに縮れたままで、枝にはバナナのような形をしたたくさんの実が付いていました。


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実を拡大してみると、鞘がはじけて中の種がこぼれているのがほとんどでしたが、まだ残っている種がありました。


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初めて目にしたカツラの種。

種には翼があり、風によって繁殖を広げるつくりのようですが、周辺でカツラの実生を目にしたことはありません。なぜでしょうか?

森の入口にそびえるカツラの木は、春に先立って花が咲き、木々全体がレンガ色になり、その後は萌えるような新緑そして黄葉と変化し、美しい樹形で、大小迫の里山を見守っています。


山の恵み ”サンカクヅル”

2013年10月29日 | 樹木

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先日裏山で、クワの木を伝って4mほどの高さに蔓を伸ばし、たくさんの小さな実をつけているつる性落葉木に出会いました。実の形や大きさが山ぶどうに似ていますが、葉の形はまるで違い、味は山ぶどうそっくり、以前にも出会った気がするがどうしても思い出せない。

蔓ごと4~5本持ち帰り調べてみますと、葉の形が三角形に近いサンカクヅル(ブドウ科)でした。別名ギョウジャノミズ(行者の水)とも言われ、蔓を切ると、樹液が出て来ることから、昔、行者がサンカクヅルでのどの渇きを潤したというのが別名になったそうです。


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まだ青い実も残っていますが収穫時期、黒く熟した実は、山ぶどうのように種が大きく食べごたえはないが疲れを癒してくれる心地よい酸味です。

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サンカクヅルの実を皮ごと煮て、裏ごしにかけ種を取り除いてジャムを作ってみました。出来上がったジャムをヨーグルトに入れると、アントシアニン色素が広がって、きれいなあずき色になりました。

山の恵みの味は、程よい酸味があり、なんとも言いがたい奥深い味わいです。自然の恵みに感謝!


 ”ナツハゼ” ごちそうさまでした

2013年10月28日 | 樹木

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ナツハゼ(ツツジ科)

裏山のナツハゼの実が収穫時期を迎えました。

ナツハゼの語源は、夏にハゼのような紅葉が見られることに由来しますが、この木の周りにはアカマツやタカノツメなどの高木があり、十分な日光が当たらず、残念ながら美しい紅葉は見られません。


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それでもこの時期、ナツハゼの実は黒く熟し食べごろです。一粒口に含んでみると、甘酸っぱい味が口の中いっぱいに広がりました。

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早速、収穫しました。

完熟しシワシワになった実もあったのですが、雨上がりの合間を見ての収穫でしたので、みずみずしく黒光りして、まるで黒真珠のようです。

このあと、葉や柄を取り除き、きれいに洗って砂糖とオリゴ糖を入れて煮つめ、ジャムを作りました。


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出来上がったジャムを、ヨーグルトに入れていただきました。生食した時は、小さな種が舌に残りましたがジャムにすると全く違和感がありません。純国産のブルーベリーというところでしょうか、最高の味わいのジャムに仕上がりました。

今、木々の実は食べごろを迎え、野鳥たちにとっては大切な食料です。

鳥たちは木の実を食べ、不消化の種は糞と一緒にあちこちに散布、春にはその種が芽を出し、生長して樹木になり、豊かな森がつくられていくという、木の実と野鳥たちの共生の輪を崩さないようにと心しながら山の恵みをいただきました。”ごちそうさまでした。”


切り株の造形美

2013年01月08日 | 樹木

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七草の昨日、冬の日差しを浴びながら今年初の南尾根散策をしました。広葉樹はすっかり葉を落とし、見通しがよくなり北側の山々の稜線がくっきりと見えました。落ち葉を踏みしめ、裸になった木々の樹形を楽しみながら歩いていると、足元でささやく声が聞こえました。

かつて豊かな森をつくり、生き物と共に過ごした木々の切り株たちです。人間どもに切られて利用され、風雨に晒されながら、刻んできた歴史をひもとくように、その時々の美をかもしだしていました。


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この写真は、その上の写真の部分拡大ですが、苔むして年輪を重ねたような木肌に節の模様が過去を物語っているようです。

いつの日か、朽ち果てて土にかえり、新たに芽生える木々たちの生長の糧として次代へと命をつないでいくのでしょう。末路の奥深い輝きと自然の造形美に感嘆しました。