6月24日、「森の積み木」を三陸町内の4箇所のこども園に贈呈しました。第2班は、越喜来、吉浜地区を訪問しました。最初の訪問地の越喜来幼稚園・保育所は、すぐ下にあった保育所が津波で流されたために、老朽化した幼稚園で幼児・園児が一緒に学んでいます。
そのため、園舎は職員室、休憩室、倉庫までを子どもたちの部屋に改造し、職員室は友好都市の相模原市から送られてきたトレーラーハウスを園庭の片隅に設置していました。
積み木の山を前にして、子どもたちは歓声を上げ、さっそく積み木を手に取って遊び始めました。保育所・園の先生方は、後ろで子どもたちの動きを暖かく見つめています。
子どもたちは夢中になっていろいろなものを作っていました。箱型のものと山型のものを作っていた子に「何をつくったの?」と聞くと、「仮設住宅」と「瓦礫の山」と答えました。
越喜来地区は、子どもたちの三分の一が被災しており、園の庭からは破壊された町並みと、被災した小学校の校庭に高く積み上げられた瓦礫の山が一望できます。そして、この子の家族も仮設住宅に入居しています。
もう一人黙々と作っている年中組の子に「これは何?」とたずねると、「復旧道路」ということば。幼い子どもたちの目にも、震災の風景が刻まれているとともに、復興に向けた家族や町の人たちの働く姿が焼き付いているんだなと思いました。
年長の男の子たちは、はじめはそれぞれで思い思いのものを作っていましたが、一人の子が高層住宅といって積み木を重ね始めると、「そうだ、マリンタワーを作ろう」といって周りの子どもたちも手伝い始めました。
絶妙にバランスを取りながら共同作業でどんどん高く積み上げ、最後には自分たちの背の高さ以上になりました。
こちらは、吉浜こども園の様子です。門構えのあるお家で、家の中にはソファや椅子までが作られています。
この地区は明治・昭和の三陸大津波以降、すべての住居を高台に移築し、今回の震災では海辺の漁業施設以外は、住居被害、人的被害は奇跡的にほとんどなかった地域です。
共同作業で三種類の積み木を活用して高い塀を作ったり、
廊下いっぱいいっぱいまではみ出して、高速道路をつくって車を走らせたり、
最後には、遊んだ積み木を年少の子までお手伝いして箱の中に入れ、片付けていました。
最後に積み木を提供してくれた「緑のダム」のスタッフに園の先生や子どもたちがお礼を述べている場面です。
吉浜こども園は、この4月から綾里こども園と同様、認定こども園としてスタートしています。隣にある吉浜小学校と同時に昨年度中に竣工・完成した新しい建物で、子どもたちも〈のびのび〉と育っているようでした。
越喜来・吉浜と二つの園を訪問して感じたことは、次世代を担う子どもたちが健やかに育つ環境を早く整備し、安心して安全に生活できる町づくりを一体となって進めなければならないと強く実感しました。