大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

みちのく潮風トレイル ー綾里コースの検討ー

2014年02月26日 | 震災と復興

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前回(2/6)の大船渡地域の「みちのく潮風トレイル」のワークショップに続いて、24日に、綾里地区のルートを検討するためのワークショップを行い、地区の公民館長や有識者、地域住民が集い活発な話し合いがなされました。

「綾里峠九十九曲り」ルートはほぼ承認されたのですが、もうひとつ捨てがたい「綾里崎灯台」をルートに加えたいが、半島を一周すると長距離コースになり、見所を押さえた短縮ルートをどのようにとるか等の課題が残りました。

そこで、話し合ったルートを、実地検証するために昨日、環境省の自然保護官と有志で綾里灯台コースを歩いてみました。(上の写真は、出発前の確認をしているところです。)

綾里崎を周回する林道はおよそ22kmほどあり、2ヶ所の短縮コースを通れば、8kmほど短くなります。

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まず、第一のコース「垂水(たるみず)コース」を歩いてみました。

このコースは、かつて”垂水地区”に住んでいた人たちが歩いた生活道路でしたが、30年ほど前に無人化になり、通る人も殆んど無いとのことでした。コースの入口は、木材の搬出等で舗装されていましたが、100mほど入るとすぐに山道になっています。


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その山道を少し入ったところに祠がありました。こんもりと盛られた塚の上に、松の大木と夫婦杉の間にたたずんでいました。

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祠から、山道はなだらかに続いておりましたが、途中には倒木が横たわっていました。しかし、人が通れるように伐採されており、尾根道の峠までは、楽に辿ることができました。

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尾根から振り返ると、綾里の港や街の風景が飛び込んできました。

木の切り株に腰を下ろし、しばし絶景に見とれていました。

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目を転じると、綾里富士や大股山も一望できました。

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しかし、尾根から垂水側へ下り始めると杉木立となり、倒木が道を塞いでいる箇所が2~3ヶ所ありました。

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でも、杉木立を200mほど下ると、もう林道に出ました。1kmほどの山道でしたが、倒木を整理すれば、トレイルコースとしてお薦めできるのではないかと思いました。

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次は、立石山の尾根コースからの、気象庁大気観測所(旧ロケット観測所)分岐点の確認です。

分岐点から、ほんのちょっと下ると突然視界が開け、観測所の敷地に出ます。そこからの絶景に、一同しばし見とれていました。

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春の陽気で、やや視界が霞んでいますが、碁石岬や広田半島、そして唐桑半島までがはっきりと見渡せ、視界が良ければ牡鹿半島や金華山までもが一望できます。

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もう一方の短縮コースとして、野々前地区から立石山頂へ辿る直登路を調べてみたのですが、50年に渡って杉林の中で利用されておらず、杉の伐採後、道跡はかすかに残るものの、藪に遮られてしまって、尾根道にたどり着くことはできませんでした。

二つの短縮路コースを歩いてみて、綾里崎灯台から立石山尾根を辿り、垂水コースを通って綾里峠に向かうルートは、潮風トレイルの有望なコースとして推薦できるのではないかと思いました。


セミの幼虫

2014年02月22日 | 昆虫

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庭に積もった雪が溶け出し、土が柔らかいうちにと、スズメノカタビラなどの雑草を鍬でかいていると、セミの幼虫が顔を出しました。地表から5cm足らずのところからの出現です。

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白い複眼に体全体が褐色をしていて、成虫の体ができあがっている終齢幼虫かと思われます。長い地下生活から地表近くまで移動し、地上の様子を窺っていたようです。

セミの成虫の命は、約1週間と短い寿命ですが、産み付けられた卵からかえった幼虫は、アブラゼミで約6年間、土の中で木の根から樹液を吸って育ち、7年目の夏に地上に出てきて羽化するそうです。


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鍬で傷をつけてしまったのではと心配しましたが、ゆっくり足を動かしていました。

幼虫期の最後の冬を乗り越え、今夏には無事に羽化してくれることを願い、そっと土の中に埋め戻してあげました。

雪解けとともに寒さが和らぎ、ゆるやかながら確実に、季節は早春へと向かっていくことでしょう。


厳寒期の水生昆虫

2014年02月20日 | 生き物

鳥類のモニタリング調査は、約1kmの調査ルートを往復しますが、重複を避けるためにすぐに引き返さずに、約15分ほど休憩をしてから復路の調査に入ります。往路の調査が終わり、寒い中、15分をどう過ごすか悩むところですが、川のせせらぎが目に入りました。

厳寒期、水辺の生き物たちは、どうしているのだろうか。そっと川の中の小石をひっくり返して覗いてみました。水は外気温に比べて暖かく、生き物たちの動きは鈍いものの、思いがけずたくさんの水生昆虫に出会いました。

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カワゲラの幼虫


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ルリボシヤンマのヤゴ

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ヨコエビ

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ヘビトンボの幼虫

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サワガニ


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カゲロウの幼虫

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最後に、石をひっくり返すと、水の中ではひときわ目立つ1cmほどの小石を見つけました。手にとってみると小さい割にずっしり感があり、石のような固い感触はなく、何か生き物のようです。

家に帰って調べましたが同定できず、自然保護協会に問い合わせてみました。

その結果、種名までは分からないがダニの仲間ではないかということでした。「水の中には”ミズダニ”というのがいますが、血を吸ってパンパンになったマダニにも似てますね。噛まれると大変ですので気をつけてください。」とのことでした。ミズダニは”水中の宝石”とも称され、美しい色のダニが多いそうです。これは、水の中に棲むマダニ?ということでしょうか。

仮説「増えすぎたシカについたマダニが、シカの血を吸ってパンパンになり、離れ落ちたところが水の中だった?水の中でも生きていけるマダニということでしょうか。」

「嫌われ者のダニといえども、この地球上には無駄な生き物はなく、物質循環の一端をになっている」と言われますが、自然界の生態系のバランスが崩れてきている証なのでしょうか?

厳寒期の、水生昆虫との思いがけない出会いの喜びと、不可解な生き物に悩まされた出会いでした。


コンニャク芋で手作りコンニャク

2014年02月16日 | 有畜複合農業

全国的に大荒れだった昨日は、一歩も外に出られず、家の中でコンニャク作りに挑戦しました。

6年前からコンニャク芋を栽培し、これまでも何度かコンニャク作りに挑戦してきましたが、いずれも失敗に終わりました。今回はコンニャクづくりの要ともいえる凝固剤の貝殻焼成カルシウムを購入できたことと、生芋からつくる手作りコンニャクのレシピが手に入ったのでルンルン気分で取り組みました。

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4年もののコンニャク芋、約1kg弱を用意し、皮をむきます。

皮をむかずにそのまま使ってもいいのですが、今回はむくことにしました。


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皮をむいたコンニャク芋。

デコボコしたこんにゃく芋の皮は剥きにくく、皮をむくと約100g減りました。


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こんにゃく芋の重さの約3倍のお湯(約50℃)の中に芋をすりおろします。時々泡立て機で攪拌し、塊をほくします。

コンニャク芋はヤマイモなどと同じく肌の弱い部分に触れるとかゆみが出ますので、薄手の手袋をしてすりおろしました。

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すりおろしたコンニャク芋を、約40分間寝かせます。

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その後、力強く練ると、糸を引くようになり照りが出てきます。(約10分)


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そこに、凝固剤の貝殻焼成カルシウムを水でとかしたものを一気に入れ、素早く練ります。最初はバラバラになりますが練りこんでいくとまとまってきます。

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全体がまとまってきたところでバットに入れ、形を整え約20分~30分置くと固まってきます。

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そのあと適当な大きさに切り分け、沸騰したお湯に入れて30~40分煮ると出来上がりです。

有機栽培のコンニャク芋で作ったコンニャクを、ようやく味わうことができました。「刺身こんにゃく」「煮物」「炒め物」と手間ひまかけて出来上がったものの味は格別です。市販のコンニャクは冷蔵庫で眠っていることが多かったのですが、手作りコンニャクのとりこになりそうです。

植物繊維を始め、カルシウムやカリウムなどのミネラル成分を含む優れたアルカリ性食品のコンニャク、次回は、皮付きのまま作ってみようと思います。

*サトイモ科の植物は、えぐみが強いせいか、今のところ、シカが手を付けない唯一の野菜ですので安心して栽培できます。


モニタリング調査 ”アオジ”

2014年02月14日 | 野鳥

大雪後の冬晴れの日に、越冬期の鳥類の調査に出かけました。

ルートは多様な環境からなる里地から森林帯の林内、林縁、休耕田などさまざまな景観タイプの約1kmほどの調査ルート上を歩き、野鳥の生息を確認し、カウントしていく調査です。

里地では、ジョウビタキやモズ、カシラダカやツグミなど、少ないながらも数種の鳥を確認できましたが、森林帯に入った途端に、雪解け水が流れる音だけの静かな世界、前回の調査でもミソザザイの地鳴きを聞いただけでしたので、半ば諦めながら進むと、雪を踏むザクザクという音にまぎれて「チッチッ」と鋭い声が耳に入りました。

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音をたどると、藪の中に草の種をついばんでいるアオジ(ホオジロ科)がいました。

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時には、草木を止まり木に、周りを警戒しながらの採餌。

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アオジは番のようです。

ときどき、言葉を交わし合っているような姿が、藪に見え隠れしていました。

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お腹いっぱいになったのでしょうか。林道脇を流れる小川に降りていきました。


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川底の、石の上を歩きながら沢の水で喉を潤し、ほっとした表情。


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こちらは、予期せぬ大雪を案じ、不安げに空を見上げている様子。

この日、森林帯の野鳥は、2羽のアオジだけでした。

越冬期の野鳥のモニタリング調査に取り組んで感じたことは、今冬は、鳥の種類も数も例年に比べて非常に少ないことです。

原発事故からまもなく3年を迎えます。身近に、種牛を育てている生産者が、放射能の汚染でこれまで与えてきた牧草は、牛に食べさせられずに輸入牧草に頼っていることや、狩猟のニホンシカの肉は、未だに口にできない現状を考えると、原発で降り注いだ放射能汚染による体の小さな鳥たちへの影響はいかばかりかと、不安が募ります。

レイチェル・カーソン氏の「沈黙の春」を思い起こすほど、今冬の自然の中は黙りこくっています。

野原いっぱいに花が咲き、鳥たちのさえずりで賑わう春が必ずやってくることを、心より願っていますが・・・・?。