大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

巨大キノコ  「オニフスベ」

2014年04月11日 | きのこ

里山は、カタクリやイワウチワ、ニリンソウやエンレイソウなど、つかの間の光の中に生きる春の妖精たちが顔を出し、野草の花咲く季節を迎えました。加えて、旺盛な生命力で大地を覆う雑草との戦いも、始まりました。

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先日、草刈をしていると子供の頭ほどの大きさの、チョコレート色をした海綿状のかたまりを見つけました。

キノコのオニフスベ(ホコリタケ科)です。

オニフスベは、夏から秋に出現し、最初は白色で、後に成熟すると表面の皮がはがれて茶色になり、胞子を飛ばして通常は、地上から姿を消します。なぜ、4月までこんな形で残っていたのでしょうか。推論ですが、草刈がやりきれなかった場所で、鬱蒼とした草で保護され、風に吹かれ胞子を飛ばすこともなく、今日まで残ったと思われます。

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オニフスベに圧力を加えてみました。弾力があり、煙のような胞子が舞い上がりました。

真っ白い幼菌のオニフスベは、食用になるようですが、これは胞子を飛ばすことができずにじっと時を待っていたオニフスベの老菌でした。それにしても、真冬の風雨や雪に耐え、春まで良く頑張りましたね。

遅ればせながらも、周りに撒き散らした胞子が地上で菌糸をのばし、この地で子孫を増やして欲しいと密かに、今秋に思いを馳せました。


冬の美  ツチグリ

2013年12月28日 | きのこ

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ツチグリ(クチベニタケ科)

裏山の栗林の林内に、ツチグリが顔を出していました。外皮を星状に広げ、冬枯れの景色に花が咲いたようでした。

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近づいて見ると、内側の丸い袋の頂点には穴が空き、胞子を吹き出した後のものと思われます。

8つに裂けて外側に反り返った外皮の網目模様とその色合いの美しさに、しばし見とれました。

霜でうっすら化粧を施しているようですが、自然が作り出した造形美にほれぼれし、心がほっこりしました。

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周りに目をうつすと、ところどころに顔を出していました。

ツチグリの星型の外皮は、湿っているときは開き、乾くと閉じる性質があり、キノコの晴雨計 とか晴天の旅行者などと言われているようです。自ら移動することができないキノコが、天気の変化を利用して効率よく胞子を飛ばす知恵に感心します。


草地にハタケシメジが群生

2013年10月26日 | きのこ

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連日雨が降り続いており、農作業がはかどらない状況の中で、雨が止んだひと時を利用して、里地の情況を見て回りました。すると、草地の中に何やら茶色いものが顔を出していました。

近づいて見ると、キノコの群生でした。


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3日ほど前に、一度この場所を通っていたのですが、その時は気づきませんでした。草にうもれて見えなかったようで、この雨で一気に生長して顔を出したようです。

よく見ると、傘が開ききっていて波打ち、ところどころ白いヒダが覗いています。


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草をかき分けてみると、白くて長い柄をした思いのほかきれいなハタケシメジ(キシメジ科)でした。

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開きすぎてはいましたが、傘も柄もしっかりしていて、カゴいっぱいのハタケシメジが収穫できました。

このところ台風の影響で雨続きの毎日、ハセに掛けた稲も雨に濡れて脱穀できずに、籾が芽を出してしまうのではと心配していたところですが、長雨がもたらしてくれた自然の恵みかもしれません。

早速、ホイル焼き、鍋物、味噌汁に入れていただきました。野生のキノコにしてはクセがなく、シャキシャキとした歯ざわりで、なかなかの味わいです。「匂い松茸 味しめじ」と言われる所以ここにありの感でした。


秋の味覚 キヌガサタケ

2013年10月18日 | きのこ

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夏に大量発生したキヌガサタケは、一時姿を見せませんでしたが、秋風と共に再び顔を出しました。

早朝、犬のヤマトと散歩に出ると、裏の土手に真っ白なドレスをまとった人形が陽の光を浴びて自然を謳歌、その清楚な姿に心奪われました。


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夜明けとともに、幼菌が生長し、キノコになったばかりの美しい姿のキヌガサタケです。


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こちらは、グレバの網目模様がはっきりしていて、まだレースのドレスが開ききっていない生長過程のキヌガサタケです。


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これは、ドレスが伸びきっていないキヌガサタケですが、食するには良いタイミングで収穫(キヌガサタケは、幼菌が生長し、短時間でキノコになるために収穫タイミングが難しい)グレバは昆虫たちのために取り外し、白いドレスと柄は食卓へ、「キノコの女王」の味を満喫しました。

キヌガサタケの幼菌は、草に隠れていることが多く、草刈をしなければ草に埋もれて気づかずに見過ごしてしまいます。そこで、幼菌のそばには目印の杭を立てておくのですが、先日、その杭の下を見て驚きました。幼菌の全てが掘り起こされなくなっていました。これまでになかった出来事に、首をかしげましたが、爪痕から犯人はアナグマではないかと思います。これまでは、穴を掘ってミミズを食べるくらいでしたが、味をしめたのでしょう。キノコになる前の幼菌を食べられてしまったら、キヌガサタケの繁殖の機会が奪われてしまいます。

つむぎの家の里山は今、野生の生き物たちが、生息域を広げ里に下りてきています。先頃は、ネットで保護していたはずのソバがシカに食べられ、しばらく気づかずにいて全滅です。これまでの労が一瞬にして消えてしまいました。動物たちとの共存の道は?・・・最大の悩みです。


砂利を敷き詰めた庭にナラタケの群生

2013年10月09日 | きのこ

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雨上がりの朝、裏庭の砂利の中から、ナラタケが顔を出しました。

森の中の切り株や朽木、倒木に生えるナラタケに出会ったことはありますが、小石の中から出てきたナラタケは初めてです。しかも裏庭の1,5×4,0mの広範囲に渡っています。


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茶色に見えるところはナラタケの根元。

不思議に思い、ナラタケの生え際の砂利を掘り起こしてみました。すると縦横無尽に広がった黒い木の根のような菌糸束が出てきました。

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掘り起こした菌糸束。

5年前に整地をした時に、地中に埋まった埋木から発生したのだろうと安易に考えていましたが、それにしてもこの発生状況は半端ではありません。そこで

<ナラタケ>を検索してみると

<枯死植物や生木の寄生部分で生活する菌糸体はその部分だけで生活史を完了するのではなく、黒い木の根のような菌糸束を形成してこれを地中に伸ばし、離れたところに存在する枯れ木や生木に接触すると、これにも新たに菌糸を伸ばし、寄生する。>そうです。

ナラタケは、生きている植物に対する病原性も強く「ならたけ病」と呼ばれ、サクラやナラなどの木本、リンゴ、ナシ、モモ、クリなどの果樹にも発生が報告されているようです。

裏庭には、サクラの木や、リンゴの木、コナラなどが植えてあり、”秋の味覚のナラタケを裏庭で収穫”などと喜んではいられない問題をはらんでいることに気づかされました。