クルマユリ(ユリ科)
つむぎの家の裏山には、クルマユリが自生し、夏の訪れとともに、緑の中に灯がともったようにオレンジ色に輝き、暑さを忘れさせてくれていました。しかし、ここ数年、花を見ることはありませんでしたが、今年は久しぶりにクルマユリの花を愛でることができました。(クルマユリは高山植物と思っていましたが、三陸では標高の低いところにも咲いています。)
ユリ類は、ニホンシカの大好物で、クルマユリが新芽を出して伸びようとするや否や芽を摘んで食べてしまいます。芽を食べられると鱗茎は大きくならずに、いつしか消滅してしまいます。
今年は、整備した森にクルマユリの新芽を見つけ、すぐにシカの食害防止ネットをかけました。
シカ防止ネットの中で咲いたクルマユリ。
シカの好物のヤマユリも食害にあい、今では、断崖絶壁の険しい場所にしか見られなくなりました。里地でも根を下ろすヤマユリの一部は、球根を掘り起こして移植しましたが、クルマユリは、人為的に環境を変えることにはためらいを感じました。
クルマユリは、オレンジ色の小さな花ですが、反り返った花びらが力強く、植物界の王者ともいえる表情が大好きです。
今、里山では、シカの食害が日増しにひどくなり、自生するさまざまな植物たちの生息が脅かされ、彼らの悲痛な叫びが聞こえてくるようです。