大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

絶滅寸前のクルマユリ

2014年08月07日 | 草花

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クルマユリ(ユリ科)

つむぎの家の裏山には、クルマユリが自生し、夏の訪れとともに、緑の中に灯がともったようにオレンジ色に輝き、暑さを忘れさせてくれていました。しかし、ここ数年、花を見ることはありませんでしたが、今年は久しぶりにクルマユリの花を愛でることができました。(クルマユリは高山植物と思っていましたが、三陸では標高の低いところにも咲いています。)

ユリ類は、ニホンシカの大好物で、クルマユリが新芽を出して伸びようとするや否や芽を摘んで食べてしまいます。芽を食べられると鱗茎は大きくならずに、いつしか消滅してしまいます。

今年は、整備した森にクルマユリの新芽を見つけ、すぐにシカの食害防止ネットをかけました。

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シカ防止ネットの中で咲いたクルマユリ。

シカの好物のヤマユリも食害にあい、今では、断崖絶壁の険しい場所にしか見られなくなりました。里地でも根を下ろすヤマユリの一部は、球根を掘り起こして移植しましたが、クルマユリは、人為的に環境を変えることにはためらいを感じました。

クルマユリは、オレンジ色の小さな花ですが、反り返った花びらが力強く、植物界の王者ともいえる表情が大好きです。

今、里山では、シカの食害が日増しにひどくなり、自生するさまざまな植物たちの生息が脅かされ、彼らの悲痛な叫びが聞こえてくるようです。


里山の花  カタクリ

2014年04月16日 | 草花

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裏山のカタクリ(ユリ科)の花が満開を迎えました。

花びらを反らし、まるで踊り子のように華やかに舞い、虫たちを待ち受けています。


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斜面が好きなようで、崩れかけたガレ場に互いに支え合うように咲き誇っています。


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昨日まで蕾だったカタクリが、ぬけるような青空の下で一斉に花開きました。

花の中を覗くと、雌しべは雄しべよりも長く、自分の花粉が柱頭に付かない工夫や雄しべも3本ずつ2段構えで、蜜を求めてやって来た昆虫に、より広範囲に花粉を付けるつくりです。


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これは、株立ちしたアオダモの幹の間に開花したカタクリです。

僅かな土に根を下ろし、7年ほどの歳月を経て、ようやく花開したカタクリ、昨年は一輪でしたが今年は賑やかに2段構えで花をつけました。


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アオダモの幹に抱かれ、春爛漫と咲き誇るカタクリの花。

四年前の裏山は、ミヤコザサに覆われてカタクリの花を探すのが大変なほど荒廃した状況でしたが、1年、2年と継続して笹刈りや徐伐によって山も明るくなり、今年はどうにかカタクリの居場所が確保できました。

可憐に咲き誇るカタクリの花が、里山の自然は人の手を加え、常に管理していくことが大切であると教えてくれています。


ガガイモの種髪が始まりました

2013年11月25日 | 草花

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ガガイモ(ガガイモ科)

ヤマト(犬)の散歩コースのネットに絡まって、ガガイモが3個の実を結んでいました。種髪を楽しみにしていたところ、昨日、3個のうち2個の袋果の割れ目から絹毛が風になびいていました。

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北西の風にあおられ種髪が始まっていたのは、2個だけであとの1個は実が裂けたばかりのようでした。

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小舟のような形の実が縦に裂け、中から白銀の絹毛をまとった種が、今にも飛び出しそうです。

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拡大してみると、直径が5~6cm位のふわふわと円状に広がった美しい絹毛です。

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2個目の袋果は、今、種髪が始まったばかりで風になびく優美な姿を見せてくれました。

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袋果が割れたばかりの、ガガイモの中を覗いてみました。

扁平な楕円形をした翼のある種が、規則正しくぎっしりと詰まっていました。

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中の様子を写真に撮るために、割れ目をちょっと広げると種髪が飛び出してきました。旅立ちです。

絹毛のパラシュートをつけたガガイモは、風に身を任せてより高く、より遠くへと新天地を求めて旅立ちました。


冬木立に立つオオウバユリ

2013年11月12日 | 草花

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オオウバユリ(ユリ科)

冬枯れの景色の中に凛と立つオオウバユリの咲きがら。

横向きに咲いていた花は結実し、種がこぼれないように上に向きに姿を変えました。果実を数えると18個ありました。

花の時期は人の背丈ほどの高さでしたが、今では見上げるほどに伸びています。Photo_2

オオウバユリのさく果が開いて、裂け目から整然と並んだ種が顔を出しています。種の入った鞘は、風通しの良い格子状の作りで吹き上げる風に、より遠くへと種を運んでもらう仕掛けのようです。


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果実を上から覗くと、一つの実が三つに割れ、かつ一片が2室に分かれ、たくさんの種が詰まっていました。


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根を掘り起こしたオオウバユリ

今春、オオウバユリの鱗茎を掘り起こし試食した折、ヤマユリの鱗茎を思い出し、オオウバユリの秋の鱗茎はさぞかし大きく育っているだろうと思っていましたが、ヤマユリのような大きな鱗茎は見当たりません。でも元株の脇には小さな子株が育っていました。オオウバユリは、花をつけた後はたくさんの種を作り、その後枯れ、地上部だけではなく鱗茎も姿を消すそうです。

オオウバユリの子株は三年ぐらいで花を咲かせるようですが、種からの芽生えは、始めは一枚葉で一年を過ごし、2年目、3年目と葉を増やし、約8年を過ぎた頃に初めて花を咲かせるそうです。そして種を作り、子株を育て、その年に枯れて一生を終える典型的な「一回繁殖型多年草」ということを知りました。

植物もさまざまな生き残りの知恵を駆使しているのですね。


マルバフジバカマの異常繁殖

2013年10月08日 | 草花

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今、つむぎの家の裏山は、マルバフジバカマの白い花でいっぱいです。

マルバフジバカマは、北アメリカ原産の帰化植物で、昭和初期に箱根で見つかり、その後、各地に広がったようですが・・・。


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7年前に皆伐した山肌は、弧を描いてマルバフジバカマで埋め尽くされています。


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一昨年に、川の両側の雑木を切り、明るくした川べりも流れを隠すようにマルバフジバカマで覆われています。


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白く清楚な花ですが、開けた場所のいたるところに異常繁殖し、分布域を広げています。

旺盛な繁殖力で、自然度の高いところにも侵入し、一面を埋め尽くしている様はなんとも異様な風景です。ニホンジカに食べられることもなく、増え続けている現状では、在来の植物まで駆逐されてしまいそうです。そのうちに、自然淘汰される時期が来るのでしょうか??。