大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

ミヤマクワガタとアオカナブンの戦い

2013年07月31日 | 昆虫

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降り続いた雨のせいか、このところ毎日のように里山にキヌガサタケが顔を出しています。

昨日も様子を見に行くと倒れたキヌガサタケのグレバにさまざまな昆虫が集まり、食餌中でした。グレバの下の方にはアオカナブンもぶら下がっています。

一番いい場所を陣取っている大きな生きものは、マイマイカブリ?と、一瞬思いましたが近づいてよく見るとミヤマクワガタでした。

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ミヤマクワガタのオス

頭部の両側が耳のように張り出し、お腹は産毛のようなもので覆われ、体は茶色っぽく見えます。

昼間も活動するようです。


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しばらく観察していると、キヌガサタケの下からアオカナブンが這い上がって来て、ミヤマクワガタと鉢合わせになりました。


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すると、そこでミヤマクワガタとアオカナブンの戦いが始まりました。


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アオカナブンは、攻撃したり、身をひいたりと、正面からミヤマクワガタに立ち向かっています。

近くには、コクワガタもいましたが「われ関せず」と言わんばかりに平然と食餌を続けています。


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ミヤマクワガタが身を乗り出し、攻撃してきました。


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ついに、アオカナブンを角で抑え込みました。アオカナブンは、鋭い武器を持ったミヤマクワガタにはかなわなかったようです。この後、アオカナブンはグレバを食べるのをあきらめ、ここから立ち去っていきました。


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キヌガサタケの一等地を独占したミヤマクワガタ。

立派な角に、鎧をつけているような個性的姿は、やはり魅力的ですね。子どもたちが欲しがる一番の人気者です。

ようやくここ三陸にも、夏らしい暑さが戻ってきて、昨日はヒグラシの鳴き声が聞こえてきました。これから、つむぎの家の里山は一段とさまざまな生き物たちで賑わってくることでしょう。


軒先の「オニグモ」

2013年07月29日 | 生き物

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オニグモ(コガネグモ科)

昆虫の通り道に大きな円網をはり、獲物をジッと待っていて、夜になると活動するクモ。

写真は、糸にかかった蛾をクモ糸に絡めて体液を吸っているオニグモです。

ホタルを見に、薄暗い夜道を歩いていると裏庭の軒先に、いくつかの円網があり、頭上でもそもそと餌を食べていました。


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顔や足のトゲ、胴体の質感までくっきりと写っている姿は、どう見ても怖いですね。

つむぎの家に遊びに来る生きもの大好きな綾里っ子の中にも、「クモが好き」と言う子は一人もいません。

田んぼの中をスイスイ歩き回っているコモリグモやハシリグモが怖くて、足を田んぼに踏み入れられない子どもたちもいて、「クモは田んぼの益虫よ! かみついたり毒針で刺したりしないから大丈夫。」とその都度、説明していますが、なかなかクモを好きになれないようです。

このオニグモの表情を見ると嫌われるのも無理はないですね。


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朝には、オニグモの姿はなく、残された獲物の食べかすだけが網に付着して黒く見えています。

毎日のように降り続く雨のしずくが円網の形を浮き彫りにしてくれました。

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梅雨空を背景に、真珠を数珠つなぎにしたようなオニグモの芸術作品です。


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糸を自在に操って、規則正しく美しい形に網を張るオニグモ、どこでこの素晴らしい技を身に付けたのでしょうか? ”命をつなぐための生まれながらに備わった技”とはいえ、神秘を感じますね。

各地で、かつて経験したことのないどしゃ降りや長雨に悩まされているこの頃ですが、ここ三陸もホタルが飛びはじめたころから、からりと晴れた日はなく、これまで雨と低温に悩まされ続けていました。

でも、昨夜は久しぶりに星空を見ることが出来、ホタルもざっと300匹ほど数えられました。飛び交うホタルよりも草の茂みの中でオスとメスが交信しているホタルがほとんどですが、今年も無事にたくさんのヘイケボタルが里山に生息していることを確認できました。草地の中ではヘイケボタルの幼虫が淡い光を放っています(ホタルの光が観られるのは、夜の7:30~9:00ごろです)。まだしばらくの間、ホタルの舞を楽しむことができるでしょう。

夜行性のオニグモの活動、雨ならではの美しい円網。これは、ホタルの数調べに行く途中(自然保護協会の里山モニ1000でホタルをカウント)での道すがらの出会いです。


サンコウチョウ(三光鳥)に会えました

2013年07月27日 | 野鳥

「ツキ ヒ ・・・ ホイ ホイ ホイ 」と里山に響く鳥の声。

農作業の手を休め、耳を澄ますと「月 日 星 ホイ ホイ ホイ ホイ ホイ」と、サンコウチョウの鳴き声が聞こえました。最初に聞いたのは5月中旬の田植え時期、杉林の中で軽快にさえずっていました。それから、6月いっぱい、里地に隣接する森から聞こえるサンコウチョウの朗らかなさえずりを聞きながら繁忙期を過ごしてきました。その間、一目サンコウチョウの姿を見たいとさえずりを追って何度か双眼鏡でのぞいてみましたが、うす暗いスギ林の中、到底目にすることは叶わず、半ばあきらめていました。

7月に入り長雨が続く毎日、小雨降る中、久しぶりに沢沿いの林道を歩いて森に入りました。以前にマークしておいたクルマユリの花を期待しての散策です。ヤマユリ、オオウバユリ、クルマユリなどユリと名のつく植物のほとんどがシカに食べられていますので、不安に思いながら目的地に着くと、地上30㎝ほどの高さで無残に折られていました。当時、移植も考えたのですが、この場所を選んで芽を出したクルマユリを別の場所に移すよりはと、杉の葉でカモフラージュしておきましたが、残念な姿でした。

シカの食害に気を落としていると、頭上で連続テレビ小説「あまちゃん」の驚きの声「ジェジェ」「ジェジェ」と聞こえてきました。森の中でも「ジェ ジェ」がはやっている???。ふと見上げると、何とサンコウチョウのオスが地鳴きをしながらメスを追って枝から枝へと飛んでいるではありませんか。長い尾羽をふわふわなびかせ優雅に飛び交うサンコウチョウを目の当たりにし、胸が高鳴りました。とっさに手持ちのコンパクトデジカメでシャッターを切りましたが、”小雨る降るうす暗いスギ林の中”の最悪の環境で撮れたのは、シルエットのサンコウチョウですが、雰囲気を紹介します。

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サンコウチョウ(カササギヒタキ科)

5月頃に渡来し、日本で繁殖、秋には南方に渡る夏鳥。和名は、鳴き声が「月(ツキ) 日(ヒ) 星(ホシ)」と三つの光に聞こえるところからサンコウチョウ(三光鳥)と命名。

オスのサンコウチョウは尾羽が長く、全長45㎝ほどで、長い尾を優雅にかわし、森の中をふわりふわりと飛ぶさまはまるで妖精のようです。


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目の周りのコバルトブルーのリンクが、暗い中でも光っています。

青くて目立つアイリング、青みがかった嘴、紫がかった尾羽など美しい姿をアップできず残念ですが・・・。いつの日か、いい写真を撮りたいと思います。


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サンコウチョウのメス

オスのように長い尾羽はありませんが、薄暗い中でブルーのアイリングだけがどうにか写っています。


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今回、サンコウチョウに会えた場所は、うす暗い杉林の中です。林のヘリを小川が流れ、降り続いた雨で増水し、水音が雨音を掻き消しています。この森のどこかにサンコウチョウの巣があるのではと探しましたが、見つかりませんでした。もう卵から孵って巣立ったころでしょうか?

秋には越冬地へと旅立ち、翌春には再びこの地にやってくることでしょう。


キヌガサタケのパレード

2013年07月24日 | きのこ

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今夏は雨が少なく、川の水も枯れてしまうのではと心配していましたが、7月中頃からは低温と雨続きの毎日が続いています。

この雨で雑草が一段と勢いを増し、草刈が間に合わない状態でしたが、田の草取りが一段落しましたので、一昨日から少しずつ草刈りを始めました。

雨が幸いしたのか、長く伸びた笹交じりの雑草の下に、何とキヌガサタケの幼菌がたくさん顔を出していました。


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すでにキノコになっているものもあり、ドレス(マント)をまとった姿は、幼菌を従えて、まるでパレードをしているように見えます。

あたりを見回すと、並ぶ幼菌の数に驚きました。ざっと数えて30個はありました。まだ草刈りを始めたばかりで、草丈の伸びた茂みの中にも、ポツポツ見えています。


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このキヌガサタケは、生長したばかりで、ドレスも伸びて、ピンとたっていました。

雨が降るとグレバの色と悪臭がドレスに染みつき汚れてしまうので、グレバを取り除き、早速中華スープにしていただきました。

「とろ~り」としてコクのある旨味とシャキシャキした食感が何とも嬉しいキノコです。


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土手の草地では、白くて大きな幼菌が顔を出していました。直径7㎝ほどの球形で、キヌガサタケの幼菌の色合いや肌触りとは違い、表面がざらざらしており、まるで野球ボールのようです。何のキノコでしょうか?観察を続けてみたいと思います。

日本産キヌガサタケは、キヌガサタケとマクキヌガサタケ、そしてウスキキヌガサタケと3種あるようですが、つむぎの家のキヌガサタケはドレスがやや短めです。マクキヌガサタケにも似ず、どこに分類されるのか、同定の難しいキヌガサタケです。

今年は冷夏のため、稲の生長が遅れており、ホタルの発生や飛翔の数も例年より少ない?と心配していましたが、ホタルも徐々に飛びはじめてきており、そして、このようなキヌガサタケのパレードにも出くわすことができました。

連日、各地で不安定な気象が続いていますが、自然の恵みがもたらしてくれたキヌガサタケの発生にワクワクしているこの頃です。


変わった風貌をした ゾウムシ

2013年07月23日 | 昆虫

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オジロアシナガゾウムシ(ゾウムシ科)

大豆の葉に、全身がごつごつして硬いゾウムシ(口先が長くゾウの鼻に似る)が身動きをせずに葉にしがみついていました。長い前脚を持ったオジロアシナガゾウムシです。

体色は白と黒に色分けされジッとしている姿は一見、鳥の糞にも見えます。外敵から身をまもるために擬態しているそうです。


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カメラを向けるとポロリと下に落ち、長い前足も触角もすべてを折りたたんで死んだふりをしました。天敵から身をまもる巧みな技ですね。


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ヒメシロコブゾウムシ(ゾウムシ科)

ヤマウドの葉には、交尾したゾウムシがいました。

背中の中央が黒く白くごつごつしたヒメシロコブゾウムシです。体は小さいが、硬くて頑丈な外骨格に覆われ、敵から身をまもっています。


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目を移すと、同じヤマウドの葉裏に、メスをめぐって争う2匹のオスがいました。2匹のオスを支えるメスのヒメシロコブゾウムシ、葉から落ちるのではないかとハラハラしながらシャッターを切りました。

動きの鈍いゾウムシの世界にも、厳しい生存競争があるのですね。

石のように固い体を持ち、変わった風貌のゾウムシ、不思議な生き物ですね。