浜野巌治


博多湾の浜辺に住む頑固ジジイです。

ハマユウ王子

2016年06月07日 | 日記

海を埋め立て、人間が造った陸地にも植物は育つ。

埋立地の造成地にできた団地におそるオソル引っ越してきたのは20年むかし、そのころ、人工海浜の周囲にも
松などがわずかに植えられていた。大学生のまごが生まれてまもないころだった。

いま、海岸を歩くとみどりの松が勢いよく伸びる姿が目に入る。

33階の高層マンションに負けまいと、背を伸ばしているのではあるまいが、その樹勢は素晴らしい。

この松は、私が越してきて数年後、博多虹松原の会の手で植林された。高さ50センチほどの小さかった
松が今では5,6m~10mの高さにまで成長した。マゴの背をいつのまにか、あっという間に追い越した。

この松林の近く、それこそ白い砂浜が広がる人工海浜の中にポツンと一カ所、グリーンが輝いていた。
ハマユウの株だった。

自然に育ったハマユウだろうか?イヤ、一本の株ではなく、10株ほどの集団になっているから、これは
人間の意思で、人が種を植えて育ったものだろう?などと、楽しい想像をめぐらしたものだった。
私は、拾ってきたハマユウをひそかに植えた。偶然、お知り合いになったハマユウ姫のお友だちと
ある日、ハマユウの種を植えた。 

翌年の春先、ハマユウは小さな緑の芽をふいた。一株だけあったハマユウのそばにも小さな芽が出て
賑やかになった。
私がひそかに植えたのは看板の柱のそばだった。一年二年、三年たち、ハマユウの小さな芽は若者の
ように逞しくなっていた・・・

ある日、そのハマユウたちは鉄のツメで無残にも切り取られてしまった。梅雨明けに純白の花が開き、
ほのかな香りを漂わせ、ウオーキングやランニングを楽しむ人たちに夏が来たことを知らせたのに・・・
残酷と言おうか無残な仕打ちといおうか!

去年の暮れから今年春にかけての寒さは異常というほど厳しかった。
浜辺や近隣のハマユウたちもおおかた寒さにやられた。
緑の葉は萎え、枯れた。しかし、ハマユウは強い。春が来たら緑の葉を一斉に伸ばし始めた。

私がかつて植えた一本のハマユウの株は見事に立ち上がった。おお友よ!

花が開くまでまだ数年はかかる。しかし、きっと花を咲かせてくれるに違いないと思う。

団地のまわりを歩くと、ハマユウが元気に育つ光景を目にするようになった。
きっと、ハマユウを愛するハマユウ王子が大事に育んでいらっしゃるのだと確信する。

下の写真はハマユウ王子さんが育てているハマユウの株。
植え込みが北風を防いでいるため、ハマユウはこの冬も無事に乗り越えたと思われる。