人の手で作った砂浜。
乾燥と強風、そして灼熱の砂漠のような砂浜。海水が来ない砂浜には、わずかに雑草が生える。その中に冬を耐えた小さな緑が見える。
ハマユウ・・・誰かが植えたもの。おそらく3,4年前に植えられたものと思われる。
ただ一本、寒風に痛めつけられながらも、がんばっている。いや、近くには仲間もいる。
砂浜の間に一列に並ぶミドリの行列を見れば、誰かが植えたものであろうということはみんな理解していただけると思う。
三粒の種が植えられ、三株の若芽が出ている。
種を産む親株はこの大株。毎年、真っ白の花を咲かせ、たくさんの実をつける。
寒さのため、葉はぼろぼろになっているが、樹齢20年?まもなく濃緑の大きな葉を広げる。
花が咲き、実がなり、やがて地面にこぼれ落ちる。
この実をあちこちに植えたのは、私は“ハマユウ姫”だと推測している。誰にも知られないように種はそっとまかれ、いつか小さな芽が出てくる。
雑草と間違われ刈りとられ、炎熱に焦がされ、姿を消すハマユウは多いが、どこかで少しずつ仲間は増え続けている。