HITOMIのおくに(ちょこっと日記)

瞳にうつる たくさんのもの・・・日々を(出来れば面白く)書きたい、ちょこっと日記です。

廻った経験

2022年04月12日 | 結婚生活 外伝

ワタシの父は、幼い頃から厳しかった。
自分の言いたいことを言えば「生意気なことを言うな」と強く言われ
反抗したりすれば「その目はなんだ」と、手が飛んできた。
反論すれば、引きずられ屋外の物置小屋に閉じ込められた。

今では【虐待】にあたる。

そのせいか、他人との距離を取るのが下手で、
自分の意見や気持ちを、うまく伝えることが出来ず
人の顔色ばかりうかがう「大人しい子供」として、見られていたのです。

そんな自分が、小学校4年の時の担任教師に、救われた。

母が言うには

「お父様かお母さま、どちらかが2番目の方ですか?」
と、問われたらしい。
「お嬢さんは、そんな環境に置かれている育ち方です」
と。

これには両親とも堪えたらしく、それからは手をあげることも
罵倒されることも、減っていきましたね。

減っただけで、無くなったわけではない。

父の虫の居所が悪ければ、酒を飲んで酔っていれば
ストッパーが外れ、手が飛んでこなくとも、言葉の弾丸が飛んでくる。
だから、いつも父の顔色で判断し、酔っているときは極力近寄らず
遠くで静かに息をひそめている、子供時代だった。
今でも、鮮明に覚えている。

ある日、すぐ下の妹の言動に、父が激高した。
当時の父は、自分が正しいと信じて疑うことを知らず
子供の正論は腹立たしく思い、全否定する。
父は、傍にあった少年ジャンプで、妹の頭を叩いた。

ワタシの気持ちは、飛んで行って妹をかばっていた。
しかし、体はこわばっていうことを聞かなかった。

怖かった。

ただ、怖くて、動けなかった。

「なんだ、その目は!!」と、更にもう一発、妹に飛んだ。

そこへ、大好きだった祖母が割って入った。

父は、きまりが悪そうに、部屋を出て行った。

祖母の顔を見て、妹は、声をあげて泣き始めた。


優しい祖母は、温かい祖母は、その時言った。

「あんたは、お姉ちゃんでしょう!なぜ、止めなかったの!」

・・・・・言葉が、出なかった。
茫然とするしかなかった。

妹をかばいたかった。
でも、ワタシも怖かった。

ワタシも、泣きたかった。

祖母も、妹も、好きだ。
だけど、なんだか自分の中で、距離が出来てしまった。

泣くことも、忘れた。

泣いたって、何も変わるわけじゃない。
別に、自分を出さなくてもいいじゃない。
「明るくて、強いワタシ」を演じれば、いいじゃない。

そんな過去を抱えて、ワタシは生きてきた。

そんなワタシに、子育てが出来るのだろうかと、不安もあった。
でも、子供は可愛くて仕方なかった。
でも、幼い時の記憶が、その気持ちを邪魔することもあった。

子供たちに一番申し訳なかったのは、
幼い頃のワタシがそうだったように、顔色を見る経験をさせてしまったことだ。
こういうことは、巡り廻るものなのだろうか。

たったひとつ、確実に実行したことがあった。
「お姉ちゃんなんだから」という呪縛をかけないこと。
これだけは、外せなかった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« なぜ住所がバレたのか | トップ | 自力電池交換 »

コメントを投稿