一緒に仕事をしていて、この年配女性はくせの強い人だと思った。
今も一緒に働いているが、ワタシとは生きてきた世界が異なる人だった。
そのうち、中途採用の社員は会社を休職し、半年後辞めていった。
この年配女性が、他の社員に話していることを聞いてしまった。
「経験者だっていうのに、仕事が出来ないからしつこくきいてやった。
自分で考えるんじゃなくて、仕事を与えられてただけだった。
なにが経験者だよ(笑)」
ああ、一種の苛めじゃないか。
こういう人がいるから、後進が育たないのか。
多くの原因は、恐らくこの人だ。
確かに、中途採用の社員は、少し感覚的に違うところがあった。
自分のしやすいように、ルールを無視して仕事をしてしまうし
それを指摘しても「私には出来ないから仕方ない」と言ってのけてしまう。
でも、教えられたことはきっちりとやっていたし
繰り返しすることは、忘れることなくやっていた。
ワタシの方が、ところどころ忘れてしまうことがあったくらいだ。
その社員は、やる気はあるけれど、上手く当てはまることが出来ず、
おまけに、なぜか人の神経を逆なでしてしまうというところがあり
ほかの人から手を離されてしまう、という結果になっていた。
そんな状況の中、ワタシの中で、変な責任感と対抗意識が働き始めた。
生きていくためには働いて、金銭を得なければならない
自分は当時、派遣社員としての給料が思ったより多く感じて
満足していた。
今思えば、まったく多くはない。
一年後、契約社員の打診があり、その通りになったが
社会的には、底辺の給与だ。
そして、それでも働き口があることを幸いとする年配者が、多くしがみついている。
そして、そんなベテランを重宝がる会社。
ベテランは、長年勤めてきた自尊心があり、
定年を迎えて立場が時給制に変わろうとも、
その自尊心が立ちはだかり、育とうとする若い芽を摘んでしまう。
そんな職場は、派遣法改正により、一斉に正社員化を実行。
ますます、年配社員が勤めやすい環境になり、高齢化が予測される。
運悪く、契約社員のまま定年を迎えた人たちは、時給制となり
格上げされた正社員への風当たりを強くする。
だけど。
立場ではワタシも同じだ。
生きていくために、働かなければならない。
ワタシのその気持ちだけが、年配者たちを受け入れる。
割り切り。
社会ではそれが必要なことも、覚えた。