HITOMIのおくに(ちょこっと日記)

瞳にうつる たくさんのもの・・・日々を(出来れば面白く)書きたい、ちょこっと日記です。

離婚成立。

2022年03月18日 | 結婚生活

転送されてきた相手方の弁護士からの文書には、
その女性とは性的関係はないが、女性側に迷惑をかけたくないので
慰謝料としてではなく、解決金として支払いたい、とあった。

それも、不貞離婚慰謝料としての一般的請求額の、満額だった。

なんとなく、相手方の弁護士の文章からは、
もう手に負えないし賛同したくないので、ここら辺りで折り合いつけて解決したい
という雰囲気を読み取ったのは、ワタシの都合よさなのだろうか(苦笑)

ちょうどその頃、娘たちが夫のFacebookアカウントを見つけた。
どうやら、ワタシが家を出てから作成したとみられ、
SNSに疎い夫が、わざわざ作ったということに、目的を感じてしまってドン引きだった。

夫が付き合っていた若い女性も、SNSアカウントを持っていて
関係が分かった時点で、ネットに強い娘がある程度、彼女の出身校や交友関係など、
押さえていたのだった。
家を出る前、娘がなんとなくテレビ番組にかこつけて、
夫の前で匂わせていたのだけれど、夫は全くと言っていいほど
自分のことだとは思っていなかった様子だった。

その夫のアカウントに、ある写真があった。

愛犬と同犬種の写真があった。

その写真を見て、嫌な予感がした。
その犬の、これからの人生ならぬ、犬生と
なんとなく、第六感的な、ものだった。

今までの、夫側との平行線の、不毛なやり取りはなんだったのかと思うくらい
その後は加速度的に話が進んだ。

こちらの条件をすべて飲む形で、解決へと向かった。

1.愛犬はそちらに渡してもいい。動物保険の契約者変更にはすみやかに対応する。
2.離婚には応じます。記入した離婚届を、弁護士宛に送ります。
3.解決金を支払います。ですが、一度には無理なので、一部分割払いでお願いします。

ということで、落ち着いた。

1.の契約者変更にあたり、保険会社に概要を伝えたところ
事情が事情なので、特別に、契約者の承諾なく手続きをさせてもらいますということだった。
2.については、1ヶ月ほど過ぎたころに、弁護士からのお手紙として送られてきた。
3.については、ないところからは取れないので、誠意として受け取った。

弁護士からは、報酬として、一括して受け取った現金分からいただきます、ということで
本当に良心的にしていただいた。

(後にわかったのだけれど、ワタシが相談していた時、弁護士の彼女は結婚していた。幸せの絶頂期に、このような暗い話をお願いしてしまって、申し訳なかったと思う……いくら仕事とはいえ)

夫から受け取った『解決金』で、三女の居住費を払えた。
これが、ずいぶん助かった。

そして、離婚届をもって、自宅近くの役所へ行った。
(勤務先から帰宅する途中にあるので)
離婚成立まで、一年、かかった。

提出した日は、大好きだった実祖母の誕生日だった。

(終)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平行線からの逆転アッパーパンチ

2022年03月15日 | 結婚生活

ワタシが出て行った理由も聞こうとせず、ただ愛犬を返してほしいというのか。
やはり、家を出て正解だったのかもしれない。

飼い犬に関しては、正直連れて出るか迷っていた。
しかし、三女の懇願もあり、冷静に考えてみても、
犬も夫の傍にいるよりは、連れて出た方が幸せだという結論に至ったのだった。
夫は気まぐれで犬を購入したが、トイレの躾から何から何まで、ワタシの仕事になった。
前回の犬で覚悟はしていたけれど、まったく一緒だった。
そして、夫は犬と遊びたい時だけ、遊びや散歩をし、
それ以外は、散歩も餌やりも水替えもトイレ掃除も、一切しなかった。

そんなことを考えたとき、やはり犬をちゃんとした「命」であるとみることが出来る
人間と一緒にいた方が、犬のためにもいいと思ったのだった。

弁護士には、はっきりと
「犬は返せません。ちゃんと世話をしてこなかった人に、今後出来るとは思えないから」と伝えた。

というのも、家を出るきっかけとなった猫が、突然亡くなってしまったのだ。
突然体調を崩し、病院に駆け込んだものの、
手に負えない状態だから大きな病院に行ってくれと言われ、
緊急手術を選んだが、翌朝亡くなってしまった。
先天的に肝臓が機能しておらず、開けてみたもののどうすることもできなくて
閉じるしかなかったと、目に涙を溜めた獣医師は言った。
悲しみの真ん中で、命は渡せないと、改めて思った。

お金を払わないことに関しては、やはり弁護士の方が反応が大きかった。
(相手側から、〇〇銀行の夫の口座から、〇〇万円引き出されているから返すように、などと来ていたが、ワタシが夫の口座に子供の学費を貯めていたものであるので、学費・留学費用の振り込み証明をすべてつけて、納得させた)

子供とのコミュニケーションを邪魔しないでほしい、に関しては
ワタシは子供たちに、一切コンタクトを取ることを禁止しているわけでもなく、
両親のことは気にせず、子供として好きに行動してほしいと言っている、と伝えていた。
(しかし、これは今後3回ほど言われてきて、フチぎれそうになった・苦笑)

のちに気付いたのだが、夫側の家族は、子供が親にお伺いを立てるのが当たり前だった。
そのため、「お父さん、一人で不便じゃない?大丈夫?」と子供の方から言ってくるものだ、
と思っていた節がある。
その都度、「何も禁止しておりません。ご自由に連絡を取ってください」と
同じような返答を繰り返した。

 

こちら側の弁護士が、「相手側の弁護士さんは、どんな風に頼まれたのでしょうね?」と聞いてきたことがあった。
『以前勤務していた職場の同僚に紹介してもらったのだと思います』と返したのだが、弁護士さんは何か感じることがあったのだろう。
相手側の弁護士さんの名前で検索してみると、ワタシの想像は当たっていた。

そしてそこに書かれていたのは、得意分野は企業法務ということだった(苦笑)

 

数回のやり取りを経て、状況があまり変わらないことがあり、
弁護士さんと3回目の面談をした。
その場でパソコンを開いて、作っている文章を見せてくれた。
やはり、これでは弱い。そう思った。

「では、あれを出しますか。」

というのは、女性関係のことだ。
ワタシは契約した時に、すべての証拠書類を提出していた。
弁護士さんは、状況まで出すことを提案したけれど、
ワタシは、まず相手方の名前だけ出しましょうと言った。

その場で、文章に文言を付け加え、その文書を夫側の弁護士に出すことで合意。

“では、慰謝料として〇〇円を、●●●●さんに請求させていただきます。”

数日後、弁護士さんからの連絡には

いきなり相手方の態度が変わりました。

とあった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

はじめの一歩。

2022年03月12日 | 結婚生活

弁護士には、とにかく離婚一択で、お願いしたいと言った。
しかし、弁護士に頼むには費用が必要。
今では「法テラス」という方法もある。
どちらを使った方が良いのか、弁護士に聞いたところ
「法テラスを利用するには、審査が必要です。
 そして、どちらも着手金が要ります。私は〇〇円で請け負いますが
 法テラスを利用した場合、それより若干高くなる可能性もあります。
 どちらを選ぶかは自由です。着手金に関しては、分割もお受けします」

ざっと経緯をお話しして、考える時間をもらった。
でも、心はもう決まっていた。

数日後、彼女にお願いすることにしたので、契約をしに弁護士事務所へ行った。
弁護士事務所に足を運んだのは、このたった2回。
弁護士の彼女に会ったのも、3回だけだった。
あとは、メールでのやり取りになった。
仕事をしていると、このやり取りがとても簡単で、良かった。
ただ、文章のみでは細かなニュアンスが伝わりにくいこともある。
そこは、丁寧に細かく書かねばならない。

契約の場で、こちらの要望を伝えた。
最初は金銭をもらうことは考えてなかったが、やはり今の状況では
もらっておいた方がいいと、勧められた。
(そりゃそうだ、成功報酬をもらわねばもうけにならないから・苦笑)

具体的な金額を決め、ことはスタート。
ワタシは、弁護士からの連絡を待つことになった。

別居をした場合、【婚姻費用】というものが請求できる。
でも、ワタシの場合、夫は無職のため請求できない。
弁護士は、生活するためにはお金が必要だから、給与はちゃんと出てるでしょう、と言うが、
法的に請求するには、ちゃんと給与が支払われている事実がないと、これは無理。
無職は「婚姻を継続しがたい重大な事由」にはなりうるかもしれないけれど、
婚姻費用請求は、無理だった。

そして、離婚による年金の分割、というものもあるけれど
うちは個人で国民年金加入なので、分割も無理。

ワタシが弁護士に離婚原因として主に伝えたのは、暴力の件。
だけれど、夫側が立てた弁護士からの連絡文は、どうにもこうにもピントがずれていて、
こちらの弁護士もワタシも首をひねるばかりだった(苦笑)

だって。

まず最初にワタシに伝えてきたのは

連れて行った愛犬を戻してください

ということだった。そして、

 

お金は一切払いません

子供たちとのやり取りを、妨げないでください

 

・・・・開いた口が塞がらなかった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

転居と支援措置と介入。

2022年03月09日 | 結婚生活

夫は、なんの感情もない声で、話してきた。
こちらを心配することはなく、娘のことを気にすることもなく
ただ、ワタシの持ち出したものを戻せ、と言ってきた。

ただ、それだけだった。

電話を取ってしまった事は、長女に不用意だと叱られた。

それ以来、夫からの電話には、出なかった。

そんな状況もあって、支援措置の手続きを早くしなければ、と思い始めた。
それには、居住地の役所に届けねばならない。
まだ、転入手続きをしていないので、恐る恐る自宅近くの役所に出かけた。

窓口で相談すると、恐らく、並んでいる人の待ち時間を延ばすことになると思い、
フロアにいる職員さんに、声をかけた。
そうしたら、奥から責任者と思われる人が出てきて、
個別ブースに案内された。

「ご事情がご事情なので、こちらとしても出来得る限りのことを、考えてさせてもらいます。
 住民票の移動ですが、いきなり移動してしまうと、転出先の市町村が記載されてしまうので、
 一旦、分籍届けを出して、そののち住民票の移動をします。
 そうすれば住民票を取っただけでは、転出先はわかりません。
 ただ、住民票や戸籍をたどられてしまうと、新住所もわかってしまうので、
 転出先の役所で『DV等支援措置』の申し込みをして、閲覧制限をかけてください。
 もちろん、相手側に弁護士などが付いたときは、閲覧できてしまいますが、
 弁護士でしたら悪徳でない限り、悪いことはしないと思います。」
と、丁寧に、親身になって説明をして下さった。
そして、その通り手続きを済ませた。
(いまさらながら、感謝申し上げます)

このDV等支援措置を申し込むには、然るべきところの証明が必要で
助けていただいた警察署に、記入をお願いした。
この支援措置の期限は、一年。
その間に、うまくおさまればいいと思った。


証明書をもって、転居先の役所へ。
窓口の人は、とても親切で丁寧で、どちらの役所も有難かった。
支援措置の手続きは終了し、次は年金事務所で手続きをした。
三女の手続きは、この状態では出来ないとの説明で
両親の今後が決まってからということになり、
とりあえずは、三女の年金に関するお手紙などは
新しい住所に来るようにしてくれた。

一通りの手続きは、終わった。


次は、自分たち夫婦の今後だ。
ワタシの気持ちは決まっているが、夫はどう出るのかわからない。

あの調子では、まともに話し合えるはずもない。

夫はプライドが高いから、ワタシの要求など受け入れないだろう。

これはやはり、第三者に入ってもらうしかなかろう。
そう思って、ネットで検索し、ある事務所に相談に行った。
とても大きなビルに入る、これまた大きな事務所で
相談に乗ってくれたのは、西日本を統括している弁護士だった。
スーツ姿でなかったのが、緊張を和らげてくれたけれど。
一連の話をしてみたところ、弁護士は離婚うんぬんより
夫の経営能力を気にかけた。

「会社をひとつたたむにも、相当のお金が必要なんですよ」
そう説明してくれたけれど、渡された着手金や成功報酬の割合に驚いた。
そんなこともあり、パート先の先輩に相談した。

「弁護士になりたてだけど、優秀な子がいるよ」
と、パート先のバイト卒業生を紹介してもらった。

相談するために行った弁護士事務所で、彼女に会った。
とても小柄で可愛らしい人であった。
経験の有無などを考える余裕もなかった。
彼女の落ち着いた聡明さに、信頼を感じた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自由と生活と。

2022年03月06日 | 結婚生活

時間も、夫の顔色も、家事も、気にしなくて良くなった。
とてもとても、一日が24時間であると思えないほど、
時間の経過がゆっくりと感じた。

ただ、娘には不自由をかけたくなくて、生活環境を十分に保ったため
思いがけず、費用が掛かってしまった。
そのため、二女が就職してからは、それぞれが同金額を家に入れることにし
三女の学費と居住費を貯めながら捻出することにした。

今思えば、とても金銭的には無理な行動だった。
自分たちが生活していく資金と、三女の学費生活費もかかっていたのだから。
それでも、精神衛生的に考えると、これしかなかった。

家を出てから一週間が過ぎ、気持ちも落ち着いてきた。
当事者ではない長女も、転居してからはノビノビとしているように見えた。
ただ、引っ越し荷物を作る充分な時間を与えられなかったことと
こちらの確認不足で、行方不明になった荷物が数個あったことが、申し訳なかった。

長女は、猫との生活が手に入れられただけでうれしい、と言ってくれた。


ただ、生活が始まると、不都合な部分も出てくる。

まずは、健康保険証だ。
たまたま切り替えの時期に差し掛かっていて、無保険では心もとない。
とはいえ、住民票も移動していない。
相談するために、転居先の役所へ出かけた。

ワタシの話を聞いて、証明書があれば発行してくれるということで
お世話になった女性センターに出向き、証明書を発行してもらった。
それを役所に渡すと、程なくして、人数分の健康保険証と払込書が郵送されてきた。
〔住民票のある役所で発行された新しい健康保険証は、そののち元夫との書類のやり取り(局留め利用・弁護士に頼む前)でもらったが、使用することはなかった。それを使用すれば、定期的に届く使用明細に病院名が記載されてしまうから。後に二重払いになっていた保険料は戻ってきたと聞いた〕

そして、愛犬も連れてきたため、動物保険の変更も必要だった。
契約者は夫であるため、契約者変更には本人の同意が必要。(←無理)
払い込みは、夫名義の口座引き落とし。
これはそのままにしておくと、後々火種になると思い、
契約者変更はしないまま、住所と払込方法変更をすることにした。
(これは、稚拙であった。後ほど、説明する)

しばらく生活をしてみると、とてもではないがパートひとつでは、金銭的に厳しくなった。
そこで、ダブルワークに変更した。
パート、というと隙間時間や都合よく働ける時間、と思うけれど
自分の都合だけではなく、雇う側の都合にも合わせさせられる。
ダブルワークを始めて2ヶ月ほど過ぎたころ、
「これだけ働いて、この収入なのか」と、思った。

丁度その頃、ふいに掛かってきた電話に、出てしまった。

 

夫からだった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

決行の日

2022年02月27日 | 結婚生活

突然その日は訪れた。

 

私は長女が休みの日にしようと、思っていた。
しかし、その数日前、夫が仕事に行くと家を空けた日、
二女が「今日しかない!」と言った。
ワタシは戸惑った。
きっと二女は限界に近づいているのだろう、と思った。

長女には申し訳なかったが、決行することにした。
長女は半休を取り、とりあえずの荷物を作り、
ワタシはレンタカーを借りに行き、荷物を詰め込み始めた。

あの女性刑事さんにも連絡をした。
そうしたところ、なんと、15,6人もの警察関係者が集合し、
なんとも物々しい状況に。
これでは動くことすらしづらいと、三人を残して去っていった。

レンタカーが軽自動車のバンだったので、2回ほどで済むだろうた思っていたところ、
刑事さんが危険と判断して、警察のバンも出してくれた。

とてもあたふたとした、決別だった。

新居への荷物の搬入も、刑事さん二人が手伝ってくれた。
夏の暑い日に汗だくになりながら。
公的機関の人なので、お礼などは受け取ってくれないから、
冷えたペットボトル飲料を、渡すだけになってしまった。
本当に、刑事さんたちには感謝している。
とても心強かった。

とても凄惨な事件が続いていたから、威信をかけての行動だったのだろうと思う。
その日から、パートもしばらく休んだ。
携帯電話の電源も、3日は入れなかった。
ただただ、恐怖と安堵が、交互に襲ってきていた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

降臨

2022年02月22日 | 結婚生活

 

そんな時、立て続けにニュースになったのが、DVによる殺人事件。
夫のDVから逃れ隠れた妻を、探偵を使って見つけ出し殺害した夫。
同じく、逃げた引っ越し先を、公的機関が誤って夫に伝え、同じような結末を迎えた事件。

あれ以来、手は上げられてないけれど、夫の目の奥に見える、なにか違った『色』が気になっていた。

先だって偶然買っていた、モラルハラスメントの本でも、当てはまることが多すぎて

《このままでは自分も壊れてしまうかもしれない》
《自分の人生がこのままで良いのか》
《どの方法を取れば、自分も子供も守れるだろうか》
そんな問いを、日々続けていた。


そんなある日、フッと何かが下りてきた気がした。
何か、と言われても言い表せないが、唐突に行動を起こさないといけない、と感じたのだ。

≪外堀を埋める≫ではないけれど、とにかく自分が家を出やすいように
突き詰められても、ちゃんと言葉と行動で表せるよう

ひとつずつ、組み立てて行くようにしなければ、と思ったのだ。

一番、今頼りたいところ。

夫が手を出せないところ。

 

警察だ。

 

その時は不思議と、派出所に入りにくさや違和感はなかった。
遠慮がちに入ったとき、道を訊ねているお婆さんがいて
一人の警察官が対応していた。

もう一人の警察官が優しく「どうしました?」と聞いてくれたので

『夫から暴力を受けました』

と言ったところ、顔つきが変わった。

「保護を希望しますか?」
『いいえ、いずれ家を出るつもりでいます』
そう答えると、本署に話を繋ぐということになり
パトカーの後部座席に乗って、本署まで行った。

対応してくれたのは女性刑事で、書類を書き写真を撮られ
暴力を受けたときの状況を、詳しく聞かれた。
そして、必ず守るからと、決行の日が決まったら連絡してくださいと、電話番号を渡された。
そして、接近禁止してもらえるように裁判所に行ってきてくださいとも。

まだ、引っ越しは決まってなかったけれど、私の状態を見ていた長女が背中を押してくれた。

「私が契約者になるから。家賃も払うから。一緒に家を出よう」

 

そして、不動産屋へ行き、前回見せてもらった部屋を所望した。
あいにく、残り一部屋になっていたので、そこに決めることにして、
保証人を立て、諸々のお金を払い、無事に契約を済ませた。

家電を揃え、光熱の契約をし、少しずつ荷物を宅配便で送り、
日を見計らって家を整えに行き
その合間に、裁判所へも出掛けた。


接近禁止というのはわりと強い措置らしく、段階を踏まえた方がよいと
裁判所の方のアドバイスを受けて、女性センターなるものを紹介していただいた。

女性センターでも、今までのことを詳しく話し、
特に何をしてくれるでもないのだけど、
相談に行ったという事実は残り、あとで手続きをするときに効力を発揮してくれるのだった。

その間二女は、まだ何も揃っていない部屋に通うようになり、
精神的に落ち着いてきたようだった。

 

あとは決行するのみとなった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見えた真実

2022年02月17日 | 結婚生活

三女が大学を卒業するまでは…と思っていたが、二女の精神状態も不安定になり、

自分の気持ちを考えても、早めた方が良いのではないかと、思うようになった。

そこで、少し暴走気味に二女と、不動産屋に出かけた。
今では不動産アプリも充実しているけれど、当時は自分も古かったためか
とにもかくにも不動産屋、という気持ちだった。

実際に、不動産屋で条件を伝えてみると、なんとペット可の物件が少ないのだろうと感じた。
犬はまだしも、猫となると、ほぼ皆無に近い。
その中で、猫も飼えるという物件を紹介してもらい
(その時点では、飼うのか譲渡するのか決めてはいなかったのだけど)
実際に、見学にも行った。

駅からは距離があったけれど、家賃も広さも申し分なく、二女も気に入った様子だった。

しかし、だからと言って即決するわけにもいかず、時間をもらうことにした。

だって、ワタシは専業主婦で無職だ。
家賃を保証できる立場ではない。
そして、三女の学費はどう捻出するのか。
彼女には学生生活が二年半も残っている。
自分の手元にあるお金は、ほぼ尽きかけている。

ずっと、夫に訴えかけている、祖母の貯金の残金のことも、そのままだ。

どうする?
どうすれば?

すぐに答えが出ないまま、時間だけが無情に過ぎていく。
二女は一度就職を決めたものの、釈然としない気持ちを抱えていたから
その就職先が願ったものなのかと、問いかけたところ、
ようやく、自分が納得できる道を見つけ、再度就職活動を始めたばかり。

そんな状況で、どうするのが一番良いのか、ワタシも悩んだ。

そんなある日。
ワタシのパートが休みで、夫が仕事へ行った日。
何かに誘われるように、夫の城へと向かった。
いつも車を出すときのように、入った。

特に目的があったわけではなく、本当に不思議と手を伸ばした場所に
偶然にもアルモノがあった。
なぜ夫の資金が減ってしまったのか。
その、理由となるものが、そこにはあった。

綺麗な若い女性との写真。
行ったお店で、誕生日を祝っている写真。
『いつまでもお幸せに!』と、スタッフからのメッセージ付きで。
あんなに苦手だったカラオケで、彼女と笑っている写真。
そして、ホテルのカードが数枚。
ワタシが行きたかった、ライブのチケット。
そこには、その彼女の名前があった。

ライブの日は、年末に夫が行った、三度の忘年会の日だった。
そして、通帳の残金は、1/4になっていた。

今思えば、結婚してからずっと、怪しい雰囲気はあった。
ワタシが、怖くて、見て見ぬふりをしていただけだ。


不思議と、心は凪いでいた。
ストン、と引っ掛かっていたものが、落ちた気がした。

夫の老後は、彼女に任せればいい。

ワタシは、冷静に、すべてを写真に収めた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

決定打

2022年02月10日 | 結婚生活

 

ある日の夜。

珍しく夫が早くに寝室へ入った。
そのあと程なくして、子猫がダイナミックに遊び始めた。
ワタシと二女は、階下でその音を聞き、これはマズイと思った瞬間
夫の怒声が響き渡った。

「このくそ猫!待たんかい!!」
と、追いかける夫の足音が聞こえた。

急いで駆け付けるワタシと二女。
上気した顔の夫が、言い放つ。

「こんな猫、二階から放り投げてやる!!」
猫は簡単には捕まらないほど、俊敏だ。
頭では理解していても、そんなむごい目に遭わせるわけにはいかない。
夫を体で止め、落ち着くように言葉をかけた。

ワタシと夫とのやり取りの中での矛盾を、その場にいた二女は、指摘した。
正論を唱える二女。
しかし、夫はそれを嫌っている。

その瞬間、夫の手が上がった。

すかさず、ワタシは割って入り、夫の手を掴んだ。

間一髪。

ワタシの行動に我に返った夫は、ワタシと二人で話し合いをすると言って、
二女に階下に降りるように言った。
「お母さんに手をあげないと約束するなら、下りる」
という二女の提案に頷いた、夫。

二女の足音を確認してから、隣に座れと言う夫。
夫の前を横切った瞬間、ワタシの横腹に夫の平手打ちが飛んだ。
この時ばかりは、間髪入れず、座っている夫の肩を叩き返した。
後にも先にも、反射的に返したのはこの時は初めてではなかったか。

この時は、アドレナリンが出ていたのだろう。

努めて冷静さを装い、話をしたように思う。

話し合いを終え、階段を降りると、二女がいた。

「怖くて、お母さんがひどい目に遭うといけないと思って、ずっと動画を撮っていた。声なら入るから」
と。

「なんともなかったよ。」
と、二女を落ち着かせた。
残業だった長女が、そのあと急いで帰宅した。
あったことを伝えて、その日は就寝することにした。

とてつもない恐怖に襲われるのは、次の日からだった。
今までにも増して、生活における窮屈さと、一度あったことは今後も起こり得るという気持ちが、
自分の中で大きくなっていくのが分かった。

今までと変わらない笑顔で、取り繕う自分。
しかし、心の中では、いつもシグナルが鳴り響いていた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どんでん返し

2022年02月05日 | 結婚生活

「ねぇ、猫の毛が、洋服に付くんだけど。
 もう元気になったんだから、外に出せば?」
と、夫が言った。

『え?飼っていいって言ったよね?違うの?』

「いいけどさ、命を救ってやったんだから、もう外でも暮らせるでしょ」

耳を疑った。

命を救ったから、それでいいと。

その子猫を拾ってからは、情報を収集して、保護することや
今はNPO団体が活動していることなど、得ていた。
だから、「元気になったから外に出しても良い」ということはよくないことだと
認識をしていたのだ。
取り急ぎ、夫には引き取り先を見つける、
そのためには諸々の踏まなければならない段階があると説明し、その場は収めた。

長女にもその旨、話をしたが、引き取り先を見つけるのならば協力すると、言ってくれた。

まずは、病気の確認と、ワクチン接種。
保護団体へアプローチするか、ネットで保護猫サイトを見つけて登録するか、
去勢の有無も、引き渡しには関係してくるし、
なにより、サイトに登録するにしても、ど素人の譲渡では信頼を得られにくい。
そこはどうするのか…

考えることがたくさんあった。

それよりなにより、その段階に行くまでの間、夫の機嫌を損なうことは許されなかった。
そうでなければ、すべてのことが水の泡になってしまう。
夫に、子猫を勝手に外に出されてしまっては、自分たちが一生懸命に踏んできた段階を潰されかねない。

日々、神経をとがらせ、一切の粗相は許されない。
去勢できる時期が来るのを待ちわび、早々に実行した。
(マーキングというのは、猫好きにとっても、とても困ったことであるから)

子猫の状態を見、方法を考えた。
それでも、時は無情にも過ぎていく。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする