11日、シャティン競馬場で香港国際競走が行なわれたが、その中でハットトリック(三連冠)が勝った香港マイルを振り返ってみよう。
昨年、一昨年とカップに出走していたG1 6勝のラクティがマイルに回って香港国際競走悲願の初制覇に挑んだが、1番人気はサイレントウイットネスの全勝記録をチャンピオンズマイルで打ち砕いた地元のブリッシュラック。ラクティが2番人気で、先のマイルCSで初のG1を制覇したハットトリックが3番人気、安田記念の覇者でマイルCSはスキップしてここに照準を合わせてきたというアサクサデンエンが4番人気となった。
レースはシンティレーションが先頭、ザデュークがすかさず2番手につけ、ラクティは内側を通って5~6番手の位置。ブリッシュラックとアサクサデンエンがラクティの集団よりも一つ後ろの集団につき、さらにその後ろの集団、後方から2頭目にハットトリックがいた。
直線に向いても馬順は変わらず、シンティレーションが直線に入っても先頭に立っていたが、残りあと300付近で満を持してザデュークが先頭に立つ。しかし直線入り口でペリエが追い出しをかけたハットトリックが一気の伸び。対してブリッシュラック、ラクティ、アサクサデンエンあたりは逆におかれる形となって伸びきれない。
ザデュークが一旦は突き放しかけるもハットトリックがマイルCS同様の伸び脚を見せて残りあと100ぐらいで先頭。そのまま押し切って優勝した。2着はザデューク。ブリッシュラックは4着、アサクサデンエンは5着、ラクティは11着と大敗した。
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上がりの競馬となったことも幸いしてハットトリックが2度目のG1制覇、そして同レースとしてはエイシンプレストン以来の優勝を果たした。
実績的にラクティにはもちろん、アサクサデンエンにも多少劣ると評価されていたことから3番人気にとどまった格好だが、今回のメンバーであれば十分勝ち負けできる相手であり、また、マイルCSでも勝利に導いたペリエが落ち着いたレース運びで勝利に導いた。また、日本と馬場がよく似ていることも幸いしたんだろう。
上がり32・33秒台の脚を使える馬というのもこの馬ぐらいしかいない。今回はまさに完勝。マイルCSではデュランダルからマイル王の座を奪い取った形だが、今回はアサクサデンエンも出ており、マイルの王者を確固たるものとしたようだ。
問題は展開が向かなかった場合はどうか?ということ。それと時計のかかる欧州よりもこういった馬場向きであることは言うまでもなかろう。ただ、来年もマイル戦線の主役であることは間違いなさそうで、同レースも連覇の期待ができるんではないか。あるいはカップへの挑戦も視野に入れられるかもしれない。
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ザデュークは昨年の同レースも3着の実績があり、決して評価ができない馬ではないとは思うが、11番人気にしか今年はならなかった。11月20日に行なわれたトライアル戦では今回3着に入ったデーヴズベストの5着に終わったことも低評価の要因となったのだろう。
しかし終始2番手からの競馬を進めて最後までしぶといレースを見せた。ハットトリックとは明らかに決め手の差だけで劣ったものであり、内容的には悪くない。
ブリュッシュラックはサイレントウイットネスの全勝記録を打ち破った実績がモノを言っての押し出されての1番人気の格好だった。道中の位置は悪くなかったと思うが、仕掛けるタイミングを逸した感じ。アサクサデンエンにも同じことがいえるが、ここに来る前に1回でも叩いておけば少しは違っていたのかもしれない。
ラクティの気難しさは昨年のマイルCS参戦時にも現れたが、今回も直線に入ってズルズルと後退してしまった。明らかに遠征向きの馬ではないのかもしれない。内弁慶タイプの馬なのか?
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有馬記念との兼ね合いからしばらく日本から挑戦する馬がいなかった香港ヴァーズだが、今年はディープインパクトと3冠戦線でしのぎを削ったシックスセンスが招待された。
道中は後方に位置し、3~4角で捲り気味に上がっていったが、勝ったウイジャボードのものすごい切れ味に完敗。しかし2着を確保し、常にディープインパクトとしのぎを削った戦いを彷彿とさせる走りを見せてくれた。また、凱旋門賞2着のウエスターナー、キングジョージ2着のノースダンサーに先着しており、ウイジャボード以上の走りをディープができると仮定するならば大凡の力関係が分かるというもの。
そう考えると、来年は欧州遠征が確実視されているディープインパクト陣営にとってみても、シックスセンスの健闘は十分参考になったのではあるまいか。