公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

香港マイル回顧

2005-12-12 06:43:16 | 大レース回顧集

11日、シャティン競馬場で香港国際競走が行なわれたが、その中でハットトリック(三連冠)が勝った香港マイルを振り返ってみよう。

昨年、一昨年とカップに出走していたG1 6勝のラクティがマイルに回って香港国際競走悲願の初制覇に挑んだが、1番人気はサイレントウイットネスの全勝記録をチャンピオンズマイルで打ち砕いた地元のブリッシュラック。ラクティが2番人気で、先のマイルCSで初のG1を制覇したハットトリックが3番人気、安田記念の覇者でマイルCSはスキップしてここに照準を合わせてきたというアサクサデンエンが4番人気となった。

レースはシンティレーションが先頭、ザデュークがすかさず2番手につけ、ラクティは内側を通って5~6番手の位置。ブリッシュラックとアサクサデンエンがラクティの集団よりも一つ後ろの集団につき、さらにその後ろの集団、後方から2頭目にハットトリックがいた。

直線に向いても馬順は変わらず、シンティレーションが直線に入っても先頭に立っていたが、残りあと300付近で満を持してザデュークが先頭に立つ。しかし直線入り口でペリエが追い出しをかけたハットトリックが一気の伸び。対してブリッシュラック、ラクティ、アサクサデンエンあたりは逆におかれる形となって伸びきれない。

ザデュークが一旦は突き放しかけるもハットトリックがマイルCS同様の伸び脚を見せて残りあと100ぐらいで先頭。そのまま押し切って優勝した。2着はザデューク。ブリッシュラックは4着、アサクサデンエンは5着、ラクティは11着と大敗した。

上がりの競馬となったことも幸いしてハットトリックが2度目のG1制覇、そして同レースとしてはエイシンプレストン以来の優勝を果たした。

実績的にラクティにはもちろん、アサクサデンエンにも多少劣ると評価されていたことから3番人気にとどまった格好だが、今回のメンバーであれば十分勝ち負けできる相手であり、また、マイルCSでも勝利に導いたペリエが落ち着いたレース運びで勝利に導いた。また、日本と馬場がよく似ていることも幸いしたんだろう。

上がり32・33秒台の脚を使える馬というのもこの馬ぐらいしかいない。今回はまさに完勝。マイルCSではデュランダルからマイル王の座を奪い取った形だが、今回はアサクサデンエンも出ており、マイルの王者を確固たるものとしたようだ。

問題は展開が向かなかった場合はどうか?ということ。それと時計のかかる欧州よりもこういった馬場向きであることは言うまでもなかろう。ただ、来年もマイル戦線の主役であることは間違いなさそうで、同レースも連覇の期待ができるんではないか。あるいはカップへの挑戦も視野に入れられるかもしれない。

ザデュークは昨年の同レースも3着の実績があり、決して評価ができない馬ではないとは思うが、11番人気にしか今年はならなかった。11月20日に行なわれたトライアル戦では今回3着に入ったデーヴズベストの5着に終わったことも低評価の要因となったのだろう。

しかし終始2番手からの競馬を進めて最後までしぶといレースを見せた。ハットトリックとは明らかに決め手の差だけで劣ったものであり、内容的には悪くない。

ブリュッシュラックはサイレントウイットネスの全勝記録を打ち破った実績がモノを言っての押し出されての1番人気の格好だった。道中の位置は悪くなかったと思うが、仕掛けるタイミングを逸した感じ。アサクサデンエンにも同じことがいえるが、ここに来る前に1回でも叩いておけば少しは違っていたのかもしれない。

ラクティの気難しさは昨年のマイルCS参戦時にも現れたが、今回も直線に入ってズルズルと後退してしまった。明らかに遠征向きの馬ではないのかもしれない。内弁慶タイプの馬なのか?

有馬記念との兼ね合いからしばらく日本から挑戦する馬がいなかった香港ヴァーズだが、今年はディープインパクトと3冠戦線でしのぎを削ったシックスセンスが招待された。

道中は後方に位置し、3~4角で捲り気味に上がっていったが、勝ったウイジャボードのものすごい切れ味に完敗。しかし2着を確保し、常にディープインパクトとしのぎを削った戦いを彷彿とさせる走りを見せてくれた。また、凱旋門賞2着のウエスターナー、キングジョージ2着のノースダンサーに先着しており、ウイジャボード以上の走りをディープができると仮定するならば大凡の力関係が分かるというもの。

そう考えると、来年は欧州遠征が確実視されているディープインパクト陣営にとってみても、シックスセンスの健闘は十分参考になったのではあるまいか。


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危機感なき者は去れ

2005-12-12 00:08:14 | 公営競技論

今年もまた、というか、とりわけ厳しい規律を重んじられるはずの公営競技界において、刑事事件で処罰を受ける者が何人か出てしまった。


中央競馬騎手・石神深一容疑者は2月24日夜に茨城県阿見町内を走行中に、土浦署君島駐在所のブロック塀に衝突。職務質問の結果、酒気帯び運転が判明し、道路交通法違反容疑で土浦警察署に現行犯逮捕されていたことが判明。


4月3日、競艇選手登録番号3269・柴田明宏容疑者(39)が業務上過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで緊急逮捕された。柴田容疑者は乗用車を運転中の同日午前4時35分ごろ、同市池上町の県道で、路肩に停車していた乗用車に追突し、同市の男性会社員(18)ら3人に1~2週間の軽いけがをさせ、そのまま逃走した疑い。


アラブ系競走馬の補助金不正受給事件で、広島県警捜査二課と福山東署は5月9日、福山競馬を運営する同県福山市の補助金計80万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で福山市千代田町1丁目、調教師番園一男(57)、同所、厩務員山内功三(67)ら4容疑者を逮捕。番園容疑者は、同容疑で逮捕された広島県馬主会準会員の会社員伊藤多磨子(63)=岡山県笠岡市=と同会員の会社員島村拓雄(69)=広島県福山市=の両容疑者、北海道の牧場主の男性(55)と共謀。昨年9月、実際には自分が所有する1歳馬を牧場主が所有しているように装って市場に出し、島村容疑者に紹介された伊藤容疑者の名義で140万円で落札。福山市から購入補助金50万円を、同12月には子馬の育成補助金30万円を詐取した疑い。


平成17年11月10日午後11時38分頃、ホッカイドウ競馬 の渋谷裕喜騎手が、酒気帯び運転、無免許により逮捕されました。 今後、主催者としましては警察の処分結果の後、関係法令に基づ き厳正な処分を決定いたします。

12月8日午前3時25分ごろ、奈良市芝辻町4丁目の奈良署新大宮交番で、男が窓ガラスを拳で殴って割った。交番にいた警察官が取り押さえ、器物損壊の現行犯で逮捕した。調べでは、奈良市中山町の競輪選手高本貴弘容疑者(39)。近くの路上で通行人3人と口論になり、「交番で話をつけよう」と、一緒に新大宮交番へ行き、着いたとたん窓ガラスを殴ったという。けがはなかった。



特に福山競馬の件については番園容疑者が管理する競走馬は多数を占めることから開催休止を余儀なくされる羽目になった。また、番園容疑者は調教師免許を剥奪され、競馬界からも追放されることになった。

公営競技における刑事処罰者というのは決して少ないわけではなく、かつては八百長などで逮捕されたケースもあったが、ほとんど追放処分されている。

最近では刑事事件で逮捕されても「復職」できるケースも多くなってきた。ここに挙げた者の中で、今のところ「追放処分」を食らっているのは福山競馬の関連だけである。また、競輪でかつて逮捕処分となった柴田昌樹神田幸洋の両者は今、現役として走っている。

時代は確かに「寛容」になったのかもしれない。これが20年前あたりまでだったら、「前科者」が公営競技の世界で復職できるケースなど考えられなかったことであろう。

しかし先日、同志社大学の学生が学習塾の女児生徒を刺し殺すという事件があった。その学生は実は「前科者」であり、そのため1年半の停学処分を受けていた。

ところが学習塾側はその「前科歴」があることを全く知らなかったという。だが、自首したとはいえ、2度目の犯罪は「取り返しのつかない」ものである。自分の手で殺めた女児はどうやったところで二度と戻ってはこないのだ。

むしろ企業社会をはじめとする「管理社会」のほうがはるかに前科者に対しては厳しい。刑事犯罪とはならなくとも会社のカネの行方を分からなくさせた事例があったりすると即刻「クビ」。その上、転職する上においてもそうした「調書」は一生ついて回る。学習塾のケースは本当にごくまれなケースでしかない。

ということは何度も言うようだが、公営競技という世界は本当に芸能界と同じく、やり直しが何度でも利くような「甘い」世界に成り下がってしまったのか?と疑問の声さえ出てこよう。そういえばメールで、

「競輪の神田幸洋はどうして復職できたのか?」

という問いがあったけど、はっきりいって答えられないね。私だって「疑問」に思うからだ。

そう考えると、逆に復職した選手らはこの先「一生」前科者のレッテルを貼られながら走り続けねばならないわけであり、ある意味「縁の切れた」者よりも厳しい立場に置かれるのかもしれない。

だが、本来ならば「追放やむなし」のところ復職できたのであるから、今まで以上に真剣に取り組まねばならないことは言うまでもあるまい。もしそれができないようであればさっさとやめたほうがいい。

ましてや公営競技というのは客からカネを「預けられて」、それに報いるように努めねばならないという重い責務を負っている。今でこそ客が「暴れる」心配がなくなったからいいようなものの、これが昭和20年、30年代だったら果たしてどうなるのか?

毎日のように騒擾事件で一般紙を賑わせていた時代ではないか。今は小遣い銭程度という客の感覚があるし、またある程度場内も浄化されたことからその当時の殺気だった雰囲気は確かに消えてはいる。

だが、客から「預かったカネ」ということには変わりがない。そんな意識のかけらもなく、ルールもロクに知らないで走る選手や、判定が正しいのに噛み付く連中がいること自体「おかしい」。

一体何を思ってそんな「甘ったれ」た行動に出るのかが分からない。ひいてはそうした「甘ったれ」さが刑事事件を引き起こす「病巣」となってないか。

騒擾事件が頻発していた頃の「反動」ではないんだろうが、客側がそうした態度に出るケースなど今や万が一にないに等しいのに、どうして選手や騎手らは「甘ったれた」方向にばかり進むのか?

ならば無罪放免を条件に客にまた「暴れてもらったほうがいい」っていうことになるのか?

さらにいえば、公営競技は今、大変な状況におかれていることは誰しもが分かっていることだろう。だったらなおさら「緊張感」を持ち続けねばならないのではないのか。

むしろ客側のほうが競技場を廃止されることによる「危機感」を漂わせている。浜松オートの件にしたって、客側の、

「絶対に廃止などさせるか!」

という声が大きい。でも、本来ならばどうしてそうしたところまで「追いつめられてしまうのか」?ということをカネを貰う側は果たして考えたことがあるのだろうか?

「危機感」なき連中は公営競技の世界には不要な人材。復職できてラッキーなどと考えず、さっさと消え去ったほうが身のためである。


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