自民派閥の政治資金事件 検事が“不適正な取り調べ” NHK 2025年8月26日 5時32分
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部に元参議院議員とともに在宅起訴された当時の秘書の事情聴取を担当した検事が、相手をやゆしたり、記憶に沿わない供述を求めたりするような発言をしていたとして、最高検察庁が不適正な取り調べだったと認定していたことが、関係者への取材でわかりました。
自民党の旧安倍派に所属していた元参議院議員の大野泰正被告と元秘書の岩田佳子被告は、派閥から5100万円余りのキックバックを受けたにもかかわらず、元議員の資金管理団体の収支報告書に収入として記載していなかったとして、政治資金規正法違反の罪で在宅起訴されています。
このうち、元秘書への任意の事情聴取で不適正な取り調べが行われていたと、最高検察庁が認定していたことが関係者への取材でわかりました。
事情聴取は録音・録画されていて、担当検事は違法性に関する元秘書の弁解に対し、法律を知らない外国の人間だと例えたうえで、「日本の法律に不知ですみませんと反省してもらいたい。あなただけが争っているつもりで滑稽だと思う」などと述べ、差別的な表現でやゆするような発言をしたということです。
また、キックバックの金額に関する聴取の際、「正しいか分からないですよね。ただ、一応正しいですと言ってくれないと困るんですよね」などと、記憶に沿わない供述を求めるような発言もしていたということです。
一方で、弁護士の助言を得てから供述調書に署名するかを確認するなど、任意性や信用性については一定の配慮がされていたとしています。
担当していたのは当時、別の地検から応援で特捜部に派遣されていた男性検事で、指導を受けたということです。
これについて、最高検は「個別の事案の証拠関係に関わる事柄であるためコメントできない」などとしています。
不適正な取り調べが相次ぐ
東京地検や大阪地検の特捜部などでは、近年、不適正な取り調べが相次いで明らかになっています。
6年前、大阪地検特捜部が捜査した横領事件では、担当検事が取り調べで机をたたき、「検察なめんなよ」などと大声で罵倒したなどとして、特別公務員暴行陵虐の罪でこの検事を被告とする刑事裁判が開かれることになっています。
河井克行元法務大臣が有罪判決を受けた6年前の参議院選挙をめぐる大規模買収事件では、任意の取り調べを受けた元広島市議会議員が東京地検特捜部の検事から不起訴にすることを示唆して買収の趣旨を認める供述をするよう促されたと訴えました。
また、4年前、東京地検特捜部が捜査した詐欺事件では、逮捕後の取り調べで黙秘を続けていた会社の社長が、担当検事から「検察庁を敵視するってことは、反社や、完全に」などと自白を迫られ、罵倒されたなどと訴えました。
いずれの取り調べについても、最高検は不適正な点があったと認定しています。
元検事の亀井弁護士 “基礎的な教育の確立を”
元検事の亀井正貴弁護士は「録音・録画がされているなかでこうした言動があるということは、問題になる行為ではないという意識がおそらくあったのだろう。特捜部の事件は社会的な注目を浴び、事案を解明しなければならないということがどうしても優先事項として出てくるが、不適正な取り調べを是正する教育がされておらず、個人の常識や判断の中に埋没していると思う。検事個人の判断や感性に任せるのではなく、適切な表現はこういうものだという基礎的な教育が、システムとして確立されていく必要がある」と指摘しています。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部に元参議院議員とともに在宅起訴された当時の秘書の事情聴取を担当した検事が、相手をやゆしたり、記憶に沿わない供述を求めたりするような発言をしていたとして、最高検察庁が不適正な取り調べだったと認定していたことが、関係者への取材でわかりました。
自民党の旧安倍派に所属していた元参議院議員の大野泰正被告と元秘書の岩田佳子被告は、派閥から5100万円余りのキックバックを受けたにもかかわらず、元議員の資金管理団体の収支報告書に収入として記載していなかったとして、政治資金規正法違反の罪で在宅起訴されています。
このうち、元秘書への任意の事情聴取で不適正な取り調べが行われていたと、最高検察庁が認定していたことが関係者への取材でわかりました。
事情聴取は録音・録画されていて、担当検事は違法性に関する元秘書の弁解に対し、法律を知らない外国の人間だと例えたうえで、「日本の法律に不知ですみませんと反省してもらいたい。あなただけが争っているつもりで滑稽だと思う」などと述べ、差別的な表現でやゆするような発言をしたということです。
また、キックバックの金額に関する聴取の際、「正しいか分からないですよね。ただ、一応正しいですと言ってくれないと困るんですよね」などと、記憶に沿わない供述を求めるような発言もしていたということです。
一方で、弁護士の助言を得てから供述調書に署名するかを確認するなど、任意性や信用性については一定の配慮がされていたとしています。
担当していたのは当時、別の地検から応援で特捜部に派遣されていた男性検事で、指導を受けたということです。
これについて、最高検は「個別の事案の証拠関係に関わる事柄であるためコメントできない」などとしています。
不適正な取り調べが相次ぐ
東京地検や大阪地検の特捜部などでは、近年、不適正な取り調べが相次いで明らかになっています。
6年前、大阪地検特捜部が捜査した横領事件では、担当検事が取り調べで机をたたき、「検察なめんなよ」などと大声で罵倒したなどとして、特別公務員暴行陵虐の罪でこの検事を被告とする刑事裁判が開かれることになっています。
河井克行元法務大臣が有罪判決を受けた6年前の参議院選挙をめぐる大規模買収事件では、任意の取り調べを受けた元広島市議会議員が東京地検特捜部の検事から不起訴にすることを示唆して買収の趣旨を認める供述をするよう促されたと訴えました。
また、4年前、東京地検特捜部が捜査した詐欺事件では、逮捕後の取り調べで黙秘を続けていた会社の社長が、担当検事から「検察庁を敵視するってことは、反社や、完全に」などと自白を迫られ、罵倒されたなどと訴えました。
いずれの取り調べについても、最高検は不適正な点があったと認定しています。
元検事の亀井弁護士 “基礎的な教育の確立を”
元検事の亀井正貴弁護士は「録音・録画がされているなかでこうした言動があるということは、問題になる行為ではないという意識がおそらくあったのだろう。特捜部の事件は社会的な注目を浴び、事案を解明しなければならないということがどうしても優先事項として出てくるが、不適正な取り調べを是正する教育がされておらず、個人の常識や判断の中に埋没していると思う。検事個人の判断や感性に任せるのではなく、適切な表現はこういうものだという基礎的な教育が、システムとして確立されていく必要がある」と指摘しています。