まずは、またしても死亡事故が起こってしまったオートレースの死亡事故についての概要。
オートレース中事故、1人死亡=転倒車に追突、4人けが-福岡
9月27日21時14分配信 時事通信
27日午後1時半ごろ、福岡県飯塚市鯰田の飯塚オートレース場で行われた第7レース中、出場した選手8人のうち1人が転倒、後続の4人が次々に追突した。5人は病院に運ばれたが、前橋市西片貝町の永井秀樹さん(35)が頭の骨を折って死亡、東京都出身の矢野義幸さん(39)ら3人が肋骨(ろっこつ)や手首などを折って入院した。1人は全身打撲のけが。
県警飯塚署や選手登録団体の財団法人JKA(東京)によると、スタート直後に3番目を走っていた矢野さんがコーナーでスリップし転倒、4番目の永井さんがぶつかり、後続の3人がよけきれず激突した。同署が詳しい事故原因を調べている。
9月27日の飯塚オートレースにおける永井秀樹選手の死亡について、こんな意見がある。
http://weblog.hochi.co.jp/shigenari/2009/09/post-d0a3.html
確かに、2004年4月から一斉切り替えとなった現行のタイヤについては、スピードダウン化を目指したものである。一方、現行のタイヤ以前が使用されていた時代は、レースそのものが単調になりやすかった。
2000年から2001年にかけて、オートレースは存続をかけた地殻大変動改革を行った。そこで問題となったのが、レースの中身。
確かに、試走タイムはどんどん上がり、大幅なスピード化は図られたが、スタートからドンと行けばそのまま押し切ってしまえるレースが増えたことから、試走時点で既にレースは「終わっている」とも言われたものだ。
そこで、捌き重視を主眼に置いたと思われる施策がタイヤの一斉切り替え。
確かにこれにより、とりわけ全レースオープン戦でつまらないといわれた日本選手権オートレースは一気に面白くなったし、追い上げ重視の走法を見せた田中茂がSG 3連覇を達成した件についても、タイヤ一斉切り替えの効果が現れたとみてもいい。
しかしながら思うに、今の選手たちの多くは、捌くことで勝つ、あるいは着順を拾う、ということができなくなっているみたいだ。
1999年に中村政信が亡くなって以後も、オートレースの死亡事故はしばし続いており、また今年のオート名匠戦優勝戦で起こったように、不成立レースも度々起こっているが、捌きどころが分かっていない選手が無理やり突っ込んでいって、結果、大事故に巻き込んでしまうということになっていないだろうか。
ま、ロット間の格差が大きいという、東小野正道の話も分からなくはないが、それ以前の問題として、今の選手の多くが、スタートを出さえすれば勝てる、さらにいえば、試走でタイムを出せば勝てる、といった考え方を少しでも改めない限り、今後もオートレースにおける大事故レースは発生するのではないか、という気がする。
そして、タイヤを重くすればいい、という話は、去年のオールスター競輪で内田慶が死亡したときにも話が出た。要はタイヤが軽く、タイムが出やすくなっているから発生したのではないか、と。
しかしながら、タイムを意図的に落とす、というやり方をしたところで、逆にそれに対する技術が伴わなければ選手は対応しきれないし、加えてレースのレベルがダウンする恐れがある。
ロット間のばらつきについては製造上の問題であることから、これについては、メーカーに改善策を講じてもらわねばならないが、当然のことながら一朝一夕でできる問題ではない。
となれば、しばらくは現状のままの状態でいく他ないわけで、選手の意識を向上させていくしかあるまい。それはつまり、レースというのは、自分だけでやっているのではない、ということ。
それにしても、今は公営競技における事故レース追跡をやめているが、これを契機にまたやらねばならなくなってしまうのかな?とにもかくにも、完走することがいかに大事かということを考えてもらいたいね。