A 「国際競輪が28日に終了した。今年は世界選手権の開催日程の関係で通常よりも2ヶ月半ほど開催が遅れ、ワールドグランプリも開催されなかったが、全12開催行われた。」
B 「総合トップはマクリーン(英国)だね。優勝2回。佐世保、松戸で果たした。全体を見ても12戦して8勝。世界選スプリント2位の実力を発揮し、鋭い捲りが光った。」
A 「レース運びもうまかった。ただマクリーンはボスと一回も対戦していない。そのあたりはラッキーだったかな、と思う。」
B 「2位は注目のボスだった。来日記者会見では12戦全勝を明言したが、結果はシリーズ通算7勝に「とどまり」、優勝も1回だけ。ま、世界選ダブルを果たしたあの桁違いの強さを考えると、いささか物足りないような気もしたが。」
A 「世界選のときを10としたら、今回の国際競輪は7か、それ以下の力しか出てなかったね。昨年の国際競輪では、マークについた選手がボンボン引きちぎられたが、今年はそうでもなかった。勝っても見た目は「やっとこさ」という印象の強いレースも多かったし。」
B 「とりわけ、緒戦の松山の決勝では明らかに焦っていたというか、誘導員の後輪にひっかけて落車失格となったレースがあったね。そのあとから、常に主導権を奪う積極的なレースを心がけるようになったが、昨年とは違って、今年はどのレースも勝って当たり前、とファンも当然思っていたし、そのプレッシャーもあったかもしれない。」
A 「ただ全て決勝進出を果たした上に、3着以下は2回だけ。内1回はジャンでの落車失格だからね。調子がよくないなりに成績をまとめてきたあたりはさすがだね。当然、2006~2007年のシーズンも不動の中心となろう。」
B 「3位はエスクレド。この国際競輪ではむしろボスよりも強かった、という声も高かったが。」
A 「国際大会におけるエスクレドといえば、どちらかというと流れを見て飛びつきとかいったレースぶりが目立ったが、今回は緒戦の佐世保で準決勝で失敗したこともあって、小倉の開催から積極果敢なレースに切り替えた。決勝では中川誠一郎の絶好のスパートをさらに一気に捲って日本レコードとなる10.5秒をたたき出して優勝。続く川崎ではボスマークから、小嶋敬二のスペースを完全に消し去り、最後はボスを楽々交わして連覇。確かにこの2戦は強いの一言だった。」
B 「最後の大垣でも連勝で決勝へ駒を進めたがまさかの落車。ただ、今年の国際競輪で一番印象度が強かったのはこのエスクレドだろう。」
A 「この3人がやはり印象度合いが大きかったと思うが、あとはどうだろう。」
B 「ビノクロフは1回優勝したが、レース運びがうまく、慣れればさらに活躍できそう。ブルガンも1回優勝したね。使用ギアが大きすぎ(3.85)、かかりが悪いと惨敗も目立ったが、こちらも慣れればもっと今後も活躍できるだろう。ま、ブルガンはW杯期間中に毎年行われる賞金つきエキシビションレースの「インターナショナルケイリン」では連覇中。もともと実力がある。」
A 「ジェリンスキーも慣れてきた3・4戦目では積極果敢な動きを見せ、力強い走りを見せていた。同じポーランドのクイアコウスキーという選手が昨年出場していたが、それよりも上だと思う。」
B 「一方、アテネ「ダブル」のベイリーはまた期待を裏切った形。とにかくレース内容が淡白しすぎ、展開が向かないと勝てなかった。6勝したとはいえ、負け戦勝ちが3回あるし、内容的にはイマイチという他ないね。国際大会でも不振が続いているし、その悪い流れがそのまま現れた格好だな。」
A 「ブルバはわずか1回しか勝てなかった。レースを見ていても切れが悪く、今後もちょっと厳しいかもしれない。ヌグは今年の世界選前に怪我をしてその世界選では全くいいところがなかったが、その悪い流れを国際競輪でも引きずったままだった。しかし最終戦の立川では決勝3着。漸く彼本来の動きが出てきたところで終了というのも惜しい気が。」
B 「思うに国際競輪というのは、いまだ競輪ファンからの支持が思うように得られず、人気面で今ひとつの感が否めないが、ある意味、食わず嫌いの側面があるんだと思う。むしろ決勝戦あたりになれば、競輪選手だけで戦うS級戦の決勝戦よりもはるかに緊張感を感じる。特に川崎の決勝は、ボス、エスクレドに加え、昨年のワールドグランプリ優勝者の小嶋も進出してきたことで、いまやG1の決勝戦でも味あわないような雰囲気を漂わせた。」
A 「来年はどうやらワールドグランプリが開催されそうで、日本勢もトップクラスの参戦が考えられるが、本来ならば、国際競輪やワールドグランプリを行うことによって、競輪選手もまた、国際大会でメダル獲得目指して頑張ってほしいんだが、どうもそのあたりがうまくいかない。」
B 「ま、国内のタイトル戦が有象無象に多すぎることも要因としてあるな。さらに記念も4日間制だから競走間隔が詰まっている状態で競走に向かわざるを得なくなる。すると、国内の競輪で精一杯となってしまい、ひいては、「競輪と競技の二本立て」という考え方がはびこってしまう。」
A 「以前、引退したフィードラーが現役時代に、「日本の選手はいい素材を持っていても国内のタイトル戦が多すぎてそれで疲弊してしまう。」と話していたことがあったが、ソロソロこのあたりに大きなメスを加えてほしいものなんだが。」
B 「それとワールドグランプリだって「ノンタイトル戦」だろ。G1に抜擢してもよさそうなものだし、何だったらグランプリにも外国人選手に出てもらいたいもの。以前話したことがあったが、世界選のスプリントとケイリンの優勝者を自動的にグランプリ出場という形にできないものか?第一回から第三回まではそうした形での出場者がいたわけだし、となれば外国人選手は最大で3人出れる可能性がある。」
A 「サマーナイトフェスティバルに外国人選手を出場させ、ついでにワールドグランプリと合体させてG1とする話が掲示板でも出たことがあったけど、それも面白いかもしれないよ。」
B 「そうだね。サマーナイトも今のままだったらいずれ存在意義を問われそうな大会となりそうだからね。外国人は9人が参加するし、サマーナイトも9レース制。丁度合うね。とにかく、日本人の競輪選手だけの競走よりもはるかに見ていてスリリングな国際競輪。食わず嫌いにならずに今後も見守っていこうじゃないか。」