「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「置きみやげ」

2008年12月28日 | 趣味・・エッセイ
 
 誰よりも早く起き、誰よりも遅く眠りにつく。寝顔をひとに見せたことがない。
 
 そんな母が、たった一度だけ「仏の顔」と見まがうほどの安らかな寝顔を見せた。

 その時が、101歳を生きた母との永遠の別れになった。

 この世で味わった辛酸や苦労など一切忘れたような笑顔。

 喜怒哀楽のすべてを飲み込んだ、優しさに包まれたほほ笑みは「精いっぱい生きたんじゃけー心配せんでええよ」と、落ち込む私たちを励ましてくれる。

 どこまでも家族を気遣う真綿のような親心を置きみやげに、晩秋の夕闇へ静かに溶け込んでいった。

 ありがとう、おふくろ。

      2008.12.28 毎日新聞 はがき随筆 掲載


母の49日法要は、1週間取り越して先週日曜日に滞りなく執り行った。
今日は母を見送って、実質的49日目に当たる。

101歳を生きた母が、一体何を残していったのだろうか、気に掛かっていた。
そんな気持ちの一端を250字にまとめ、「置きみやげ」と題して葉書随筆に投稿していた。
図らずも今日、毎日新聞に掲載された。旅だった母へのはなむけになれば幸いである。

       ( 写真:法要当日の我が家 )


 
コメント (12)
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