いぶり自然学校

苫小牧軸足をおきながらも、胆振管内各所・いや日高、十勝・・・各所で活動を展開しています。

馬旅キャンプinとかち 1日目

2014-07-27 06:34:19 | うえだんな

教育支援協会・ネイチャーキッズの子たちを迎えて

馬旅キャンプがはじまりました。

9日間、馬と一緒にキャンプをしながら旅をする、

という目標達成にむけて様々な活動に挑戦します。

 

38度なんていうとんでもない暑さの中から抜け出して

十勝帯広空港についたら、そこは24度。

「空港の中、別にクーラーを入れてる訳じゃないんだよ」というと

みんな驚きました。

ホントかなあ、と空港の玄関を出たり入ったりして、その涼しさを確認するところから

北海道の旅が始まりました。

 

今日からの滞在場所、大樹町に向けて

だーれもいない畑の真ん中を車で移動していきます。

 

 

すると突然車が止まり、「みなさん、降りてください」と言うではありませんか。

「ここからまっすぐいけばたどり着くから、あとはみんな走っていってね」

ようするに、マラソンだって。何言ってるのか、よくわかりませんね。

 

でも、そう言われてしまうとなんだかウキウキして来るものでもあります。

 

準備運動をした後は、一斉にスタートします。

 

別に競争をする訳でもないし、足が速いとか遅いとかが重要でもありません。

まずは体の中の空気を入れ替えて、飛行機の中に閉じ込められていた体をほぐすこと、

いろんな人がいていいということ、

これから幾重にもやってくるであろう課題や困難を前向きに捉えて解決していくこと、

そんなことが出来るようになることを祈って、こんなことをやってます。

 

いや、これ意外と面白いのです。

なんと、5キロもの道を走ったり、歩いたりするのですが

見たこともない風景がどんどんと目に飛び込んでくるので

全然飽きないんですね。

しかも、途中で雨が降ってきました。

「雨具どうする」「濡れちゃう、どうしよう」とかいいながら、

それをどうにかしながら足を運んでいくのです。

 

お陰で、みんな無事に完歩完走することが出来ました。

意外と、みんな体力があります。

すぐにシャワーを浴び、濡れた服を洗濯し、靴を乾かした後は

もうその辺で遊んでいたら、当然、腹が減りますね。

 

ということで、晩ご飯はチャンチャン焼きです。

薪ストーブで焼いて作ります。

外で食べようと思ったのですが、さすがに雨の中は難しいので

部屋の中で食べました。

自分の食べられる分だけよそって食べます。

食べる前に、自分のおなかに手を当てて、

どれぐらい食べられるかをイメージしたあとに

取りにいきます。

 

質素ながらもぜいたくな夕食。

おいしく頂きました。

 

で、子どもたちは、周りにいる初めて会う子たちと

何となく一緒になって遊んでいました。

人見知りの子も、そうでない子も、まあ、なんだかんだ言って

声を掛け合って遊んでいますが、

「ところで、君、名前なんていうの?」とふと気がつきます。

 

オトナだと、まずは自己紹介から・・・なんていうのが通常なのですが、

子どもは、その逆なんですね。

本能的に、体が遊ぶことを欲しているので、

名前とか、どこから来たとか、そんなこと関係なしにまずは群れて遊びます。

で、その遊びが高度になってきて、チームワークが必要になると

名前で呼び合う方が面白く遊べるので、名前とか言語が必要になる、のでしょうね。

 

ぼくたちは、そんな頃合いを見計らって

自己紹介タイムを作りました。

順番に座布団を移動して、全員と話をします。

ここまで一緒に遊んでいるので、ある程度はおしゃべりできます。

でも、こうやって改めて向かい合うと、ちょっと照れくさいよね。

そんなのも楽しんで、夜を過ごします。

 

さあ、北海道での生活が始まりました。

馬と一緒に、旅をしながらキャンプをする、という壮大な目標を達成するには、

まずは「よくたべよくねてよく出そう」という生活の基本、

そしてチームが必要です。

 

そんな心と体の準備を、

大樹町でしっかり積み上げていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 


本州の子どもを、キャンプで北海道に迎える瞬間

2014-07-10 20:46:48 | うえだんな

 

今年も、いろんなキャンプが始まります。

本州の子たちをお迎えするキャンプもいくつかやる予定で、

目下その準備に追われています。

近い将来、日本中の子どもは涼しい北海道で夏休みを過ごす、

という「北海道サマーキャンプ構想」を実現させたいと思っていて、

その準備も平行して進めています。

 

そんな中、ちょっとした文章を書く機会がありましたので

その原稿を貼付けておきます。

今実施している「とかち馬旅キャンプ」のオープニングチューンです。

北海道サマーキャンプのイメージ、こんな風にできたらいいな、と思っています。

 

大きな荷物を引きずりながら、緊張感たっぷりでとかち帯広空港に降り立った子どもたち。

十勝平野のど真ん中で、馬にテントを載せて旅に出かける「とかち馬旅キャンプ」という、

8泊にもわたる壮大な活動に参加するために、首都圏からやってきたのです。


でも、馬とかキャンプとか、そんなことよりも前に

「ああ、ついに来てしまった・・・」

「北海道って、島だから歩いて帰れないな」

「知らない人ばかりだ・・・」

という不安の方が勝っている様子がありありと見て取れます。

そして、空港でやぁやぁと近寄ってきたスタッフと呼ばれる原住民(ぼくのことだけど)が乗ってきたハイエースに乗せられ、

右も左も分からないところへ連れて行かれます。


事情を知らない人たちがこれを見たら、かなり怪しむかもしれませんね。

しかし、ここからは更に怪しさを増します。

スタッフは突然車を止め、「じゃあここで降りてください」を言うではありませんか。


「この道をまっつぐ行けばよお、今日の宿につくさぁ。荷物は車で運ぶからよお、こっからは走って行くべ」

・・・何言ってるかわかりません。え?

「だからよお、ジョギングだべさ」

いやだから、なんで走らないといけないの?

「みんな飛行機で来たんだべ?あんな狭いところに押し込められてたんだからよお、ろくに息もできなかったしょ。

だから、ユーサンソウンドーだよ、有酸素運動」


と言い残して、荷物を載せた車は走り去っていきました。

確かに、なれない飛行機の中で「動くな、しゃべるな」とひたすらじっとさせられていた子どもたちですから、

体じゅうがなんかウズウズしてます。

気がつけば、周りは一面とうもろこし畑。確かに、道はまっすぐです。

さらに不安は募りますが、動かないことには、ことは解決しないなと、子どもたちは気持ちのギアをあげて、走り始めました。

 

ずーっととうもろこし畑かと思ったら、突然現れる、広大な牧草畑、牧草ロール。

道路の脇を走ってるけど、全然車が来ないな。あ、でっかいトラクターが追い抜いた!

なんか香ばしい匂い?と思ったら、牛舎が出てきた。あら、牛がこっちを見てる!

その脇に生えてる、なんか花火が散っているような、見たこともない巨大な草花。(エゾニュウとか、アキタブキとか)

走ってたら、汗が出てきたんだけど、でもなんか涼しいんだよな。ベトベトしないな。

お?さっきまで誰とも話していなかったあの子が、初めて出会った子と楽しそうにおしゃべりしてる。

あれ?まだあの子達、ゴールしてない?ああ、クワガタ見つけたんだ。

 

 

そうか、これが北海道なんだ。

なんか、体中の空気が入れ替わった感じだな。

さっきのあのオジサン、最初はヘンだと思ったけど、意外と面白い人かもな。


 

距離にして約5キロ。

北海道においてはごくごくありふれた風景の中を、ただまっすぐに歩いたり走ったりするだけなのですが、

子どもたちは、まさに五感を使って、ものすごい勢いで「北海道」を体にインプットしていきます。

5キロって、子どもにしてみればとても長い距離ですが、

宿泊場所にたどり着く頃には、憑き物が取れたというか、むしろ元気になって、

本来の自分を取り戻したような清々しい表情となっています。

 

そう、さっき現れたスタッフたちも、一見コテコテの「北海道のオジサン」を演じながらも、

その目的と意義を明確にし、子どもたちの「今」を見極め、かなり綿密に計画を立ててます。

安全かつ効果的な手法を練りこんでじっくりとプログラムを展開し、

初めて出会う子ども同士やスタッフ、そして馬と生活を共にして「馬旅」を達成する、

という壮大かつ困難な目標達成に向けてスモールステップを刻んでいく・・・

そんな風に、北海道でのサマーキャンプは始まります。

 

夏休み。

いろいろな大人の都合に巻き込まれて、ただでさえ少ない子どもたちの自由な時間がますます少なくなりつつあるようですが、

そうは言っても普段とは違う場と機会において、

じっくりとトライアンドエラーを繰り返すことができるのが夏休みであってほしいと思うし、

そのチャンスのひとつが、サマーキャンプです。

そして、我々はこのサマーキャンプこそ、現代に生きる子どもたちのいろんな課題を解決する有効な手段だと確信しています。