北村薫の『八月の六日間』という本を何気なく大野図書館から借りだして読んだ。まず、北村薫という著者を知らなかった。北村薫は1949年埼玉県生まれで、早稲田大学を卒業後高校教師のかたわら1989年に『空飛ぶ鳥』でデビューしたらしい。結構著作はあるようだが、この本で初めてであった。原作は小説野生時代、小説やsarisariなどに2011年から2014年まで掲載されたものを角川書店より2014年5月に発刊されている。大野図書館には第4刷が8月に届いたばかりという本だ。
主人公は出版社に勤める編集関係の仕事をする女性で、夫との離別などで悩んでいる時、職場の後輩に山に誘われ、その時の風景に引きまれて山歩きをするようになり、北アルプスの表銀座コースを槍ヶ岳に登ったりする。やがて雑誌の編集長になるが、山登りを継続していく。最後の『八月の六日間』は、富山側から雲の平を経由し、高天ケ原温泉、三俣蓮華岳などを経て晋穂高温泉に下るコースを歩く。山深いなかなかのコースだと思う。本書の最後のところに、本作の主人公も3年間実力に見合った山で鍛錬を積んだ後に挑戦しているということが書いてあった。私も山歩きはするがとても40㍑のザックをせをって歩くことはできない。主人公がなぜ山を歩くようになったか、そしてそれは自分たちとどう違うのかいろいろ考えさせられる作品であった。